表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
HEAVEN AND HELL  作者: despair
四日目、氷精の祠
168/214

四日目、デート休戦


 敵の居ないダンジョンの中は、進めば進むほどに壁も床も天井も全部が氷で出来ている場所に変わっていた。

 氷の向こうから光が透けてきていて幻想的な綺麗さだね。

 デートには確かに良い場所だ。

 いや、これは氷みたいだけど別の何かかな?

 氷の床の上を歩いるのに全く滑らないんだよね。


「氷の精の管理下にある氷なのでな。歩いた程度では溶けることがないのじゃよ。たとえ氷でも、条件さえ調っておれば石の上を歩いとるのとそう変わらんのじゃ」


 なるほど。

 アビスちゃんは豆知識も豊富みたいだね。


 そのまま氷におおわれた情景を楽しみながら一階層の奥まで進む。

 撫子ちゃん達がそこで待ってくれてたので一時合流だね。


「デートはどうなのよ?」

 にやにやしながら聞いてくる撫子ちゃん。

 その横でシュラちゃんも「気になります!」って興味津々そうにこちらを覗き込んでくる。


「えっと、スキルのレベルを7から10に上げたよ」

「更にはリプシー・マウレイ様の加護の効果が判明したので御座います」

「うむ。不思議とこんなデートもありな気がしてきたのじゃよ」


「って、ないわよ! 全然ないわよ! 有り得ないわよ!」

「そうですよ!もっとこう、何ていうか、そう、大人のデートをしてるって期待してたんですよ!?」

 ええっと、シュラちゃんはお子さま三人にいったいどんな大人っぽさを期待してるんだろうね。

 撫子ちゃんもご立腹みたいだけど…

「さっき呼びに行った時に、あんた達が必殺モードになってオーラ出してた時点で何かおかしいなとは思ったんだけどさ!」

「どうしてデートの最中にスキルレベルを上げてるんですか!?」


 これは凄い剣幕だ!


「ええっと、アビスちゃんを元気付けるための方法を考えてたらそういう話になってたんだよね…」

「然り。新しいスキルがその助けになると思い…」

「ううむ。どれほどの非常識なデートであったとして、その内容にまで口出しすることは謹んで貰いたいものじゃな」


 撫子ちゃんとシュラちゃんが顔を見合わせ、しばし逡巡

 そしてこくりと頷き合う。

 頷いたかと思えば、今度は二人で同時にこっちに向き直ってきた。

 息が合いすぎてるんだけど、これって以心伝心しちゃってない?

「それもそうね。グレーゾーンだけどギリギリセーフにしといてあげる」

「確かに、私が口を出すことではありませんでした。歯痒いですが応援するだけに留めておきます」

 うん。

 分かってくれたようなそうでもないような…


 撫子ちゃんがどうしてあんなに偉そうなのかは気にしないようにしよう。

 うん。

 どうなったらセーフなのさ、なんてことを下手につっかかって、また『理想のテンゴク』みたいな変な演技が始まってもぼくが困るしね。

 うんうん。


「ああ、そうだった。それでさ、スキルを試してみるのに回復ポイントまでの護衛を頼みたいんだけど」

「ああ。確か二階に登ったら入り口の手前にあったはずよ」

 撫子ちゃんが階段の方を指し示す。

「それじゃあ行きましょうか」

「そうだね」


 そして、ぼく達は二階に昇る。

 二階も一階と同じ氷の洞窟だね。

 綺麗だし、何より、モンスターの群れが居なくてほっとする。


「それじゃあまたね。次の階層に行くときには呼びに来るわ」

「はい。今度こそ大人のデートも期待してます!」


 そして、撫子ちゃんとシュラちゃんが先に行く。

 うん。

「青磁くんも先に行ってよね」

「ちぇっ、存在感を薄くしてもダメかあ。それじゃ、ぼくも先に行くね」

 とても残念そうに進んで行く青磁くん。

 この為にさっきから一言も喋ってなかったわけじゃないと思いたいね。

 存在感は薄くても、デートを撮影されるなんてぼくは恥ずかしいからちゃんと気付くよ。

 何故かジゴクとアビスちゃんまで残念そうだけど…

 うん。

 気にしないようにしよう。


「よし、それじゃあ新しく覚えた術を試してみよっか」


 さて、どんな龍が出るんだろうね?

 そして、アビスちゃんとの以心伝心は成功するのかな!?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ