四日目、天地魔霊とジョブ魂合体
二つの『闘士』のジョブ魂を取り込んだアビスちゃんの身体が光を放つ。
って、身体が光ってるよ!
なにこれ!?
ぼくの白いオーラと、ジゴクの黒いオーラ
それがアビスちゃんの身体のあちこちから吹き出すように溢れている。
ミラーボールみたいなアビスちゃん!
ちょっとすると光が落ち着いてきた。
ぼくとジゴクのオーラが混ざったような灰色っぽいオーラがぼんやりとアビスちゃんを包んでいる。
今は『極化』してるから色まで分からないけどね。
〔ふむ。余の中でジョブ魂が合体しとるようじゃ〕
ふーん。
ジョブ魂って合体するんだね。
〔いや、有り得んのじゃよ。これはシステムエラーくらい出てそうじゃな〕
『闘士』のジョブ魂が合体して一体何になったんだろうね。
‐ともかく、予想通りにオーラは安定した模様で何よりで御座います‐
確かに、これなら以心伝心までなら『極化』しなくても出来そうだね。
〔お主らにジョブ魂を入れて貰えば可能じゃな〕
ああ、ジョブ魂がぼく達のだもんね。
それなら、『天術使い』と『地術使い』も合体出来そうだ。
〔それではまるで、この世界の神にでもなれそうじゃな〕
『天地術』って言葉もたまに聞くもんね。
今は消えちゃったこの世界の神様が使ってた術だったか…
よし、あれこれ考えててもしょうがない。
今は先にアビスちゃんの中の黒雲を払っちゃおう。
〔ふむ。その前にもう一つ〕
ん?
まだ何か打てそうな手があるみたいだね。
〔うむ。ジョブ魂を得た今ならば、お主らの『天魔』か『地霊』として契約出来るのじゃよ〕
ああ、ただのぼく達の人格の一つでしかなかったヘブンとヘルが独立した一人の個として現実に出てこれるになったみたいに、なにかアビスちゃんの助けになりそうな感じはあるね。
‐為らば早速やってしまいましょう‐
そうだね。
「『天魔契約:アビス』」
「『地霊契約:アビス』」
意識が繋がってるせいもあって、アビスちゃんと契約しようと考えてたら二人で同時に術を使ってしまった。
これは天魔と地霊のどっちになるかはアビスちゃんに決めてもらわないとね。
〔それがのう。確認画面すら出ずに、天魔と地霊の両方になってしまったようなのじゃ。否、『|天地魔霊〔てんちまりょう〕』というもののようじゃな〕
うーん?
『天魔』足す『地霊』は『天地魔霊』ってことだよね。
なんか変な感じ。
確かに契約の術を使ってからアビスちゃんのオーラが強くなったような気がするし、契約した効果は確かにあったみたいだ。
でも、両方と契約ってヘブンとヘルじゃ出来なかったんだよね。
何か違いがあるのかな?
‐ヘブンとヘルは曲がりなりにもこち達の意識より生まれた存在で御座います。然れど、アビス様はそうではないことに何か有るのでは…‐
〔ああ、なるほどのう。あれも異端とはいえど、奴らはこの世界のシステムの内側で生まれた存在ではあるのじゃよ。然し、余はそうではない。まだこの世界のシステムで管理されておらんのじゃ。名苻も自前のやつじゃしな。つまり、『天地魔霊』とはこの世界のシステムの外側の存在になるのじゃろうな〕
うん。難しい話だね。
〔振り替えってみれば、此度の以心伝心からそうじゃったな。余が既にジョブ魂を得ていた場合、お主らと反発するオーラが体内に溢れていて『極化』しようとも以心伝心すら不可能だったはずじゃ。ジョブ魂を入れるなぞもっての他じゃな。まだこの世界のシステムに組み込まれる前の余に、お主らの異端な能力。この組み合わせがあってこそ今回の以心伝心やジョブ魂合体は成功したのじゃろうな〕
たまたま成功できる条件が揃ってたってわけだ。
〔ふん。ちと出来すぎじゃがな〕
何にしても、今はこの黒雲に集中できるようになったってことが大事だよね。
‐然り。そろそろ回復ポイントを起動致しましょう‐
よし、クリスタルを操作して、っと…
ぼくが操作すると、回復ポイントのクリスタルから光が溢れ出した。
その光は止まる所を知らず、いつまでも溢れ続けてくる。
いつもより大量に出てる感じ
‐この高密度のマナがあれば、行けそうだね!
そして、ぼく達は目を閉じて意識の中に潜り、アビスちゃんの中にある黒雲の塊を払う。
回復ポイントから押し寄せるマナを操作して飛ばしていくだけで削れるように黒い雲が消えていく。
うん。
あっという間に雲が消えた。
回復してくる様子もないし、成功だよね?
〔うむ。これで余は自由なのじゃ!〕
アビスちゃんが喜んでるね。
良かった。
‐これでデートに集中できまする!‐
うん。
ジゴクも喜んでる。
大成功だね!
ん…?
あれ、回復ポイントのクリスタルがまだ光を吐き出し続けてるよ?
〔いかん!『極化』を解くのじゃ!〕
あれっ!?
アビスちゃんが慌ててるよ!?
何か非常事態!?
長くなったので二話に分けます。
続きも今日中に載せられそうです。
ジョブ魂合体と天地魔霊を得たアビスちゃんは育てたら最強の仲間になります。
なんちゃって。




