2日目、暴走爆走山吹さん
「さっすがだねっ!」
さっきの戦いを、山吹さんが褒めてくれた。
自分でも、良くできたって気がします!
「だけど…」
あれ、なんか変な雰囲気になったよ…
山吹さん、とっても真顔だよ!
「異世界チュートリアル、本日の最終章。強敵編といこうかな」
あれ、今のがボスって話だったよね…
「ボスより強いやつが居るんですか?」
山吹さんは、首を縦にふる。
「居るだろう?あんたたちの目の前にさ!」
あっ、確かに!
居るけど!
えっ!?
戦うの!?
「山吹さんと!?」
まだ、山吹さんの攻撃すら見えないよ!
「二人のシールドは300ってところかな。 まぁ、死なない程度に手加減してあげるよ」
そう言って、山吹さんは駆け出した。
はい、円形の部屋の周りを走っているのは分かります。
手加減と言っていましたが、確かに目で追える速度ですので、いつもより遅いのは分かりますが、とんでもなく速いです!
ぐるぐると走りながら近付いて来ました!
もうすぐそこまで来てますっ!
山吹さんって、いまはジョブ魂も使ってないはずなのですがっ!
それなのにこれはどういうことでしょうっ!?
暴走トラックの前に立つ小鹿の気分です!
ぼくとジゴクちゃんは身を寄せあって震えることしかできませんっ!
がくがくぶるぶるですっ!
今、山吹さんが目の前に!
人間トラックがぼくたちの前でっ!
あれ…
静かになった…
ぽんっと、頭に手を置かれた。
もう終わったのかな…
恐る恐ると顔をあげると…
山吹さんがぼくたちの前に居た。
山吹さんが笑ってる。
「もう一回やるから、今度は抵抗しておくれ」
って言いながら、笑ってるよ。
笑いながら壁の方に戻って行ったよ。
「それじゃあ、今度こそ止まらないからね」
あぁ、もう一回やるんですね。
「いくぞーっ」
手を振って合図してくれる山吹さん。
こうなったら、やるしかない…!?




