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HEAVEN AND HELL  作者: despair
四日目、魔女の館
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四日目、夢の世界でましゅまろ体験(シュララバ視点)

異世界人のシュラちゃんのお菓子体験です。


 甘い香りや爽やかな香り、ときには刺激的な香りで満ちた『お菓子の国』という場所に入りました。

 そこは、目に映るものの全てが人造物のように思えるのですが、それがどのような意味を持って作られたものなのか理解ができませんでした。

「ここは、私の夢の世界なの。異世界イツ・ルヒの人には馴染みのないものがたくさんあると思うけど、怖がらずに堪能して欲しいわね」

 足下は茶色の板の敷き詰められた道

 道の脇には縁石みたいな白いもこもこ

 家や植物はどれも色とりどりの装飾が施されていて、そこに使われていない色を探す方が難しいくらいです。

「おっ、青磁くーん! シュラちゃんきたよー!」

 ナデシコさんが先に来ていたみたいです。

 こっちに手を振りながら、ちょっと離れたところに居るらしいセイジくんという男の子を呼んでいます。

 私はちょっとこの人のことが苦手です。「地球側の事情に口出ししないで欲しい」と怒られたり「ぷっ、そんな大したもんじゃないわよ」と笑われた時から苦手です。

 でも、私も怒って『翼』まで出してしまったのは反省ですね。

 私の『翼』は喧嘩の道具ではないのです。

 あの時のテンゴクさんは私の気持ちをおもんばかって怒ってくれたんですよね。私も怒る時は誰かのためでありたいと思います。

 テンゴクさんもミルチャン先生も、まるで自分のことのように他人の気持ちを考えていて凄いですよね。

 ジゴクちゃんも自分が狙われてるっていう時に私の身を優先しようとしてくれたし…

 

 ああ…

 昨日は皆に凄く心配をかけてしまったのかもしれません…


 乱堂らんどう汕圖さんずからジゴクちゃんを守るためだったと言っても、私がしたことはただの時間稼ぎです。

 ヤマブキ様とテンゴクさんが助けに来てくれるまでの時間稼ぎは確かにできました。

 だけど、本当にギリギリだったんですよね。

 もう一度あの状況になったとしたら、私は同じようにジゴクちゃんを守れるでしょうか…

 昨日の私の行動は正解だったのでしょうか…


「シュラちゃん! 浮かない顔してないでそこの白いのでも食べてみなさいよ!」


「わっ…!」

 いきなりナデシコさんに腕を捕まれてびっくりしちゃいました。

 考え込んじゃってましたね。

 それにしても、そこの白いのって…

「道の端に並んでる白いもこもこですよね?」

 地球人は何でも食べるのでしょうか?

「ああ、こっちの世界の人は知らないわよね」

 そう言って白いもこもこをひとつまみ分だけ引きちぎったナデシコさんは、それをむしゃむしゃと食べてしまいました!

 あれ、道を食べたら怒られませんか!?

 ええっと、でもミルチャン先生はにこにこしてますね…

「ましゅまろ、おいしいよねー」

 いつに間にか隣に来ていたセイジくんも、同じようにましゅまろなるものをひとつまみ食べました。

「んー、私は苦手だなー」

 そう言いながらもうひとつまみ、ましゅまろをちぎって食べるナデシコさん。

 苦手なのに食べるんですね。

 月間ヤマブキの地球人紹介のコーナーに「地球人はご飯を食べる。好き嫌いせずに何でも食べれる方が立派だとされているんだ」って書いてたのを思い出しました。

「あー、異世界の人って何も食べないんだっけ?」

 おっと、誤解があるようですね。

「祭典の時や、状態異常の治療などで食べることはありますよ。昔は食事で経験値を取っていたようですけど、今は敵を倒せば経験値が貰えるので食事がいらないんですよね」

 なんででしょう。とても不思議そうな顔で二人がこちらを見ています。

「んっと、ご飯食べてレベル上げてたってことなの?」

 あれ、どうしてそこが引っ掛かるんでしょうね?

「はい、そうですよ。地球では今もそうしてるんじゃないんですか?」

 そうじゃないと、わざわざ食事をする意味が分かりません。

「ううん、んっと… 栄養補給…?」

 そこまで言ってナデシコさんがミルチャン先生の反応を伺います。自分の言ってることが正しいのか聞いてるみたいです。

「まず一つ、ましゅまろは焼いた方が美味しいのよ」

 そう言って先生はいつの間にか手に持っていた串にましゅまろを一掴み分刺し、反対側の手で「美味しくなあれ」とましゅまろを撫でました。

 すると、真っ白だったましゅまろからぷしゅっと気泡が出たかと思うと、みるみるうちに表面が焦げていきました。

「はい、ちょっと熱いから気を付けてね」

 ミルチャン先生はナデシコさんにましゅまろ串を渡しました。

 ナデシコさんはふうふうと焼かれたましゅまろに息をかけてから、ぱくり。

「あっ、熱いけどうっまいね!ましゅまろの嫌な感じがなくなってる!」

 焼かれたましゅまろに感激してるみたいです。

「はい、青磁くんもどうぞ」

 あっという間にもう一本作っていたミルチャン先生が、今度はセイジくんに渡します。

 セイジくんも焼かれたましゅまろにふうふうと息をかけてから食べました。

「あっ、これ美味しいね。でも、ちょっと甘すぎるかなー」

 セイジくんには少し甘すぎたみたいですね。

「はい、シュラちゃんもどうぞ」

 なんと、ミルチャン先生は焼いたましゅまろを私にもくれました!

 初めての地球ご飯です!

 これって食べたらヤマブキ様に少し近付けるかな?

 うーん、とっても強い甘い香り!

 ぱくりと私は焼きましゅまろをかじります!


「あつっ!」


 なんですかこれ!?

 熱くてかじることもできませんでした!

 唇が痛い!

 地球人って食事で熱攻撃への耐性が鍛えられてるんですか!?

「あはは! ふーふーってしないとダメだよー!」

 ああ、そういえば食べる前にふうふうと息をかけてました。なるほど、熱いものは食べる前に少し冷ましていたのですね!

 地球の知恵を私も使わせてもらいます!


 ふうふうっ

 ぱくっ


「熱い!でも甘い!美味しいです!」

 こんなに美味しいものがどうして道の脇にずらりと並んでるんでしょうか!?

 夢の世界だからでしょうか?

 それとも地球って食べ物で出来てるんですかね!?



お菓子に夢中でバトルに行けず。

シュラちゃん視点でもう少し続きます。

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