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HEAVEN AND HELL  作者: despair
四日目、アビス登場
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四日目、聖域への来客


 しょうがないから碧さんにマウプーの事情を説明した。

 そもそも、マウプーからのくだらない連絡が多過ぎて仕事にならないから音声を遮断してたらしい。

 碧さんが厳しいのか、マウプーが(やかま)しいのかは判断つかないけどね。

「そこら辺の雑務を担当してくれる精霊でも居たら良いんだけどね」

 そう言いながら、碧さんがヘブンとヘルをちらりと見た。

 おっ、これはそういうことなのかな?


「まあ、ダンジョンの改変のことはこちらだって把握しているからね。あそこは当分は立ち入り禁止さ。そもそも、人がダンジョン内に入っているときに改変できないようにするべきだったんだろう」

 うん。

 マウプーが怒られなくて良かったかな。

「リプシーのダンジョンが立ち入り禁止のままだってっ!?」

 ショックを受けてるマウプー

 うーん、ちょっと可哀想、なのかな。

 ダンジョンマスターとして職を失ったような感じなのか、ちょっとどういう感覚なのか分からないけどね。

「石精の祠であれだけのマナが稼げたんだ。もう当面は問題あるまい」

「そーなんだよー。ちょー良い風が吹いてたんだよねー! 美味しかったなー!」

 うん?

 稼ぎすぎたから休んでて良いよって感じなのかな。

 そんなに可哀想でもないかも…

「だけど、それじゃあリプシー・マウレイが暇だからさ。どうにかならないかテンゴクくんからも頼んでみてくれないかなー?」

 あれ?

 暇ってだけなの?

 怒られなかったから、あとは暇だからってだけなの?

 うーん、ちょっと釈然としないなあ…

「ええっと、マウプーは暇だから何かしたいみたいです。どんな仕事でも良いので何かないですか?」

 ふん、と碧さんはぼくを睨む。

 あっ、今のちょっとマウプーへの当て付けみたいな言い方が気に入らなかったのかもしれないね。

「石精はお前と契約して『天魔』とやらになったんだろう? そのまま使ってやってくれれば良いさ」

 なるほど、今の扱いで良いってことか。

「うっひゃー! これって碧様公認でお出かけできるってことだよね! やっほー!」

 なんだかマウプーが喜んで飛び回ってるけど、うーん、今までと何も変わってないけど良いのかな?

 気の持ちようってやつ?

 喜んでるなら良いんだけどさ。


「そんなことよりも、」

 碧さんがちょっと真剣になって言う。

 シリアスモードって感じだね。

 だけどまだ、わーいわーいとマウプーが喜びながら飛び回っていて、そっちとのギャップが半端じゃないんだけど…

 マウプーの声は碧さんには聞こえてないんだよね。

「今朝、突然の来客があってね」

 碧さんが一層に真剣そうな顔で言うので、ちょっと悪いけどマウプーには帰ってもらおうかな。

 なんていうか、雰囲気が、こうね…

「ちょっと真面目な話みたいだからさ、マウプーは帰っててくれないかな?」

 ふわふわとぼくの方に漂ってくるマウプー。

「おやおやあ? このリプシー・マウレイを仲間外れにするなんてテンゴクくんは正気かい? だけどそれが最適な判断だってことはリプシー・マウレイだって合点承知のこんこんちきさー。真面目な会話なんて肌が苔むしちゃうよ。リプシー・マウレイには困ったもんだー」

 ふわふわと、だけど騒がしくぼくの前を通りすぎていくマウプー

 そこまで自分で言っちゃうなんて、なかなか大物なのかもしれない…

 とか思ってたら、急にマウプーがびゅーんっと飛び出して、ちょっと離れた所できびすを返してぼくを見る。

「なーんてねっ! テンゴクくんのバーカ バーカっ!!」

 捨て台詞を残してそのまま消えてしまった。


「うーん、後で一緒に遊んだほうが良いかな…」

「その時はこちも御一緒いたします」

「うん、ありがとう」


「もういいかな?」

 ぼく達は頷く。

「それでだよ。その来客というのが少し厄介でね」

 こんなところにまで来る厄介者って…

 なんとなく父さんを連想してしまう。

「まさか父さんじゃ…」

 ぼくの呟きに碧さんが軽く失笑する。

「いや、あそこまで厄介ではないよ。正体不明の事情通といった程度だね」

 うん。

 正体不明で事情通って確かに厄介そうだけど、何を考えてるのか分からないくせに何もかもを見透かしてくる無遠慮でわがままで迷惑千万なくせに偉そうな父さんよりはましだよね。

 正体が分かったらただの事情通になるわけだし…

 だけど…


「どうして、その話をぼく達にするんですか?」

 何かあるのかな?


「ああ、実はその子がね、テンゴクに会いに来たと言っているんだよ」

 ええっと、ぼくの関係者なのかな?

 でも正体不明の子って、なんなんだろう…

 思ったより厄介なのかもね。

 誰なのかさっぱり分からない…

 父さんの隠し子かもしれない。


「まあそういうことだから、一度会って話しを聞いてみて欲しいんだよ」

 ぼくへのお客さん、なのにここに来るって、確かに意味が分からないけど…

「分かりました。それで、その子? どこに居るんですか?」


「ああ。地下牢に閉じ込めているよ」

 ぎゃー!

 ぼくのお客さんが牢屋に入ってるー!?

 碧さんってば、そこまでするんだ!?

「自力で此処まで来るような侵入者には、これでも甘過ぎるくらいだよ」


 うーん、大人って怖い!



リプシー・マウレイの扱いが酷いって?

そうなんです。

作者も扱いに困ってます。

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