2日目、ホラーからサイコまで
鏡の世界から出ると、そこには碧さんが立っていた。
ぼくと女の子は顔を見合せ、こくりと頷き、碧さんの方に向き直って…
「ホラー映画か!」
と言ってやりました!
出るときもまた手を掴まれて引っ張られたんだよね。予想はしてても怖かった。
「ふん、遅いと思ったら漫才の練習でもしてきたのかい? 鏡の中でも保護者は必要だったようだね」
まぁ、一度くらいは多目に見てあげよう、と碧さんはぼくたちを黙らせた。
山吹さんは少し離れた所で、我関せずと視線を合わせないように俯いていた。
まぁ、ホラー映画より碧さんの方が怖いかも…
「名符を出したまえ」
碧さんに言われるがままに、ぼくたちは名符を出す。
未来的なウインドウと、古代的な木の板が同じ名前で並ぶのは少しシュールだ。
「ふん、天術に地術か。少々出来すぎているが…まぁ良いだろう」
碧さんがぼくたちの名符を見て言った。
てっきり、他の人からは見えないと思ってたんだけど…
んー、レベル1とか見られるのはちょっと嫌だな…
「あぁ、私は他人の頭の中を読み取れるんだよ。もっとも、感情の色が見える程度だが、そこから何を考えているかの想像は付く。例えば今の不快感とかからね」
なにそれチート!?
思い返してみると、確かに碧さんには察しが良すぎる所があった。
「それと、別に私は名符を見なくてもステータスは見通せるんだよ。たんに名符の形が見たかっただけさ」
またもやチートですね。
勝てる相手とだけ戦える感じがズルいよね。
「レベル1だからって恥じることはないさ。誰でも最初は弱っちいんだからね」
くっ、ぼくには心を見通せる人との付き合い方なんて経験はない。
心を読まれたレベル1のぼくには勝てる見込みはなく、碧さんに嘲笑われることを潔く受け入れ、この場をやり過ごすことがベストの選択に思えた。
「ふんっ、最良を選ぶ子どもなんてつまらないんだがね。間違うことから学ぼうとしないやつは大成しないよ」
んー、感情だけじゃなくて考えてることも読んでるんじゃないかな。
的確すぎるよ。
会話できてるよ。
「まぁいい、次はステータス設定だね」
そう言って、碧さんは何処からともなく本を取り出した。
って、大き過ぎっ!




