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HEAVEN AND HELL  作者: despair
四日目、氷精の祠
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シュララバ視点、氷精の祠の一角獣戦 その2


 変身した一角獣イノセントホーンは、まるで巨大なユニコーンという風体です。

 真っ白な毛並みが美しいですね。

 ナデシコお姉ちゃん曰く、角の生えた馬って感じということなので、角の無いユニコーンが馬って感じなのでしょうね。

 馬という言葉は知っていても、実物は見たことがありませんでした。


 氷の床でも滑ることなく、(いなな)きながら走り出す一角獣。

 見た目に相応して動きは速いですね。


「だけど、これなら…!」


 私は翼を四方に展開しながら一角獣へと向かいます。

 一角獣はさっきまでの形態に比べたらかなり小さくなっているんです。

 足の一本で私の全身と同じくくらいの大きさですね。

 私は、駆ける一角獣へと接近しつつ、展開している『翼』を一角獣に向けて扇状に並べ、間合いをはかります。


「ヒヒィィィン!!」


 一角獣が並べた『翼』の前で動きを止め、その両前足を高く上げました。

 このままじゃ『翼』が踏み潰される!?


「どうせ潰されるのならっ!」


 私は前足を持ち上げている一角獣の、その足の付け根の辺りへと『翼』を飛ばします。

 このまま踏み潰されて『翼』が消されてしまうなら、いっそ攻撃に使ってしまおうと思ったんです。

 大した威力にはなりませんが、何もしないよりは良いはずです。

 四枚の『翼』を、足を上げている一角獣の胴体へとぶつけました!


「そのまま! 『純化風撃(ピュアブロウ)』!」


 『翼』のバリアを敵へと放つ『純化風撃(ピュアブロウ)

 これって、どちらかといえば防御向きの技なので、大きなダメージは期待できないんです。

 だけど…


「ヒィヒィィィィンッ!!」


 あれま!

 一角獣がすってんころり!

 あっさりと転んでしまいましたよ!

 私の攻撃が、上体を持ち上げた一角獣の身体をさらに後押しして、見事なまでに体勢を崩させて転ばせたみたいです!


「シュラちゃんナイス!」


 全くの偶然でしたが、結果は出来すぎなくらいですね。

 一角獣は起き上がろうともがいていて、攻撃するには絶好のチャンスです!


「はい! 後はお願いします!」


「任せて! 『秘めたる威風(プリンセスレリック)解き放つ(リベレーション)』!」


 一角獣の前に飛び出しながら、空中で変身するお姉ちゃん。

 この二回目の変身が必殺モードということなのでしょう。


「『高貴なる可憐の花園(ナスタチウムガーデン)咲き誇れ(フルブルーム)』!」


 次の技で、辺りの景色が色とりどりの花が咲く綺麗な花の園に変わりました。

 氷の洞窟にも負けてないくらいに美しい景色です。


「行くよー!「『気高く勇敢なる進撃プリンシパルペネトレート』!」


 橙色のオーラの奔流を身に纏い、敵へと突進するナデシコお姉ちゃんの必殺技です!

 まだ起き上がれていない一角獣には避けることはできないでしょう!


 氷の洞窟の中に爆音が響きます。

 お姉ちゃんの必殺技は見事に直撃しました!

 私と戦ったときのそれよりも威力が高そうにみえたのは気のせいじゃなさそうですね。


「どうだ!」


 自信有り気に一角獣を振り返り見るお姉ちゃん。

 だけどまだ一角獣は健在です!


「げっ、まだ元気そうじゃない?」

「ヒヒヒィィンッ!!」


 お姉ちゃんの台詞に答えるように嘶いてから、四本足をぐぐっと動かして器用に一角獣が立ち上がりました!


「タフなのは知ってたけどさ、ここからは持久戦かな」


 お姉ちゃんには疲労の色が見てとれます。

 さっきの必殺技はもう撃てないと思って良さそうですね。


 その時、一角獣がお姉ちゃんの方を向きました。

 まだ距離は離れているけどこれは…!


「危ない!」


 一角獣がお姉ちゃんへと向けて角を打ち出しました!


「へへっ!だーいじょーぶ!」

 ひらりと角を避けるお姉ちゃん。

 ですが、その避けた隙を狙って一角獣が突っ込んでいきます!


「ヒヒィィィィンッ!」


「させません!」

 私は、突進している一角獣を食い止めようと『翼』でその脚を引っ張ります。

 だけど、さっき転ばせることが出来たのが嘘みたいに一角獣の身体は重く、今度は全く止められそうにありません!

 やっぱり、さっきのは一角獣の力を利用できたからこそ転ばせられたようですね。

 テンゴクさん達なら重さや力も関係なく自在に転ばせるくらいは出来そうですが…


「シュラちゃん! そのまま後ろに引っ張っといて!」

「はい!」

 全く力不足だと思うのですが、ナデシコお姉ちゃんに何か考えがあるようです。


 一角獣がお姉ちゃんに迫り…!

 ああっ!

 一角獣が立ち止まり、また前足を持上げました!

 踏みつけようとしているようです!


「ここだっ!」


 一角獣の顔へ向かってジャンプして、お姉ちゃんは普通のパンチをしました!

 だけど、前足を上げている一角獣は相当に不安定なのか、またまた倒れてしまったんです!


 私が引っ張ってるのも役には立ったんですかね?


「ここっ! 集中攻撃!」

「はい!」


 そして、一角獣を転ばせては攻撃するのを繰り返す、そんな持久戦が始まったのです。

 


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