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HEAVEN AND HELL  作者: despair
四日目、魔女の館
144/214

四日目、テンゴクとジゴクも契約しよう


「さて、次はこち達の番で御座いますね」


 ん?

 ぼく達の番?

「どういうこと?」

 ヘブンとヘルも首をひねっている。


 だけど、ジゴクは当然なことのように、誰も考えもしてなかったことを言い出した。

「はて、次はテンゴクとこちが契約をされる番なのだと思っておりましたが…」

 たまに変なことを言うジゴク。


「流石になあ、ただの人格の俺達ならともかく、お前達ってちゃんと身体のある人間だろ?無理じゃないか?」

 ヘブンはぼくと同じ考えみたいだね。

 それだと、いつでも誰でも召喚できそうだよね。

「それに、召喚する側とされる側には暗黙の上下関係みたいのがあるんじゃないの? 使い魔に召喚されるマスターって感じになっちゃうし、ちょっと変よ」

 ヘルの意見にも同感する。

 召喚したりされたりしするのって、ちょっと変だよね。


「その事情は存じておらず、乱堂汕圖が自身を召喚している節が有りましたゆえ、こち達も召喚されることが可能であるのだと思い込んでいたようで御座います」

 うんうん、そうだよね…


「って、いけるんじゃない!?」

 召喚のやり方とか違う可能性が高いけど、前例はあるんだよね!

 少なくとも、試してみる価値はある!


「んじゃ、試してみるか。『ジョブ魂:天術使い』『インストール』!」


 試すためにヘブンが天術使いになる。

 だけどどっちと契約するのかな。


「いくぜテンゴク、『天魔契約』!」

 そんな不意討ち!

 って、特に変化ないね…?

 あっ、ぼくの名苻みょうぶがぽんっと現れた。


「天魔契約を受理しますか?」

 うん、名苻みょうぶにはそう書かれている。

 イエスとノーの選択肢の、ぼくはイエスをタッチした。


「うん、特に変化はないけど、召喚できる?」


 あれ、今から瞬間移動するのかな…?

 ちょっと緊張してきた…


「よっし、行くぜ! 」


 来るっ!


「『天魔召喚:テンゴク』!」


 ふっと、立ちくらみみたいな感覚が一瞬あって、そして気付けば目の前にジゴクが居た。


「成功だね…」

 

 これって凄い…

 いつでも何処にでもというわけには行かないけど、戦略の幅はぐっと広がるんじゃないかな…


「それじゃあ次は私ね。『ジョブ魂:地術使い』『インストール』からの、『地霊契約』!」


 ヘルの『地霊契約』で、ジゴクの前に名苻みょうぶが現れた。

 ジゴクが筆で名苻みょうぶに何やら書き込んでるね。


「これで完了で御座います」

「それじゃ、『地霊召喚:ジゴク』」


 そして、ぼくの近くにいたジゴクの姿が消えて、今度はヘルのすぐ近くに現れる。

 成功だ。


「ふふん、テンゴクからジゴクを拐うのなんて私には簡単なのよ」

 あれ、なんだかヘルがとても満足げに自慢してくるよ。

 それじゃあ…

「『天魔召喚:ヘル』」

 そして、ぼくのそばに現れるヘル。

「ちょっと、何すんのよ。『地霊召喚:ジゴク』!」

 あっ、ヘルがジゴクを召喚して、ぼくはジゴクとヘルに挟まれた。

 ヘブンは「ぎゃははっ」と笑っている。

 うん、名前のせいでとても変な状況に思えるね。

「喧嘩は駄目で御座います。『地霊召喚:ヘブン』」

 そして四人が集まった。

 うん、皆が集まると召喚での移動はできなくなるね。


 ついでに、ぼくと天魔契約をしたヘルに、今度はジゴクが地霊契約を試してみたけど、それは何の効果もなかった。

 天魔と地霊の両方にはなれないみたいだね。

 他にも問題はある。

「これ、MP消費がかなり多いね」

 『天魔召喚』一回で24もMPが必要だ。全快のの状態からでも10回しか召喚できないね。

 他の術も使うなら、瞬間移動目的でバトル中に使うのは厳しいかな…

「レベルをもっと上げましょう」

 うん、そういうことだね。


「それでテンゴクさん、私達とは契約できないのですか?」

 今度はシュラちゃんの疑問。

「うーん、試してみようかな?」

 ジゴクの方を伺うと、うんうんと賛成してくれた。

「でも、どっちと契約する?」

 天魔か地霊…

 一度選んだら後戻りはできない、かもしれない。


「なっ!? お二人のどちらかを選ばなくてはならないと…」

 あれ、シュラちゃんが絶句した。

 でも、両方とは無理なんだよね。

「まあ、天魔だったらテンゴクと俺が召喚できるし、地霊だったらジゴクとヘルが召喚できるんじゃねえのかな?」

 うん、ヘブンの言う通り、間接的にはどっちでも召喚出来そうだよね。

「出来るかどうか、試しにヘブンがマウプーを召喚してみる?」

 ぼくの提案に、うーんと唸るヘブン。

「なんとなく、俺はあいつって苦手かもな。まあいいや『天魔召喚:リプシー・マウレイ』」

 苦手そうとは以外だったけど、ちゃんとマウプーは召喚された。

 相変わらずのクリオネみたいな丸っこいで見た目は可愛いね。


「はーい、愉快なみんなの石の精、リプシー・マウレイ参上だー! って、おいおいテンゴクくーん! いつの間に髪の色を変えたんだーい!? 目付きもちょっと鋭くなっちゃってさ。リプシー・マウレイもびっくりだよ!!キュートな目玉がびよよよよーんだよ!」

 宝石の目がびよんっと飛び出す。

 マウプーは相変わらずよく喋るね。

 ヘブンが「ちっ」って舌打ちをする。

「うわあ! ねえねえテンゴクくーん! あっちの黒髪のテンゴクくんが舌打ちしやがりましたよ? 同じテンゴクくんとして何か一言コメントプリーズ!?」

 今度はぼくの方に話しかけてくるマウプー。

 舌打ちしたい気持ちはよく分かるね。

 とってもうるさい。

「やっぱり苦手だな。しかも、召喚はできても還す方法が分からねえときやがった…」

 ヘブンがマウプーをむんずと掴んで放り投げる。


「ちょいちょいちょちょちょいちょいちょちょーい!!」


 謎の悲鳴を上げながら飛んでいくマウプー。

 うん、静かになったね。

「よし、とにかく召喚はできるみたいだ。五月蝿いのが帰ってくる前に契約しとこうぜ」

 マウプーには悪いけど、ぼくもその意見には同意する。


「それじゃあ、テンゴクさんと付き合いの長いお姉ちゃん達はテンゴクさんと契約して、私はジゴクちゃんと契約しましょうか?」

 あれ、いつの間にかシュラちゃんが撫子ちゃんをお姉ちゃんって呼んでるね。

 多分、シュラちゃんの方が年上だけど、見た目は小さいから良いのかな?


「ボクは良いよ。テンゴクくん達って分身したり瞬間移動したり、何だか撮り甲斐があって面白そうだしね」

 青磁くんの同意をゲット!

「ふーん、よく分かんないけど、デメリットがないなら良いわよ」

 撫子ちゃんも了解してくれたね!

「それじゃあ、契約を…」

 そう言いかけたぼくを遮る撫子ちゃん。

「はあ? 私はデメリットがないならって言ったでしょ!?」

「あれ、デメリットは特になさそうだから良いのかと…」

「そんなわけないでしょ!? なさそうじゃだめ! ないなら良いの! はっきりしてよ?」


 ああっ!

 これは参った!

 撫子ちゃんってばしっかり者だあ!


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