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HEAVEN AND HELL  作者: despair
四日目、魔女の館
131/214

四日目、シュララバVSプリレリ(シュララバ視点)

シュラちゃんvsナデシコちゃんの開幕です。

作中の『プリレリ』はプリ○ュアみたいな変身ものをイメージして作ったオリジナルのやつです。


 さて、地球人のナデシコさんとのバトルすることになりました。

 戦うためにお菓子の国の中にあるシュガークラフト遺跡という場所に来たのですが、遺跡というわりに何もなくて、見た感じはただの広場です。

 ナデシコさんは『プリレリ』って職業だと言ってましたね。地球人の職業は想像もつかない能力を持ってそうで楽しみです!


「『ジョブ魂:プリレリ』!『インストール』! 」


 ナデシコさんがジョブ魂を体にとりこみました。

 この時って隙がありますよね。

 あらかじめ狙ってないとつけそうにない隙ですが、この点は地球の人達の弱点だと言えそうです。


「それじゃあ、ボクは二人の戦いを撮ってるね。『ジョブ魂:動画配信者(ムービーサプライヤー)』 『インストール』!」

 セイジくんもジョブ魂をインストール!?

 あれ?

 戦いはしないんですよね?

 戦いを撮るって言うのはサポートとも違うんでしょうか?

 撮るってなんなんでしょう?

「ああ、青磁くんは気にしないで良いわよ」

 ナデシコさんもそう言ってますが気にしなくて良いなら何をしてるんでしょうね?

 とても不思議です。


 さて、ジョブ魂はありませんが、何だか不公平な気がするので私も職業名を言っておきます。

「私は『盾鎧武闘ジュンガイブトウ』の『ツバサ』使い、シュララバ・ラプトパです」

 私は『ツバサ』の『ハネ』を二枚出します。


「へえ、何度か見たけど、その翼? それってましゅまろみたいだね。そんなので戦えるの?」

 そう言われると、色といい柔らかさといい、私の『翼』はましゅまろに似ていますね。

「ふふ、そんなに甘くはないですよ」

 ナデシコさんがぽりぽりと頭を掻くような素振りを見せる。

「ふーん、まあいいや。さあ、かかっておいでよ!」

 戦闘体勢に入るナデシコさん。

 なんでしょう。あまり強そうな感じはしませんね。

 私は『羽』を一枚飛ばして様子を伺ってみます。


 ぺちんっ


 なっ、ナデシコさんは翼を顔面で受け止めました!

「ちょっと、顔を狙うって酷くない!?」

 なぜか戦いの最中に文句を言ってきます。

「そういやさ、シュラちゃんって何のために戦ってるのさ?」

 なぜか戦いの最中にお喋りをしてきます。

「私は、テンゴクさんとジゴクちゃんを守るために戦います。あと、ヤマブキ様みたいに強くなりたいです」

 お喋りの隙をついてくるわけでもないようです。

 何が狙いなんでしょうね?


「ははっ! くっだらないね!」


 えっ…?

 私は耳を疑います。

 何を言われたのか一瞬分かりませんでした。


「 シュラちゃんってそんな強くないんだからさ、守られる方が迷惑だって思わない? そんなの私がやったげるから、シュラちゃんはおうちで一人で遊んでたら良いよ!」

 ナデシコさんが私に向かって跳んできます。

 私は…


「私の覚悟を、馬鹿にするなっ!」


 怒っています。

 怒りがふつふつと沸き上がってます。

 跳んでくるナデシコさんを二枚の『翼』で掴み、押さえ込み…


「『純化障壁ピュアバリアー』!」


 『羽』の周りにバリアを展開!

 私のシールドを消費して強制的にダメージを与える技です。

「へへへっ。シュラちゃんこそさ、テンゴクのこと馬鹿にしてるんじゃないの?」

 バリアに包まれたままで、つまりダメージを受け続けたままで笑っているナデシコさん。

「私がテンゴクさんを馬鹿にしてるってどういうことですか!?」

 これでも尊敬してるつもりなんですけど!

「そう? あいつがあんたに守られてるような弱っちい奴だと思ってるんでしょ?」

 挑発的な言葉が続きますね。

「テンゴクさん達は後衛職です。前衛の私が守らなくてどうするんですか!?」

 だけど、私にだって主張があります。

 テンゴクさん達が強くて、私が弱くても、それぞれの役割は違うんです。

「べっつに、シュラちゃんが守んなくても良いんじゃないの? 私だって前に立って戦うよ? 私がテンゴクを守ったげるってば。 ねえ、ほら、戦う理由がなくなったよ!」

 バリアの中にいる間は確実にダメージが積み重なっているはずなんですけど、ナデシコさんは抵抗するでもなく挑発を続けてきます。この余裕はいったいなんでしょう?

 でも、私がここで引けない理由ははっきりしています。

「そんな軽い気持ちで、人を守るなんて言わないで下さい!」

 まるで片手間でできることみたいに「それくらい、私がやっといてあげる」とでも言うかのようなナデシコさんの発言が、私はやっぱり頭にきています!

 あと、ジゴクちゃんのことを守るって言わないとこもイライラします。

 もう二枚の『羽』を出して、合計四枚の羽でナデシコさんを四方から押さえつけます。


四重よつがさね純化障壁ピュアバリアー』!」


 どう考えても私の有利な状況です!

「このままだと、何も出来ないままでナデシコさんの負けですよ!」

 四重のバリアの中でMPを削られ続けているはずのナデシコさんは、だけど、へらへらと笑い…


「うん、お待たせ。やっとやる気が出てきたよ」


 どういう意味でしょう?

 いえ、そう言えば「戦える状態になるまでに時間のかかる戦士」って言ってましたね…

 この状況からようやく?

 そんなのでテンゴクさん達を守るとか言ってたんですか?

 本当に、頭にきました!


「遅いですよ! 『純化風撃ピュアブロウ』!」


 四枚の『羽』からバリアウェーブをナデシコに直接叩きつけます!

 衝撃がぶつかり合う激しい音が何度も響きます。こんなに気持ち良く技が決まると気持ちいいですね。

 さて、今度はどうですか!?


「『先史の魔装(レリックドレス)着想(コンセプション)』!」


 バリアの波の蠢くその中からナデシコさんの声が聞こえたかと思うと、大きなエネルギーの奔流が私の『羽』をバリアごと吹き飛ばしていきました。

 攻撃系のスキル!?

 でも、なぜかナデシコさんの服装まで変わっています。

 武装召喚でしょうか?

 今までの地球人スタイルの軽装から、可愛らしい装飾のついた鎧の武装に変わってますよ。

 防御力は低そうですがとても動きやすそうな鎧です。

 特殊効果もありそうなので油断はできません。

 私はナデシコさんの出方を伺います。


「可憐に舞ってハートビート! 想いを胸にフィルソグッド! 高潔なる姫のレリック! プリティーレリカ! 見参っ!」


 くっ…!

 ナデシコさんがなにやら叫びながらポーズを取っています。

 しかし、効果も狙いも分かりません。

 地球人の天職は難解だとは思っていましたが、まさかここまで理解できないものがあるとは…

 私は再び、牽制に『翼』を一枚飛ばしてみます。


「遅いっ!」


 『翼』を避けて真横に駆け出したナデシコさん。

 そのまま私の後ろに回り込むようにぐるりと走っています。

 私はナデシコさんの方へと向き直り…


 っ!


 振り向いたときにはもう、私の懐にまで迫っています。

 速いっ!


「お待たせしました!私のターン!」

 ピタリと私のおでこに当たるナデシコさんの手の平

 避けれない…

 『翼』で防ごうにも距離が近すぎます!

 なら…!


「『想いよ伝われヘヴィーコミュニケート』!」


 ナデシコさんのスキルによる衝撃波が私を襲います!

 弾き飛ばされる私の身体…!

 でもっ!

 私の後ろに二枚の『翼』を展開!

 『翼』をバネのように使って自分を受け止めて、その反動を利用してナデシコさんへと自分自身を投げ返します!


「っ!」


 投げた勢いはそのままに残りの二枚の『翼』を前方に展開!

「『純化障壁ピュアバリア』!」

 バリアも張ってナデシコさんに突撃です!


「プロレスラーかっ!」


「くうっ!」

 よく分からない掛け声とともに、バリアごと蹴り飛ばされました!

 ちょっと!

 さっきの技よりただの蹴りの方が攻撃力が高いんですけど!

 何とか転がって地面に着地します。

 ちぇっ、やっぱり強いですね。

 でも…

「そのスタイルになるまでにずいぶんと時間がかるみたいですけど、そんなので本当に人を守れるって思ってるんですか?」

 強い相手にあの隙は致命的でしょう。

 ナデシコさんは「へへっ」と笑ってから言いました。


「私の『プリレリ』ってさあ、強い気持ちがないと変身できないんだよね。シュラちゃん良い子だから、変身するまで時間かかっちゃったけどね。悪いやつ相手だったり、仲間に危機が迫ってたりしたらさ、もっと簡単に変身できるよ?」


 それって、だから挑発して怒らせて、戦いたい気持ちを高めていたってことですよね。

 んー…

 あれ…?

 困りました…


「良い子だなんて言われたら、攻撃しにくくなっちゃったんですけど!」

 これが作戦だったらずるいですよ!


 でも、ナデシコさんはそんな私の隙をついてくることもありませんでした。

「ふーん、いい子いい子されたら戦えなくなるなんて、やっぱりシュラちゃん戦いに向いてないんじゃないの?」

 再び挑発をしてきます。


 あれ?

 今の挑発って私を戦いたい気分にさせるためにわざわざしてくれたんでしょうか?

 それって…


「そんなに私とは戦いにくいんですか?」

 だったらどうして勝負を持ちかけたんでしょうね?


「そりゃあさ、シュラちゃんって小さくて可愛くて、こんな妹が居たら良いなっていう私の理想像なのよ。そんな子が戦おうとしてたら心配になってもしょうがないでしょ?ミルチャン先生の前に立つのは危ないんだよ。だから、本当に戦えるのか試したかったんだよね。でも、シュラちゃんと戦うのけっこう楽しいし、さっさと続きやろうよ!」


 うん、全部話してくれました。

 最初はイライラしましたが、この人…

 口が軽くて遠慮なくなんでも素直に言っちゃうところはあるんでしょうけど…


 でも、とっても良い人みたいです!



次回で戦い(?)は決着します。

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