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HEAVEN AND HELL  作者: despair
四日目、氷精の祠
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四日目、デート暴虐


 無事に『極化』の状態になれた。

 マナの流れや状態が目に見える『極化』の状態なら色んなことがよく分かる。

 氷精の祠のダンジョンの壁や床の氷にはうっすらとマナが流れてて、なるほど、只の氷じゃないのが分かるね。

 そもそも、異世界(イツ・ルヒ)では物質そのものがマナで構成されてるわけで、氷自体も地球の氷と性質は同じでもまったく違う物質なんだね。


 『天龍』と『地龍』で現れたドラゴン達も、異世界人のシュラちゃんと同じで生物のマナで身体が作られているのが分かる。

 近くで観ると魂らしきものが在るのも分かるね。

 だから本物のモンスターだってアビスちゃんは言ったのかな?

 うん。

 それだと、アビスちゃんにも今のぼく達が見ているようなマナの構成が分かるのかもしれないね。


 そう、そしてアビスちゃん…

 不思議な子だったけど、この状態で改めてアビスちゃんを見ると、地球人とも異世界人とも違うっていうのがはっきりしたね。

 身体を構成しているのはマナでもなければ、ぼく達の肉体ともまた違う物質だし、異世界人特有の自前の魂も見当たらない。

 相性が悪いっていうのは、身体の造りの違いの影響が大きいのかもしれないね。

 よし、『極化』してもそれだけじゃアビスちゃんの正体は分からないってことが分かったね。

 一歩前進だ。

 やっぱり以心伝心に挑戦しよう。


 よし、先ずはアビスちゃんとも手を繋ごう。

「アビス様、お手を拝借致します」

「ぼくは反対の手を、っと」


 ぼくの左手とジゴクの右手を繋ぎながら、残った方の手でアビスちゃんと手を繋いで輪っかになった。

 まずは、さっき試したのと同じようにアビスちゃんと普通に以心伝心しようとしてみる。

 なるほど。

 オーラがアビスちゃんの手に触れた所で弾かれている。

 以心伝心する以前にアビスちゃんにオーラが触れてさえ居ない。

 だけど今の、マナをある程度は操ることの出来る『極化』の状態なら…


 よし、アビスちゃんの手で弾かれているオーラを操って、っと…

 うん。無理矢理に手の平からオーラを流し込めそうだ!

「ふわっ! なんじゃ!?」

 おっ、ちょっとオーラが触れたみたいだ。

「ちょっと待つのじゃ! くすぐったいのじゃよ!」

 むむっ、アビスちゃんが暴れ出した。

 手をオーラでくすぐられてる感じなのかな?

 だけど、何があっても以心伝心するまではやめないのは決定事項だよね。

 それでも、少しでもくすぐったくならないように頑張ってみよう。

 アビスちゃんの身体に反発しているオーラをぎゅぎゅっと固めるようにして押し込もうとしてみる。

「うぬうっ!ちくっとしたのじゃ!」

 うん。

 手のひらから身体の中へ、少しだけオーラが入っていったね。

 この調子でもっと一気に大量のオーラを流し込むようにすればいけるかな…


 それっ!


「にゃぎゃあっ!お主ら!これは最早攻撃ではないのか!?」

 おおっ、アビスちゃんの肘の辺りまでオーラが入っていったね。

「パーティーメンバーへの攻撃は自身へと痛みが跳ね返る仕様に御座います故、アビス様が痛みを感じているのならこれは攻撃ではないのです!こち達は全く痛くない故、これは攻撃ではないのです!」

 そっか、パーティー組んでるから攻撃扱いのことをしちゃってもアビスちゃんは守られるんだね。

「ふおおっ! 痛いから攻撃ではないなどとな!それは、暴論じゃろう!ひみゃあああああっ!」

 肩までオーラが流れ込んでいってる。

 もうちょっとでアビスちゃんの身体の中でぼくとジゴクのオーラが繋がりそうだ!

 あと一押し!


 えいっ!


「ふいっ! ふいいいいいっ! これはいかん! 痛みが麻痺してきたのじゃ!全身がくすぐったいのじゃよ!」

 身体の芯までオーラが到達するその一歩手前まで届いた!

 でも、アビスちゃんがばたばたと悶えてる。


「もう少しで御座います!」

「あとちょっとだけ我慢してね!」


 少しでもアビスちゃんが苦しまないように、いっそ一思いに…


 いっけぇぇぇぇぇっ!!!


「ふぎゃああああっ!」

「にゃんとっ!」

「うひゃあああっ!」


 そして、三人の叫びが氷精の祠に木霊した。



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