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HEAVEN AND HELL  作者: despair
三日目、夢編
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三日目、夢の中、甘えんぼうジゴク


 さて、ここはもうジゴクちゃんの夢世界なんだと思っといた方が良いね。

「こちこちこちこち、ぽーん、ぽーん」

 返事はないけど、ぼくの思考へのリアクションはわりとあるんだよね。

 予想外にも過ぎるけどさ。

 

 とりあえず、時計になっちゃったジゴクちゃんをトケイちゃんって呼ぶことにしよう。

 トケイちゃんとは手を繋いだままだから離れられない。

 いっそ、現実側の手を離せたら良いんだろうけど、それが今まで成功した試しがない。

 うん、ジゴクちゃんの夢の中に意識が持っていかれてるせいかな、今は現実の身体へのアクセスすら出来ないね…

 まさか、ぼくはまだ寝てないと思うんだけど…

 

 そして、群れて走ってくるジゴクちゃんは羊みたいに数えられてたからヒツジちゃん達って呼ぼう。

 ヒツジちゃん達はぼくの名前を呼んで走ってくる。

 こっちを目指して延々と追ってきそうだ。

 とても逃げられそうにはない。

「めー、めー、テンゴクー!」

 あっ、鳴き声が変わった!

 ヒツジちゃんって考えたぼくのイメージが伝わったせいだよね。

 うん、まったく何も出来ないわけではなさそうだよ。


 ジゴクちゃんが、振り子時計とか羊とかを見たことあるとは思えないし、ぼくが無意識に思い浮かべたイメージを元に、ジゴクちゃんの夢が展開してる可能性は高いねな。


 さて、意識自体はまだ繋がってるけれど…

 うーん、そもそも精神世界ではジゴクちゃんの方が今までも要領良かった感じなんだよね。

 寝てるジゴクちゃんなんて、完全に制御できるとは思わない方が良さそうだ。

「おやおや、テンゴクくんってぱピンチなのかい?」

 むぎゃっ!?

 リプシー・マウレイみたいな喋り方の、これまたジゴクちゃんが現れた。

「ちょっと待ってよテンゴクくん!? ピンチって言ったらやっぱりこれこれ!乱堂らんどう汕圖さんず!!」

 ぽんって、軽い感じで乱堂汕圖が現れた。

 もちろんイメージだよね?

「でゅなみすっ!」

 うわっ!

 乱堂汕圖の見た目で、ジゴクちゃんボイスだよ!

 見た目似てても大人と子どもだから凄い違和感だ!

 でも、可愛い声ででゅなみすってしても何も出てないし、負ける気がしないよね。

 こんな乱堂汕圖なら、今日もあっさりと撃退できたよね。

 例えば、シュラちゃんの翼でベチってやれば…

「べっちん!」

 んあれっ!?

 突如現れたシュラちゃんの翼らしきもので、乱堂が叩かれた。

 翼から声がした気がするけど、まあ夢だもんね。

「あははっ!テンゴクちゃまとジゴクちゃまには勝てませーん!」

 何のために呼ばれたのか、乱堂汕圖はぶんぶんと縦回転しながらビューンっと飛んでった。

 んー、シュールだね…

 さすがにもうちょっと強くても良さそうだけど…

「おやおや、あんなので倒せたと思っているのかい?」

 おおっと!

 そっか、さっきの乱堂汕圖がぼく達の勝ちたいって願望から生まれたような弱っちい乱堂汕圖だったとして、ぼく達が勝てないと思い知った乱堂汕圖だってイメージできちゃうのは当然だよねっ!

 星空みたいなオーラがあふれてるバージョンだよ!

「あはは! デュナミス!」

 うぎゃあ!

 金色の輝きがあふれ、ぼくは思わず目を閉じた!


 ん…

 おっと、何ともない?

 恐る恐ると目を開くと…

 んー、真っ暗だ。

 乱堂汕圖も居なくなってるし

 トケイちゃんも、ヒツジちゃんもいない

 

 おーい、ジゴクちゃーん?

「はい、こちらに御座います」

 うわっと!

 暗闇の中からジゴクちゃんがぼわっと現れたよ!

 この何もない闇もジゴクちゃんの夢なのかな…

「こちは闇ですらない空っぽの器、こちなど所詮は与えられた人格であり紛い物、このように何もないのがこちの本性で御座いますれば…」

 おおう、今度はジゴクちゃんの暗い部分が現れたってことかな…

 まあ、けっこう重たい話もちらほらしてたもんね…

 ジゴクちゃんって、だけど普段はこういう暗いそぶりはまったく見せてなかった気がするけど、やっぱり無理してたのかな…

 すると、闇の中にまた別のジゴクちゃんが現れた。

「んーん、こちは背伸びしてたけど無理はしてないよ。テンゴクが一緒だったら平気だよー」

 ん!?

 にっこり笑いながら抱きついてくるジゴクちゃん!

 ぼくの耳にジゴクちゃんの呼吸音が聞こえる…

 んー、やけにリアルな夢だね。

「だけどこちも、シュラちゃんみたいにお姫様抱っこをされたいな」

 甘く囁くジゴクちゃんは、とってもお子さまだった…

 多分、ジゴクちゃんが空っぽだと感じるのは思い出の少なさのせいなんだろうね。

 だから、色んなことをしてみたいって思うんだよね。

 まずは、シュラちゃんみたいにお姫様抱っこをされたいってわけだ。

 ようし、ぼくだってそれくらいはやってあげても良いよね!

 いつもジゴクちゃんは頑張ってると思うし、夢の中でくらいなら甘やかしたってバチは当たんないはずだ。

 山吹さんみたいにうまくは出来ないかもしれないけど…

 ぼくはジゴクちゃんを抱えあげる…

 って、なんで夢なのにこんなに重たいのかな…

 こういうところは夢補正を素直に効かせてほしいよねまったく!

「えへへへ、こち、シュラちゃんが羨ましかったのだなー」

 うー、もう…

 可愛いけど腕が限界だよ!

 よいしょってジゴクちゃんを降ろすと、また次の要求が来た

「こち、学校という場所に行ってみたいのでございます。今から連れてって欲しいな」

 おう!

 けっこう無理難題だけど…

 夢の中だしなんとかなるかな…

 んー、学校は何とか思い出せそうだし…

 よし…心の中で目を閉じてっと…


 もう一度目を開いたときには、ぼく達は学校の校庭に立っていた。

 うん、なんとかなるもんだね!



あと二回くらいは夢編が続くかな

ちなみに、テンゴクはまだ起きてます。

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