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HEAVEN AND HELL  作者: despair
四日目、魔女の館
133/214

四日目、戦いの後、動画観賞(シュララバ視点)


 あわわわわわ…

 とんでもないです。

 セイジくんの『動画配信者ムービーサプライヤー』の能力がとんでもないんです。

 さっきの戦いの様子が全て保存されているんですよ!


〔私、あの二人が大切だから、だから、絶対に、〕


 うう、ムービーというものの中で私が泣いています。

 表情まではっきりと見えてしまいます。

 自分の泣き顔なんて見て面白いものではないですね。

 恥ずかしいです。


〔うわあ、めっちゃ可愛い!〕


 ナデシコお姉ちゃんがめっちゃ可愛いと言ってる私のどこが可愛いのかさっぱり分かりません。涙でくしゃくしゃですよ?

 しかも自分が抱きつかれてる光景を見せられるのは何かの罰ゲームでしょうか?


〔ははっ、カメラ回ってんのにこんなの恥ずかしくて言えないや…〕


 ああ、今ならこの言葉の意味が分かります。

 完全に同意できます。

 私は今、とても恥ずかしい思いをしていますから。

 最初に教えて欲しかったです。

 いえ、聞けば良かったですね。


 ムービーの中で倒れるお姉ちゃんの姿。

〔あっ、まだ攻撃してるの忘れてました!〕

 うわぁ、私って間抜け!

 いえ、何がなんでも勝つつもりだったあの時は、それで良いと思って攻撃してたんですけど…

 改めて見てみると、これはズルいを通り越しています。

 酷いです。

 泣いてる私を慰めてくれていたお姉ちゃんを倒しちゃうなんて外道です。


 しかも、お姉ちゃんって呼んどいて私の方が年上らしいんです。

 セイジくんの話では、ナデシコお姉ちゃんはまだ10歳。

 私は11歳で、お姉ちゃんは10歳。

 実際の差は半年くらいですが、私の方がお姉ちゃんよりお姉ちゃんみたいなんです。

 地球の人は見た目年齢が高いってことは知っていたんですけどね…

 どうしましょう。

 ナデシコお姉ちゃんが起きたらなんて言えば良いんでしょう…

 あなたはお姉ちゃん失格です、なんて言いたくないですよ。


〔はい、この勝負、小悪魔シュラちゃんの勝ちー!〕


「うーん、小悪魔ってなんですか?」

 今度はちゃんと聞いておきます。

 でも、小さい悪魔ってさすがに悪口なのでは…


「自分の可愛らしさで周りを惑しちゃう人を小悪魔って言うのよ。つまり、魅力的ってことよ」

 ミルチャン先生が教えてくれました。

 私が魅力的!?

 ムービーの中の私はちょっと情けなさすぎて、見るに耐えないのですが…


「でも、今の説明だとちょっと迷惑な人って感じもするんですけど…」

 とはいえ、あんなとんでもない方法で勝ってしまうと、迷惑だと思われてもしかたないですよね。


「天然みたいだし良いんじゃない? 半分くらい自分に酔いしれてるみたいな小悪魔だと嫌われるかもしれないけど。シュラちゃんの小悪魔っぷりは嫌な感じしなかったから大丈夫だと思うよ」

 セイジくんが良いと言ってくてました。

 ですが、天然の小悪魔って…

 にっこりと笑って敵対しないようにすればナデシコお姉ちゃんは変身出来なさそうだから勝ち目あるとか考えてましたし、気付かれないように攻撃したりとかしちゃってます。

 けっこう、途中までは狙って行動してました。

 本当に良いのでしょうか?

 いたずらが完璧に成功して誰にも私の仕業だと気付かれなかった時に、なぜかちょっと白状しちゃいたくなる時の気持ちに似ています。

 隠してることが息苦しいって感じです。


「うーん… っと…」


 あっ、ナデシコお姉ちゃんが目を覚ましました!

「すみません! つい倒れるまで攻撃しちゃってました!」

 私は謝ります。

「ああ、別に良いよ? 攻撃されてるの気付いたのにシュラちゃんと戦う気分になれなくて、どうせ変身出来そうになかったらね。私がそんな気分の間に倒しちゃうのが正解じゃない?」

 うう…

 そう言われると、攻撃をやめてたらいつ変身されたか分からないですもんね…


「ねえねえ、撫子ちゃん。実はシュラちゃんってね…」

 ああ、私の方が年上だと言われてしまうのでしょうか…

 言うべきことなのに、どうしてこんなに罪悪感を感じてしまっているんでしょう。

 うう…

 いっそ妹扱いで良いんですけど…


「シュラちゃんって、ボクたちより年上だったんだよ! しかも、地球だったら同学年!」

 ああ、言われてしまいました。

 とても反応が怖いです…


「うっそ!?」

 お姉ちゃんが、信じられないという顔つきになるりました。

「私、思いっきり年下扱いしちゃったけど!? あー、でも言われてみればシュラちゃんって私よりしっかりしてるもんね! そっか! シュラちゃんの方がお姉ちゃんだったんだ!」

 はい、軽い感じなんですね。

 ちょっと羨ましい感性です。

「その、見た目がどうしても年上なので、お姉ちゃんと言われるのは違和感ありすぎますね…」

 これって、地球人と異世界イツ・ルヒの人が交流を深めるにあたっての重大な問題ではないでしょうか。


「あはは。 別に良いわよ。 年上の妹キャラってなんかすごいね。しかも金髪ゴスロリお人形ルックスで、天然純情系小悪魔で、引きこもってたのに戦える上に勝利に貪欲って、ちょっと欲張り過ぎじゃない?」


 もっと重大な問題があったようです!

 何を言ってるのか理解が出来ませんでした!


「ええっと、どういう意味なのか分かりません!」

 文化の違いが何より大きな問題なのかもしれませんね!


「ふふふ。シュラちゃんがとっても魅力的ってことよ。先生も強く同意するわ」

 ミルチャン先生が曖昧に濁した説明をしてくれます。

 なんでしょう。

 私、けっこう普通だと思ってたんですけど、地球の方達は私に優しすぎではないですか?

 それとも、地球の基準では私って本当に魅力的なのでしょうか!?


「ほら、あの青磁くんの動画を見て」

 ナデシコお姉ちゃんが指差したのは、さっきの戦いが映されたムービーでした。

 う、また最初から再生されてます。

 私が『想いよ伝われヘヴィーコミュニケート』で吹き飛ばされるシーンでした。

 戦い方の研究には良いかもしれませんね。

「自分の戦いを改めて見るのはとても恥ずかしいですね…」


「ほら、私じゃなくてシュラちゃんを中心に撮ってあるでしょ? シュラちゃんが可愛いから、青磁くんもシュラちゃんをメインに撮っちゃったのね。青磁くんを夢中にさせちゃうなんて、うん、罪深いわね」

 言われてみると…

 確かに私が常にムービーの真ん中にいますね…

 そういうものだと思って見ていましたが…

 これって…


「撫子ちゃんはいつも撮ってたから飽きちゃってるかも…」

 あっ、そういうことですか!

 目新しい方を見ちゃうのは納得ですね。

「もう、青磁くんもシュラちゃんが可愛いから後でじっくり見たくて撮っちゃったくらい言いなさいよね… じっさい、後でじっくり見るんでしょ?」

 えええっ!

「後でじっくり見られるんですか!?」

 それはちょっと…

「もう、後でムービーを編集するからだよ? じっくり見るのもいつものことだからね」


 セイジくんの話では動画を短くして保存するために編集という作業をするとのこと。

 だからじっくり見るらしいです。

 それなら納得ですね。

 じっくり見られる恥ずかしいですけど、それがセイジくんの職業の役割ならしょうがないですね。



「さて、そろそろあっちも終わりそうね」

 ミルチャン先生がまた空に画面を出しました。

 今度はテンゴクさんが二人に、ジゴクちゃんも二人います。

 なにやら争ってます…


「いったい、何がどうなってるんですか!?」

 本当に、テンゴクさん達って不思議です!


「今から行ってみましょう。はい、『マジカル⭐ゲート』」

 はい、の所から何故か声色が可愛らしい感じになるのはなんなんでしょう?


 おっと、そんなことよりテンゴクさん達の元へ向かいましょう!

 お二人がどうなってるのか、とても気になります!




シュラちゃん視点はここでおしまい。

次回からはテンゴク視点に戻ります。

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