四日目、ダークテンゴク登場
ぼくはジゴクちゃんをベッドに寝かせる。
「ううっ…」
ジゴクちゃん、何だか苦しそうだね…
休めば良くなるって言ってたけど、いったい何の症状なんだろう。
「テンゴク、あんたも大丈夫?」
撫子ちゃんがぼくに声をかけてきた。
「えっ? ぼく?」
体調は悪くないと思うけど…
いや、そう言えば寝起きが凄くだるかったっけ…
「テンゴくんも顔色悪いよ」
青磁くんまでぼくを心配そうに見てくる。
そう言われると、何だか頭が重いような…
「先ほどの魔女様を挑発するような発言もテンゴクさんらしくなかったですよ。ジゴクちゃんも心配ですし、是非とも添い寝をしてあげてください」
シュラちゃんも心配そうだ。
添い寝って言われると恥ずかしいけど、確かにその通りかも…
さっきの発言はぼく自身も変な感じだったしね。
うん、ちょっと休もうかな。
ぼくはジゴクちゃんの横に寝転んでみる。
ああ、本当に疲れてるみたい。
すぐにでも寝ちゃいそうだよ…
「あっ、手も繋いでね」
いきなり天井から声をかけられた。
見知らぬ小さな女の子が浮いていた。
「あら、アリスじゃない。ここに居るなんて珍しいわね」
撫子ちゃんは相手を知ってるみたい。アリスって名前の半透明の女の子…
「うん、ミルチャンに頼まれたの。みんなに安眠をあげてきてってね。さあ、『月の揺りかご』!」
あれ、これって攻撃…?
凄く眠くなって…
…
……
………
うん…
どこだここ…
気が付いたら一人ぼっちで砂漠のような場所にいた。
空があるから地球かな…?
「あ? 一人ぼっちだなんて連れねえこと言うなよ?」
んん?
いつの間にか隣にぼくが立っていた。
ぼくと違って髪の毛が真っ黒だけど、ぼくとそっくりな顔で…
「って、ややこしいよ!」
腹を抱えて笑いだす黒髪のぼく。
「ぎゃはは! んじゃあ俺のことはダークテンゴクって呼べよ。確か昨日はそう呼ばれてたしな」
あっ!
こいつがジゴクちゃんの夢に出てきたって言うダークなぼくなの!?
「あれ? でも、ジゴクちゃんの中で生まれた意識の一つなんじゃなかったっけ…」
そう聞いたような…
「どっちでっつうならどっちでもねえんだよ。意識の繋がりが深層心理として隠れてた部分に人格を与えたって感じだよな」
ジゴクちゃんから受けた影響が、ぼくの方にも想像以上に大きかったってことかな…
ぼくのような外見で、しかも悪そうなのに、考てることがジゴクちゃんみたいに賢い感じ…
「ははっ!だせえこと考えてんじゃねえよ。10年程度で構築されたお前のみみっちい人格だけどな、ジゴクとの繋がりと異世界での経験で急激に変化してんだぜ? 変化しきれなかった部分が俺っていう仮初めの人格を構築したに過ぎねえんだよ」
それってつまり…
「ああ、いずれは混ざって俺は消える」
そう言われると何だか…
「はっ!あんまり府抜けてたら俺の方がお前を消すぜ?」
うーん、そういう方が対等って感じだし良いかな。
「ちっ、くだらねえ… お前は甘すぎんだよ」
別に、どっちもぼくなんでしょ?
だったら、どっちでも良いかなってね。
「ふん、本気でくだらねえぜ」
自分を相手に気を使う必要もないでしょ。
下らないぼくは、きみに下るつもりもないしね。
「お前さ、ジゴクジョークの影響だけは受けない方が良いと思うぜ?」
う、分かりにくかったかな?
「いんや、お前のキャラで小難しい言葉でジョークを言っても単純に下らねえだけだ」
布団が吹っ飛んだくらいにしとけってこと?
「ああ、そのくらいが似合ってるな」
いや、それ似合ってても嬉しくないからね。
「ぎゃははは!」




