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HEAVEN AND HELL  作者: despair
二日目、女の子との出会い
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2日目、朝

 目が覚めると異世界だった。なんていうことはまるでなくて、ぼくは車のなかで手足をロープでぐるぐると縛られた芋虫のままで転がっていた。

 昨日はこのまま寝ちゃったみたいだ。って、服のままでこたつで寝ちゃったみたいに言うことじゃないけど、他にできることもなかった。疲れてたししょうがない。

 どうやら寝てる間に車に放り込まれたようだ。ちなみに父さんは車を持ってない。だから、この車の持ち主は父さんじゃない。あんまり深くは考えたくないけど、誘拐ごっこどころじゃない本物の犯罪だったらどうしよう。

 流石に、車を盗んじゃダメだってことは父さんの常識にもあるはずだけど…

 おっと、芋虫になっているぼくの顔の前に紙切れが置いてあった。

 「遊びは終わりだ 出かけてくる」と書いてある。

 遊びにしてはハードすぎるよね。せめて手足のロープくらいほどいてから行って欲しかった、ってけっこう緩めてあるみたいだ。これなら出れそうだ。

 しばらくの間、もぞもぞうねうねと動いてロープをほどき、車から脱出したぼくは久しぶりの家に帰った。いや、昨日の朝まで家に居たんだよね。それなのにすっごく久しぶりの気分だった。

 期待はしていなかったんだけど、朝食がちゃんと用意してあった。まだ少しだけ温かい味噌汁を飲み、不覚にもほっと一息ついてしまう。

まったく、父さんの顔は思い出すだけで怒りがふつふつと沸き上がってくるけれど、朝食に罪はないから美味しくいただこう。

 「怒っても自分が嫌な気持ちになるだけだ。なんの得がある?」という父さんの言葉を思い出した。言葉と一緒に脳裏に浮かんだ父さんの顔に怒りを感じつつ、確かに得はないなと思った。

 それでも、怒らせてる方は誰かに損をさせてるんだから、ちょっとは謝ってほしいよね。まったく。

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