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HEAVEN AND HELL  作者: despair
三日目、乱堂汕圖戦
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三日目、vs汕圖戦⑩ 終局、大鬼対決


 金色の粒子を薙いでいく大鬼の金棒は、だけど途中でぴたりと動きを止めた。

 乱堂汕圖が受け止めた!?

「ほお…力任せじゃ通用しねえタイプなのかい…」

 力任せが通用しないって、それにも限度って物があって良いんじゃないかな!?

「この程度ができなくて、鬼の前に立ち塞がろうとは思いませんよ。『デュナミス』!」

 乱堂汕圖がまたデュナミスを唱えた。

 そのたった一言で、金色の粒子が今までよりも大量に溢れだしていく。

 あれ、なんだろう?

 なんの意味があるのかな?

 何かを見落としてる感じ…

 そもそも、ぼく達の『極化』の状態では金色の粒子って凝縮したマナのようにしか見えなかったけど、そのマナがどんな性質を持ってるのかまでは見えてなかったのかもしれない。

 ただ単にマナの流れが見えてただけで、今までに見えてなかったものが見えたから、全部が見えてるって勘違いしちゃったんじゃないだろうか。

 だから、マナを集めただけで強い攻撃をした気になってたけど、簡単に利用されて結局はピンチに陥ったってわけだよね。

 考えてみたら調子にのってからの自業自得で大ピンチだったってことだ。

 まったく、情けないね…

 

 金色の粒子は風のように広がり、あっという間に金棒を飲み込んで、大鬼店長をすら覆い尽くした。

 なにこれ!?

 そのまま粒子は店長から離れ、しばらくすると消えていった。

 狙いがさっぱり分からない…

「ふん、マナがけっこう持ってかれちまったが影響はねえな。何かの下準備ってとこかい?」

 準備…?

 デュナミスって、攻撃の術ではないってこと!?

「準備というのは確かに正解かな。そこの坊や達の天地術紛いと同じでね。単体では本来の効果を発揮できない術なのさ」

 んなっ!!

 ちゃんとした効果を発揮できない術で攻撃してたってこと!?

 いや、何のために!?

 えっと、乱堂汕圖にデュナミられたのって、今のところは…

 最初にシュラちゃん…

 次にぼくとジゴクちゃん…

 そして今の大鬼店長…

 うん、山吹さん以外は全員じゃん!

 効果はマナの塊でマナそのものを侵害して、MPにダメージを与えるものだと思ってたけど…

 それが副次的なものに過ぎないのなら…

 真の効果っていったい…

「『エネルゲイア』!」

 乱堂汕圖がまた新しい術を唱えた。

 その一言で、大鬼の全身から黒い煙のようなものが出てきて…

 あっ、山吹さんに抱っこされてるシュラちゃんからも同じように黒い煙が出てるよ!

 ぼくとジゴクちゃんからも出てるね。

 山吹さんからは出てないから、デュナミられたのと関係あるみたいだけど…

「大丈夫かい!?」

 心配してる山吹さん。

「ちょっとMPは減ったみたいだけど、とくに苦しかったりはしないです」

 ジゴクちゃんも「こちも同じく」って頷いている。

 煙は乱堂汕圖の周りに集まって、ゆらゆらと燃える黒い火の玉みたいな…

 ジョブたまだ!!

 4つあるから人数分!

 ジョブ魂がコピーされた!?

 乱堂汕圖は黒いジョブ魂を片手に1つずつ掴む。

 後の2つは乱堂汕圖の身体の中に入っていった。

「『インストール』!」

 同時に2つ?

 乱堂汕圖の蠢く黒い針の束みたいなオーラが消えた。

「『大鬼変化』」

 そして身体が巨大化していく!

 これは、店長の巨体も術だったってことか…

 それは良かった…

 でも、大鬼が2体に増えちゃったよ!

 乱堂汕圖の大鬼姿は、鬼っていうより幽霊って感じで顔色も服装も白いけど!

 でも金棒も何故か真っ黒いけどちゃんと持ってる!

「ふむ、『翼』も巨大化するようで良かった」

 おおっと!

 シュラちゃんの翼も巨大化して出てきたよ!

 1枚だけどとにかく大きい!

 何故かこっちも黒色だけど、これはコピーされてるせいなのかな?

 店長の鬼と、シュラちゃんの翼の複合ジョブ。

 使ってるのが乱堂汕圖…

 これって強いんじゃ…!

「行きますよ!」

 巨大幽霊と大鬼の、もはや怪獣対決みたいな絵面は何だかおかしい!

 でも、笑ってる場合じゃないよね!

 15階建てのビルが二本ぶつかり合う戦いに巻き込まれたらつぶれてしまう!

 乱堂汕圖が大鬼店長に襲いかかり、巨大な金棒が、ぼく達の頭上でぶつかり合う。

「よし、さっさと逃げるよ」

 山吹さんの意見に同意する。


 そこから脱出するまでは早かった。

 山吹さんがぼく達3人をまとめて抱えて走るだけ…

 うん、それで走れるのも凄いけど、町の外の砂漠では怪獣大決戦中なんだよね。

 遠くからでも凄い迫力。

 山吹さん曰く、レベル差で店長の圧勝だろうって話だけど、一挙手一投足の度に地響きがするって何レベルなんだろうね。

 

 そして、問題はそれだけじゃなかった。

 本当の大事件はウガリットの街の中で起こっていたのだ。

 ぼく達が街に入ろうとすると、街から出ようとする人達の大渋滞。

「早く逃げろ!」

「ちょっと、押さないでよ!」

 とか、みんな混乱して我先にと逃げ出そうとじている。

 山吹さんが話を聞いたところ「ラプトパの宿にワドウキザシから荷物が届いたんだよ!。この街はもうおしまいだ!」って返事がきた。

 父さんから荷物が届いたら死人が出るかもしれないっていう、シュラちゃんのあの話は本当だったみたい。

 でも、外では鬼が戦ってるんだよね。

 でも、その鬼合戦してるほうに逃げてる人も居るし、どういうことだろうね。

「あっちは鬼が戦ってるから危ないですよ」って言ったら「見えてんよ!今はそれどころじゃねえだろ!」とかキレられた。

 あっ、うん、そういう感じなんだ…

 えー、今あっちから逃げてきたんだけど…

 うーん…

 なんだか釈然としないよ!


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