2日目、異世界チュートリアル死亡編
そうこうしている間に六つ目の人魂のようなものが出てきた。そのまましばらく待っていると、六つの人魂のようなものがぼくたちの周りをぐるぐる回りながら地面に降りていく。
地面の上で回る人魂のようなものから六本の線が伸び、六芒星が足元に描かれる。
描かれるのと同時に、ぼくたちは見知らぬ部屋に移動していた。
ワープした、ってやつみたい。
神社の中かな…
「おや、仲が良いんだね。実にけっこう」
突然、誰かに背後から声をかけられた。
女の子と手を繋いでるのを見て言ったんだと思う。
手はまだ離せなかった。怖いからじゃなくて、はぐれそうだからじゃなくて、どうやっても離すことが出来なかった。
あれ、手だけじゃない。身体がちっとも動かせない。
前にいる山吹さんも、ここにワープしてから微動だにしないし…
なんだかおかしいよ!
「慌てなくて良いよ。見苦しいからね」
見苦しいからって、慌てなくて良いとは思えないけど!
って、喋ろうとしても口が動かない。
あれ…息もできてない…!
このままだと、死んじゃうじゃ…!?
「碧さんっ!」と山吹さんが叫び、弾けるように動きだし、こちらを振り向いた。
「どうして『停止』させたんですか!?すぐにこの子達の魔法も解除してください!」
あ、これ魔法なんだ…
山吹さんが敬語使ってる…
相手の女の人、敵じゃないってことかな…
「あんたのせいだよ、ヤマブキ。鏡占いの人数を、私は聞いてない。あんたの連絡不足が招いた結果だよ。これはね」
最初に玄関で叫んでたやつかな、確かに人数は言ってないけど、それでもこの人、細かすぎなんじゃない?
連絡不足で身体を動けなくするなんて…
あぁ、息ができないからこのままじゃ死ぬんだよね…
女の子は大丈夫かな、無事なら良いけど…
繋いだ手からは、さっきまでとかわった様子は伝わってこないけど…
「だいたい、心臓が止まったくらいならこの世界じゃすぐには死なないんだ。少しぐらい良いじゃないか。これも経験だと思いたまえ」
あれ、ぼく今、心臓も止まってる…?
この世界じゃ、心臓止まっても死なないんだ…
すぐには、ってことはそのうち死ぬのかな…
後ろの人、みどりさんだっけ…
なんだか、とんもない人そうだけど…
まぁ、父さんよりはまし…かな…?




