2日目、レベル上げ
「それじゃあ、名前を登録してくれるかい?」
名符のステータス画面から、ぼくは名前を『テンゴク』と設定する。
女の子改めジゴクちゃんも、名符の木の板に『ジゴク』って書いたみたい。
でも、ジゴクちゃんって、父さんの手紙は読めなかったんだよね。
日本語じゃなかったりするのかな…
「それじゃあ、パーティーを登録するよ」
司会進行の山吹さん、いつもお世話になってます。
ぼくたちは「はい」とうなずく。
「『エントリー:テンゴク、ジゴク』」
出していた名符の画面が変わり、「ヤマブキさんからパーティー申請がありました」って表示されてる。
ぼくはyesをタッチする。
パーティー組んだら何か変わるのかな?
ぼくたち三人でパーティーを組んでるっていうのが名符に表示されてるけど…
「パーティーを組んでおくと、モンスターを倒した経験値が共有されるんだ」
ヤマブキさんが倒しても、ぼくが強くなるってやつかな。
ゲームじゃよくあるけど、現実だと不思議なシステムだよね?
山吹さんがダンジョンの奥に進み始めながら説明してくれる。
「他には、パーティーメンバーは『マップ』の魔法で探せるからね。はぐれる心配もないよ」
それは安心だった。
今までの感じだと、一人だけワープして迷子になるの有り得るよね。
「おっ、敵が出たね」
ダンジョンの奥から妙な仮面が現れた。
笑ってるのやら、怒ってるのやら、色んな表情の仮面の群れ。
顔は無くて仮面だけ。
身体も無くて仮面だけ。
不気味だよ。
こっちに近付いてくると、仮面がパキンって鳴って、一斉にひび割れて爆発した。
あれ、ここのモンスターは攻撃してこないんじゃなかったの!?
仮面の欠片が飛んでくる!
「よし、全部倒したね」
えっ、もう倒してたんだ!
欠片はぼくたちのシールドが受け止めてくれたみたい。シールドへのダメージも0だった。
爆発したんじゃなくて、山吹さんに倒されただけだったんだね。
とまぁ、こんな感じで山吹無双でダンジョンの奥の方まで進むと、ぼくのレベルが5になってたよ。
ジゴクちゃんも6に上がったみたい。
差が小さくなったのは嬉しいかも。
「相手のMPが、自分の最大MPの10%以上ないと経験値にならないんだ。ここじゃあレベル6ぐらいが限界だろうね。」
強くなるとレベル上がりにくくなるパターンみたい。
「経験値って言ってもMPだからね。モンスターを倒すとMPが貰える。MPが増えるとレベルが上がる。パーティーの全員に、モンスターから貰ったMPが分配されてるだけなんだ」
なるほど、だから何もしてなくてもレベルが上がるのか。
「さて、回復したらステータスを設定しなおして、この奥にいるボスと戦ってみようか」
あれ、いきなりボス戦前ですか!?




