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HEAVEN AND HELL  作者: despair
四日目、氷精の祠
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4日目、ダンジョン落ちる


 結婚はしてないけど、アビスちゃんが異世界(イツ・ルヒ)ではぼくとジゴクの子ども扱いになってしまうっていう疑惑が浮上してしまった。

 いや、その話は流してしまおう。


「それより、ダンジョンを出なくちゃね」


 しばらく待って、青磁くんと撫子ちゃんが帰ってきた。

 今は皆で『地盤』の上に乗っている。

 後は脱出するだけだよ。

 だけど…


「ダンジョンが機能停止してても脱出ってできるの?」


 ダンジョンを出るための転送の魔法とか、ちゃんと機能するのかな?

 歩いて出られる道があると良いけど…


「それについては問題ない。ダンジョンには非常用の出入口があるのでな。それはマナがなくとも石精の管理下で動作するようになっている」


 ん?

 石精ってマウプーだよね。

 けっこうな重要な役割があったんだね。

 まあ、こういう事態がそうそうないから普段は暇なのかな?


「しかしだ。脱出する前に相談なのだがな、やはりダンジョンが機能停止したことを巫女様に報告せねばいかん。そのあらましを説明する時に、お前たちも同席してはくれないか? 私がフリーズしていた間のことだけでも説明してくれると助かるのだが…」


 うむん…

 この流れ、昨日の石精の祠の時と同じだよね。

 何故かダンジョンに行く度に碧さんに謝りに行くってことになってしまう。

 確かに、氷精さんをフリーズさせたり、マナを回復ポイントから吸い上げちゃったりって、ぼく達に関係ないってわけじゃないしね…

 ここは、ちゃんと謝りに行っておこう。


「一緒に行くのはもちろん良いよ。どうせなら契約の術を使ってみる? ぼく達が碧さんとこに行った時に召喚できるんだよね」


 ぼくとしてはマウプーの時と同じようにしようかなって気を利かせて言ったつもりの契約の話、だけど氷精にとってはそうじゃなかったみたいで…


「なんだと!? 契約の術だと!? お前達と契約をするということか!? それは反逆の意思ありと巫女様に受け止められても当然だぞ! そのようなことを私が同意するわけがなかろう!」


 ああ…

 マウプーと契約したことを知られた時の、メルシエさんの反応がこんな感じだったよね。

 マウプーが気にしてなかったから、同じ精霊なら氷精も気にしないのかと思ってたよ。

 マウプーは、やっぱりお気楽な感じの精霊なんだね。


「ちゃんと、碧さんに許可は貰ったよ」


 こう言っとけば、メルシエさんと同じように分かってくれるはず…


「なんだと… そのような… いや… しかし… それだと… これは…」


 あれ?

 何やら悩みだしたよ。

 あと一押しかな?

 よし、ここは論より証拠といこうかな。


「『天魔召喚:リプシー・マウレイ』」


 マナが薄くても術は使えるみたいだね。

 自分のMPを使ってるからかな?

 とにかく、無事にマウプーを呼び出せた。


「はいはいははいのほいほほーい! 呼ばれて飛び出るびっくり天魔っ! マウプー参上だよ!」


 うん。

 相変わらずマウプーは元気いっぱいだ。

 だけど、びっくり天魔ってやめて欲しいかも…


「なんだと! 本当に召喚されただと!? 精霊たる者が巫女様以外に使役されているというのか!?」


 氷精さんがとても驚いてる。

 これで信じてくれたかな?


「おっやおやー? この声はまさかの氷精? つまりはシェイプー? するとここは氷精のダンジョン? それならどうして真っ暗くらなの? 何があったのテンゴクくーん?」


 マウプーがふよふよとぼくの方に漂ってきた。

 シェイプーって、氷精シェープル・リリームの愛称、つまりはヤマブキネームなのかな。


「えっと、ぼく達の術で回復ポイントのクリスタルが暴走したみたいでさ。氷精のダンジョンからマナが無くなっちゃって、あれやこれやで機能停止したんだよ」


「あっひひゃひひゃひひゃっひひゃー! ダンジョンが機能停止しちゃうなんて、まさかまさかのまっさかさまの緊急事態だ! どうするの!? いやぁ、シェイプーってとんでもないうっかりさんだったんだねー!」


「ぼく達の術のせいでね。氷精さんがフリーズしちゃってたらしいんだよ。だから、マウプーの時と同じように事情を説明しに碧さんのとこについていこうかなって話になってね。それで、どうせなら氷精と契約してみようかなって思ってさ」


「なっるほどねー。事情は了解!」


 おおっ!

 マウプーって事情を飲み込むのは早くて助かるね。


「何を了解したというのだ! リプシー・マウレイよ! 事と次第においてはお前を裏切り者として…っ!」

 おっと、マウプーが氷精の口をむぎゅっと押さえたよ!

「はいはいはははいはいははーい シェイプーってば分かってないなー! テンゴクくん達はね… ごにょごにょごにょごにょごにょごにょごーにょ…」


 氷の雪うさぎに耳打ちする石のクリオネ

 凄い絵面だけど、なんだか微笑ましい。

 だけど、耳元でごにょごにょ言ってるだけでちゃんと伝わるとは思えないけど…


「なんだと!? それではこの者達はっ!!!」


 あれっ!?

 氷精が驚いてる!

 今ので何かが伝わってたの!?


 ドガシャーンっ!!


 って、何か凄い衝撃がダンジョン内に走ったよ!

 氷精が驚いたからってそんな!


 ぼく達は『天盤』と『地盤』の間にいたからか何の衝撃もなかったけど……


「あー、これはダンジョンが落っこちちゃったねー」

「なんということだ!! 私の氷精の祠が!!」


 マウプーはいつも通りの気楽な感じで言ってるけど、氷精さんはとても取り乱している。

 今の衝撃はダンジョンが落ちた衝撃だったってことかな。


 えっと…

 ダンジョンが落ちるってどういうことなの!?


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