2日目、合体魔法『天地混然の理・雷轟』
ぼくたちは山吹さんから貰っていたMP回復の薬を飲む。
いよいよだよ。
ちょっと緊張する。
こんな時に「緊張感を楽しめ」っていう父さんの言葉を思い出したよ。
余計な顔を思い出してないで集中しよっと。
ぼくはジゴクちゃんと手を繋ぐ。
さて、必殺技のはじまりはじまり、だよっ!
「『テンゴク』」
「『ジゴク』」
必殺技のステップその一は、名符に登録した自分の名前を唱えること。
すると魔力が迸り、ぼくたちの周りにオーラが出てるみたいに光が走る。
ジョブ魂と同じく、ぼくが青っぽい白い光で、ジゴクちゃんは赤っぽい黒い光だ。
名前の呪文を唱えることが、全力モードへ切り替わる鍵なんだって。
一日に何度も使えるわけじゃないけど、一時的にレベルが二倍のMP全快状態と同じくらいのパフォーマンスが出せるらしい。
単純な強さが二倍ってわけではないようだ。
そして、相性の良い者同士だと繋いだ手から伝わるオーラから意識の共有が出来るとか。
確かに、今なら呪文を使うタイミングも、使い方も、相談してなくてもばっちり決められそうだよ。
さて、始めるよ!
「「天地混然の理・雷轟!!」」
必殺技のステップその二は、技の名前を叫ぶこと。
これは、個人的に外せないよ!
ぼくとジゴクちゃんは、空いている手を目標に向ける。
どう動いたのかジゴクちゃんの方を見てなくても分かった。
これが意識の共有の効果かな。
「地は『天化』」
「天は『地化』」
仮面の居る場所の天井を地化、床を天化した。
すると、どうなるか?
仮面が天井に向かって落ちていった。
天と地の間にあるものは、当然だけど地に向かって落ちるみたい。
そして、落ちている途中で『天化』と『地化』を反対にかけ直す。
それを繰り返せば、相手は永遠に落ち続けることになる。
MPが続く限り、だけどね。
その状態で、天術と地術をレベル3に上げた時に覚えた新魔法を放つ。
「『天雷』」
「『雷樹』」
空気が張り裂ける凄まじい音が木霊する。
天から地へと走る『天雷』と、地から天へと昇る『雷樹』
二つの雷が巨大な仮面を削っていくのが分かる。
「『天化』」
「『地化』」
「『天雷』」
「『雷樹』」
重力反転と、天地からの雷撃
繰り返される無限ループ
敵は空中から動けないままに、逃れられない雷を受け続けることになる。
MPが続く限り、だけどね。
今は三回ループするのが限界だよ。
ぼくも、ジゴクちゃんも、MPを使いきったようだ。
出ていたオーラも、いつの間にか消えている。
術の効果も終わり、重力の働きのままに巨大な仮面が地面に落ちた。
崩れ落ちる音がする。
これで倒せてなかったら、後は闘士にチェンジして打撃で倒すしかないけど…
仮面は起き上がってくる気配がなかった。
でも、無事だったからって仮面が勝手に起き上がるのも何かおかしい。
とか思ってたら、仮面が光の粒になって消えていった。
おっ、ちゃんと倒せたみたいだよ!
「やったね!」
「やりました!」
攻撃してこない相手だったけど、達成感がちゃんとあった。
合体魔法も良い感じ!
誰かと何かを息ぴったりでするのって、それだけで何だか癖になりそうだよね!
ちなみに、合体魔法の名前はジゴクちゃんの案なんだよね。
知らないことの多い女の子だと思ってたら、混然とか雷轟とか、ぼくの知らない言葉はすらすら出て来てびっくりしたよ!




