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HEAVEN AND HELL  作者: despair
三日目、異世界の街
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3日目、冒険者ギルド、お喋りメルシエさん


 冒険者ギルド…

 冒険者が来るところだよね…?

 思ってたより綺麗で、銀行みたいな雰囲気だよ。

 人気はないけど。

 窓口があって、手続きしてる人が居て、近所で見たことあるような人も何人か居るけど…

 ぼくとジゴクちゃんは、山吹さんに連れられて『新規冒険者登録・変更のお手続きはこちら』という看板がある窓口に行く。

 空いてて良かった。

 暇そうな窓口のお姉さんが、眠そうなまぶたをパッと開いて駆けつけてくれたよ。

 「『イツ・ルヒ冒険者ギルド』へようこそ! おや、地球人の子どもとは珍しいですね。一年ぶりかな。登録には名符ミョウブを出して下さいね。 天職は何ですか? 歳はいくつかな? 好きな異性のタイプは?」

 ちょっと、お喋り好きな感じだね。

 ぼくたちは質問の嵐に呑み込まれそうになりながらも、何とか名符を出す。

 大げさに言ってるわけじゃなくて、本当に嵐のような質問で気が散って集中できなくて、なかなか名符を出せなかったよ。

 「まあ、ちゃんと名符を出せたのね。子どもはコツを掴むのが早くて楽だわ。あら、どっちも初めて見るタイプだけど、これって何がモチーフなの? 異世界の人ってよく分からないのよね。 そうそう、イツ・ルヒの人ってみんな同じタイプの名符になるけど、あれって何でかな? それじゃあ名符を確認させてね」

 お喋りお姉さんが、窓口から出て来てぼくたちの名符に手を触れた。

 「あらあらあら、テンゴクちゃんにジゴクちゃんね、よろしくしてね。ついでにヤマブキも久しぶり。スオウさんもさっき来てたわよ? とんでもない事態らしいじゃない。 天術使いと地術使いって変わってるわね。はい、登録完了よ。私はギルドマスターのメルシエメルルヒル・ドレグダノーヴァよ。気安くメルメルって呼んでね」

 話しかけられてるけど返事をする暇がないよ!

 「っていつも言ってるんだけど、どうしてかみんなメルシエさんって呼ぶのよね。登録が終わったら名符に新しい項目が増えてるはずだから確認してね。お金の残高と、ギルドから受けてる依頼、アイテムボックスの中身が見れるようになってるはずよ。あぁ、アイテムボックスはレベル10から解放される機能だったわね。まだ見れないの、期待させてごめんね」

 ところどころ重要な情報が出てるけど、このトークはとどまる気配がない。

 「すまないけど、」

 って!

 山吹さんがメルシエさんの会話を遮ったよ!

 勇者だね!

 「今日は急ぎでね。メルシエお勧めの依頼があったら二人に紹介してもらえないかな?」

 あらあら、ってメルシエさんがどこからともなく看板を取り出した。

 うーん、このどこからともなく取り出すのってアイテムボックスなのかな。

 父さんも、やってた気がするけど…

 「はい、この辺りとか受けちゃう? レベルが低いうちは狩りか採集が良いわよ。レベルも上がるし敵は弱いし比較的に安全なのよね。おすすめレベルははしに書いてる数字よ。ただの目安だけど。それでどう? 受けちゃう?受けちゃう?」

 ぼくたちは勢いに押されて「はい」って頷いた。

 「あら、ちゃんと自分でも依頼の中身を確認しないとダメよ。でも、私のことを信用してくれて嬉しいわ。受ける依頼をタッチしてね。『タッチ』とか『タップ』とか『クリック』とか地球の人って色んな言い方するのは何なのかしらね?ややこしいのよね。全くもう。『押せば良いのか?』とか『触れば良いのか?』とかもう本当になんなのかしらね?」

 依頼の中のお勧めレベルが1~9って辺りの狩りを選んでタッチすると、看板の中に「依頼を受けますか?」って確認画面が出てきたから「はい」をタッチする。

 ジゴクちゃんも同じやつをタッチして依頼を受けた。

 「はい、これで名符で依頼を確認できるはずよ」

 名符のギルドの依頼のページを開くと「狩り 狩場:石精のほこら 討伐対象:ゴブリン10体 報酬:100屡」

 ゴブリン10体で100(なんとか)もらえるってことだよね。

 「そうそう、ルヒはこっちの世界のお金の単位よ。イツ・ルヒを漢字で書いたときの一文字をとったらしいのよ。あっ、こっちの世界って元々は名前が無かったんだけど、イツ・ルヒって名前を今の巫女様がつけられたのよ。知ってた?」

 いや、知りません。

 って返事をする間もなく次の話題が始まっていく。

 話したいだけで返事はいらないタイプなのかな。

 「それじゃあ、メルシエ。私達はそろそろ行くね」

 「あら残念ね。テンゴクちゃんとジゴクちゃんも、またいつでも来てね。私ってとっても退屈してるの。ここに一日中居るのよ?可哀想でしょ? 実はけっこう忙しいんだけど、退屈なのは本当なのよね。また、お話しましょうねー」

 って、喋り続けるメルシエさんにペコリとおじぎをして、ぼくたちはギルドを後にした。

 ふうっと一息、ついちゃうよ!

 「あははっ。びっくりしただろう?メルシエは意外と重要な情報も話してくれるから、暇な時には相手をするのも悪くないんだけどね」

 いやもう、山吹さんが居なかったらあそこから抜け出せる気がしなかったけどね!

あとテンゴクちゃんって!

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