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HEAVEN AND HELL  作者: despair
四日目、魔女の館
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四日目、テンゴクvsジゴクちゃん、その3


 空中で『天盤』の上に乗っかってるぼくと闇天国(ダークテンゴク)

 あれ、どうやって降りたら良いんだろ?

 前はこういう状況のときは山吹さんがいつの間にか背後に居たんだけど、さすがに夢の世界にまで現れてくれないみたい。

「こりゃあ、飛び降りるしかないんじゃないか?」

 ぼくは『天盤』のふちから下を覗く。


 それなりに高い。

 ジゴクちゃん達が親指よりも小さい。

 さっきは空に膜みたいのがあったのに、それはもうなくなってるのかな。

 地球だったら確実に即死する高さだと思う。

 異世界イツ・ルヒだったらパラメーターを割り振ってるから大丈夫だろうけど、それでも自分から飛び降りるのって…

 

「びびってんの?」

 まあね!

「お前ってさ。もうちょっと仲間を信じて頼ってみると良いんじゃねえの」

 そこら辺は父さんのせいで人間不信になってるのかも…


「あっそ、よっと!」


 ん?

 闇天国(ダークテンゴク)がぴょんっと飛び降りた。


 今、ぼくは『天化』されてて、闇天国(ダークテンゴク)は『地化』されている。

 天と地が引かれ合うように、ぼくは闇天国(ダークテンゴク)に引っ張られる。


 つまり、一緒に落ちちゃった!


「おっ、どうだこれ? 『天地一体の理』とか名付けちゃうか?」


 こんな必殺技は嫌だ!

「これはただの道連れだって!しかも『天地』じゃなくて『天天』だよ!」


 ぎゃははって大笑いしてる闇天国(ダークテンゴク)

 もう、どうしてそんな余裕なのかな。


「まっ、下には頼れる仲間が二人も居るんだぜ? 何とかしてくれるだろうさ」


 ああ、そうだよ!

 ぼく達のピンチをジゴクちゃん達が放っておくわけないよね!


「まっ、お前は一人じゃないんだぜ」


 さすがに闇天国(ダークテンゴク)は格好いいね。

 ぼくと同じ顔だとは思えないくらいだ。


「さっきまで言い争ってたり、蹴飛ばされりしたばっかりなのに、それでも信じられるなんてすごいよね!」


 ぼくはとても感心した。


 そして、ぼく達は仲間を信じながら

 とてもいい気分のままで地面に落下した


「ぐえす!」

「いってえ!」


 あれー?


「大丈夫で御座いますか!?」

「無事なの!?」


 ジゴクちゃん達が駆け寄ってきた。


 何とか立ち上がるぼく達、異世界イツ・ルヒでだって普通に落ちたら普通に痛いんだね。

「大丈夫だよ」

「何とかな」


 ジゴクちゃんがぺこりと頭を下げる。

「あまりにも堂々と落ちてこられたので、何やら策があると思ったのですが…」


 闇地獄(ダークジゴク)ちゃんは怒ってるみたい。

「ふざけてんの!? 無防備で飛び降りる馬鹿が二人も居るなんて想像できないわよ! 二人ともバカテンゴクよ!」


 ぼくも、こんなにリラックスして紐なしバンジージャンプするなんて思わなかったけどね。

 闇天国(ダークテンゴク)ってば、肝心なところで何にも考えずに動いちゃうんだね。


「まっ、何とかなっただろ?」


「もうちょっと自分でも行動するべきだったかな」

 他人任せで紐なしバンジーするのはちょっとやり過ぎだったね。

 

「そちの軽率な行い、テンゴクの下敷きになって衝撃を受けて居らねば許せぬもので御座います!」

 あれ、闇天国(ダークテンゴク)ってばぼくの下敷になってくれてたの!?

「まあ、俺が闘士だったしな。それくらいは当然やるっつうの。本当に潔癖ケッペキちゃんだよな!」

 闇天国(ダークテンゴク)は当然だって言うけど、なかなか簡単に人の下敷きにはなれないよね。

「こちが潔癖ケッペキちゃんであるならば、そちは軽薄ケイハクくんで御座います! てんご様がテンゴくんからのテンゴクと呼ばれるに到った道理と同じく、そちはケイハくんとでも名乗るべきで御座いましょう!」

 おおっと、闇天国(ダークテンゴク)ってさすがに名前としてどうかと思ってたんだけど、ケイハくんって格好良いし良いんじゃない?

「ああっ? そんじゃあ俺は闇軽薄(ダークケイハク)でお前は超潔癖(スーパーケッペキ)ちゃんな!」

 あれ!?

 よく分かんない方向に進んでいってる!

 意識が繋がってないとグダグダの言い争いをしちゃうのかな…


「ぼくは、闇天国(ダークテンゴク)が下敷きになってくれたんなら全然文句はないんだけどね。っていうか感謝するべきだと思う。元々、異世界イツ・ルヒだったら平気な高さだしさ」

 ぼくが怖がってただけなんだよね。


「いや、闇天国(ダークテンゴク)が下になったのって偶然でしょ?」


 おおっと、ここで闇地獄(ダークジゴク)ちゃんからの横槍だ!

 闇天国(ダークテンゴク)にぐさりと刺さるよ!

「あっ、バカ!言うなよ!話がややこしくなるだろ?」


 えー、偶然だったんだ…


「なんと!先ほどの言葉は偽りであったと!」

 ジゴクちゃんがぼくの分まで怒ってくれてるね。

「まあ、気付いたのは飛び降りてからなんだけどな、偶然じゃないんだぜ。俺が『地化』されてただろ?そんでテンゴクが『天化』されてたから俺が下になったんだって、絶対」


 えー、そんな現象は今までなかったような気がするけど…


「ふむ、天地化によって重心が地に寄るのでしょうか。そこにあの高さからの落下であれば確かに偶然ではなかったと言えましょうが…」


 おお、何やらジゴクちゃんが納得してるから本当っぽいね。


「然れども、それは偶然ではなかったとしても、偶々《たまたま》では御座いませんか!」


 んん、偶然じゃなくてたまたまだって…

 どういうことだろ…


「どうでも良いけど、あんた達っていつまでくっついてんの?」

 そう言えば、ぼくと闇天国(ダークテンゴク)が今は天地化されてて離れられないんだよね。

「ああ、闇地獄(ダークジゴク)ちゃんも『地化』が解除出来ないんじゃねえの? 俺は闘士になってから解除出来なくってさ」

「ん? あれ、本当だ! なにこれ変なの!それじゃあ、『ジョブ魂:地術使い』『インストール』! あっ、ちゃんと解除出来たわね」

 ぼくと闇天国(ダークテンゴク)の身体が離れる。

 転職するまで解除出来ないとか不便だね。

 いや、天地化を維持して闘士になれるんだし使い道もあるのかな…

 っていうか、そろそろ別の職業も欲しくなってきたなあ…


「ついでに自分を『地化』!」


 ん?


 あれっ!


 闇地獄(ダークジゴク)ちゃんに身体が引き寄せられてく!

「ふふん、これで闘士になったら解除出来ないのよね。『ジョブ魂:闘士』『インストール』!」

 そして闇地獄(ダークジゴク)ちゃんがぼくにしがみついて離れなくなった!


 なにこの状況!?


「不埒者が! こちを『地化』!」

 あっ、何やら怒ってるジゴクちゃんも自分を地化してぼくの方にやって来た。

 そして引っ張り合われる可哀想なぼく!

「ちょっとなんなの!?」


 闇天国(ダークテンゴク)はぎゃははははははって大笑いしてる。

 ぼくは大変な目にあってるのにね!

 こうなったら…!


闇天国(ダークテンゴク)を『天化』!」


 よし!

 闇天国(ダークテンゴク)もこっちに引っ張られて来たよ!

「あっ、マジかよ!」


 そして、ぼく達は四人で仲良く輪になって手を繋ぎましたとさ。

 めでたしめでたし。


「いや、どうすんのこれ?」


 うーん、どうしようね!





さて、どうしましょうね?

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