2日目、天化地化、天撃地撃
「あぁ、回復しよう」
山吹さんが『MPエクスチェンジ』と唱えると、ぼくのMPが16まで回復した。
使える術が二つに増えたよ!
『天化』と『天撃』の二つ。
確かに、何が起こるか分からないね。
術の説明が、「目標を天と化す術」とか「天からの一撃」とか書いてるけど、それって術の名前から分かるよね。
術の内容を山吹さんに説明すると「その辺の石ころにでも使ってみようか」ってなった。
ダンジョンの中に転がっている手のひらほどの大きさの石に向けて術を使ってみる。
「それっ! 『天化』っ!」
何が起こるんだろうって期待してるぼくの前で、石がころんって転がった。
他には何も変化ないよ!?
「石には効果の薄い魔法だったのかもしれないね」
山吹さんのその台詞が当たってると良いけど。
「次は地術だね。『地化』の術かな?」
女の子がこくこくっとうなずく。
「それじゃあ、あっちの石にかけてみようか」
ぼくが転がした石の、少し横にある石を山吹さんが指定する。
「『地化』」
女の子が術を唱える。
そしてやっぱり石が動きだし…
って、あれぇぇぇぇぇぇっ!
石が飛び上がってるよ!
ぼくが術をかけた石まで飛び上がってるよ!
二つの石がぶつかって空中でくるくる回ってるよ!
いや、ぼくの術と効果が違いすぎて驚いてる訳じゃないからね!
うん、心を読める人が居ないと自分の心に言い訳できて良いね!
じゃなくて、なんでこんなに効果が違うんだろ…
「なるほどね。天化された石と、地化された石がくっついたわけか。天地でワンセットなんだろうね」
なるほど、ワンセット…
って、片方だけじゃ効果がない術って使いずらそうだけど…
石ころには効果が薄いだけかもしれないよね。色々試してみたいけど。
「次は天撃と地撃だね」
明らかに攻撃的な名前の術だけど、まずは使ってみよう。
山吹さんが、さっきとは別の石を指定する。
その石に向かって『天撃』を使う。
女の子も『地撃』を使った。
あ、今度は同時になっちゃったよ。
そして、白と黒の光がぼくたちの手から飛び出した!
って、目標を無視してぐいっと曲がったかと思うと、さっき天化と地化した石の方に当たったよ!
「天撃は地化された石に、地撃は天化された石に当たってるね。マーキングした目標への誘導弾って感じかな…」
山吹さんが分析してくれる。
石は砕けてたから、それなりに威力はあるみたい。
なるほど、やっぱり一人じゃ使いづらい術みたい。
「うん、だいたい分かった。次はモンスターと戦ってみようか」
戦いだ!
でも、天化に3、天撃に6のMP使っちゃったからね。
この世界、レベル上がったらMPも増えるんだよね?
さてと…
「山吹さん!MPが7しかありません!」
次はようやく、女の子の名付けです。




