3日目、レナトステラ・ソフィア
「さて、そろそろ行け」
むう…
何だか釈然としない。
「サア、行キマショウ」
いつの間にか味方っぽい感じになってるエルピテさん。
うーん…
「ここでは話せない今の世界の概要は身代漫画に記しておいた。異世界に行ってから見てみろ」
いつものことだけど、なんで細かいところで無駄に準備が良いんだろ。
やれやれだよ。
身代金の漫画で身代漫画っていうのも、実際にそんな正式名称だとなんだか変な感じだね。
「それじゃあ、父さんもそれなりに元気でね!」
「ふん、いつだって有り余っていてな。それなりで、というのは無理だ!」
「知ってる!」
それでも、何事もそれなりでお願いしますっていうぼくからのお願いだよ!
エルピテさんをお供に、ぼくは山吹食堂へと向かう。
うーん、怪しい神父が後ろを付いてくる気まずさ…
「けっきょく、誰がジゴクちゃんを狙ってるんですか?」
歩きながらエルピテさんに聞いてみた。
うっかりでも良いから教えてほしいよね。
「テンゴク殿ハ『新世界』ヲ知ッテイルカ?」
うっかりどころか、あっさり教えてくれたけど…
『新世界』って、人工太陽を管理してるっていう国際的な組織だよね。社会の授業で習ったよ!
「名前は知ってます」
うん、詳しくは知らない。
「ソコノ研究機関、新世界の叡智ガ異世界ニツイテ調ベテイル。我ハソコデ人ニ神ヲ宿ス研究ヲ手伝ッテイタ」
それがジゴクちゃんってことかな。
「ジゴクちゃんが可哀想だって思わなかったんですか?」
だって、人体実験ってことだよね。
「スマナイ。コチラノ世界ノ子ドモナド、気ニカケル余裕ガ我ニハ無カッタノダ。神ノ失ワレタ世界ヘノ絶望感ニ、我ハ支配サレテイタノダナ」
うん、謝る気持ちがあるならジゴクちゃんに会わせても問題ないかな。
ちょっと話してみて、エルピテさんが味方だと思えなかったら走って逃げようって思ってたけど、もうすぐ山吹食堂に着くとこまで来てるしね。
後は、なるようになれ、だよ!




