2日目、鏡の中で、名符編
女の子は『地術使い』だったらしい。
「地、術、使い」と区切ると言えるけど、続けて言うと噛んでしまうようだ。
ぼくたちは天地が違うだけみたいだけど、何が出来る職業なんだろう。
取り扱い説明書が欲しいけど、流石に無いよね。
そう言えば、名符ってのはどこから出てくるんだろう。
もう、上からは何も落ちてきそうにないし、他のどこにも変化が見当たらなかった。
あれ、そういえば出口はどこだろう。周囲の鏡に触れたら出れるのかな?
また、鏡の中の自分にいきなり手を掴まれたら嫌だなぁ。
でも、それで鏡から出れなかったらどうしよう。
出口を教えるの忘れられてたら、最悪は閉じ込められるよね。
んー、不安になってきたよ。
「やはり、こちの名符には名前がありませんでした」
えっ?
あっ!
女の子がいつの間にか細長い木の板を持っていた。
大昔の人が手紙の代わりに使ってた木の板、何て名前だっけ。
何も書いてないように見えるけど、自分にしか見えないタイプなのかな。
「どこにあったの?」
後ろを付いてきてるとばかり思ってた女の子に、いつの間にか先を越されててちょっと悔しかった。
でも、助け合える方が断然良いよね!
「心の中で名符を見ようと意識をすれば、このように自然と現れました」
うっ!
ぼくは雑念が多すぎるのかもしれない…
ええっと、『名符』が見たいなー
おっ、自分の心にいつの間にか新しいスイッチが出来てるみたいな変な感じ。
続きが読みたいと思えば本のページをめくってる、それくらいに自然な感じで、名符を見たいと思えば現れた。
ぼくの名符は、テレビに映るゲームのステータス画面みたいなのだった。
それが空中にパッと現れたから、何だか未来的だ。
人によって形が違うみたい。
ええっと、ぼくのステータスはっと…
名称、能力、技能が未登録です
レベル:1
職業 :天術使い
MP :21
だけだった。登録ってどうやるんだろ…
ぼくも名前がないってことは、この世界の名前ってことかな。
画面に触ってみたけど反応は無かった。
少し強く押すと、指が画面を突き抜けて焦ったけど、壊れたりはしないようだ。
「うーん、よく分からないけど、目的のものは貰えたんだし、ここから出ようと思う」
女の子はこくりと頷く。
「周りの鏡から出られると良いんだけど…」
また、手を掴まれたら嫌だな…
あれってトラウマになりそうなくらい怖かった。
女の子も同じ事を考えたのか、少し不安そうにこっちを見てくる。
「えっと、手、繋がない?」
これはもう本当に、はぐれたら怖いし、鏡の中の自分に手を掴まれたら怖いし、四の五の言い訳もできないくらいに怖いからだった。
女の子も「はいっ!」と言って喜んでるし、きっと怖いんだと思う。
そしてぼくたちは向かい合って、お互いに手を差し出して、初めて自分達の意思で手を繋ぐ。
って、向かい合って手を繋いだら握手になったよ!
「これでは歩けませんね」
そう言って女の子が、とても可笑しそうに笑う。
「手を繋ぐのに失敗したよ」
ぼくも笑ってしまったけど、呪いでこの状態になったら笑えないよね。外に出たら向かい合わないように気を付けた方が良いかも…
ぼくたちは一度手を離して、横に並んでまた手を繋ぐ。
さてと、鏡が出口でありますように!




