四日目、朝、夢の話
うーん…
朝かな…
ううーん、何だろう。
すごく疲れてる…
変な夢を見たような…
ん?
そうだった…
寝る前に夢の中で先生が出てきて…
うーん…
ああ、そうだよ!
夢の中でジゴクちゃんがコドモになっちゃってたんだよ!
現実のジゴクちゃんが変なことになってないと良いけど…
んー、ジゴクちゃんはまだ寝てるね。
確か、ベッドに並んで座って手を繋いで、そのまま寝ちゃったはずなのに、寝てる間にいつの間にか肩組んで寝転がってたんだね。
ジゴクちゃんを起こさないように、ぼくはゆっくりとベッドの外に出る。
「すー、すー」
よし、ジゴクちゃんからは寝息が聞こえてくる。
ミッションコンプリートだね!
でも今って何時だろ。
時計がないのは不便だね…
起こして良いのか分からないや。
んー、とりあえず部屋から出てみようかな。
「みるみるみるちゃん 魔法の国の王女様~ 秘密の言葉は『んんんんん~』」
んんん!?
謎の歌を口ずさんじゃったよ!
のりのりで口ずさんじゃったよ!
夢の中でみるちゃん先生が出てきたせいかな。
いやあ、恥ずかしい。
「テンゴク、ご機嫌そうで何より…」
ああ、ジゴクちゃんを起こしちゃった。
「おはよう。んー、こんな変な歌で起こしちゃうなんて申し訳ないね」
ジゴクちゃんもちょっと疲れてる感じかな。
「おはよう御座います…」
ん、ジゴクちゃん何だか元気ないね…
「ジゴクちゃん、疲れてるならもうちょっと休んでて良いよ」
無理はよくないよね。
「いえ、その… えっと… テンゴク…!」
なんだろ…
「どうしたの?」
疲れてるというより思い詰めてる感じだよ。
「こちは、たった今まで眠っていたので御座いましょうか?」
ぼくは頷く。
あれ、ジゴクちゃんって眠るのも始めてだったのかな…
「ならば、先程までの大乱が、全て夢というものであり、頭の中での出来事であったと?」
大乱って、戦争とかで世の中が乱れるって意味だよね…
うん、ジゴクちゃんの夢の中に居たせいかな、何だかぼくが賢くなってる気がする。
「多分そうだよ。でも、どんな夢だったの?」
ぼくが見たのは、ヒツジちゃん、トケイちゃん、コドモちゃんが出てきたりして、学校に行ったらみるちゃん先生が居たっていう…
いや、あれはまだ夢じゃないか…
んー、ぼくも夢を見たような…
先生の話を聞いてたら眠たくなってきて…
それから…
うーん、あんまり覚えてないけど、大乱とか呼べるような危ない夢は見なかったよね。
もっと温かいというか、懐かしいというか…
不思議な夢を見てたような、優しい夢を見ていたような…
「あれは、こちの操縦権をかけての大争乱で御座いました。時計と羊と幼女のこちと、ダークテンゴクとダークジゴク、天苔と地苔の三つ巴の争乱が勃発したのです。通りすがりの魔法使いの先生が助けてくれて、何とか事なきを得たのですが…」
なにその夢!?
「うん、ぼくが観たのとは違うけど、けっこう危ないところだったのかもね…」
ジゴクちゃんの中で、本当の主人格がどれかっていう争いが起きてるのかもしれない…
いや、無事で良かったね…!




