2日目、食堂へ
父さんが居ないときのお昼ご飯は、山吹食堂と決まっている。父さんが先払いで代金を渡しているらしく、ぼくはいつでもご飯が食べられるのだ。
でも、お店が混むお昼ご飯時は避け、できれば早めに来て欲しいと言われてるので、ぼくはお腹が減ったら山吹さんの所に行く。だいたい、お昼前にはお腹が減るもんね。
そうして女の子と二人、玄関を出たときにふと気付いた。
「ねぇ、どうやってこの家に来たの?」と女の子に質問する。彼女が一人で家まで来たのは変だ。誰かに送ってもらったんじゃ…
「きざし様に送り届けていただきました。このいんたーほんを押せば良いと、そう言われて去っていかれたのです」
やっぱり、あの時近くに父さんが居たんだ!
逃がしてしまったことを悔やみつつ、僕たちは食堂に向かう。
「カレーライスがお勧めだよ」とか、「お蕎麦も美味しいよ」とか、そんなことを言いながら歩いていく。
女の子は、お蕎麦は食べたことがあります、と言っている。ご飯を楽しみにしてるようだった。
まさかとは思うけど、カレーは食べたことないのかな。
っていうか、このままだと、夏休みの間は女の子と一緒に暮らすことになりそうだよね。どうしよう。
そう言えばお金ないよね。流石に夏休みの間、生活を続けられるようなお金は持ってない。お年玉があと3千4百円だけ残ってるけど絶対足りないよね。
あれ、どうしよ。すごく不安だ。晩御飯も山吹さんとこで食べれるかな。朝はどうしよ。って、ご飯の心配だけじゃないよね。女の子の着替えも生活用品も何もない。どうしよ。
まずは晩御飯のお願いをしてみよう。そう決意して、ぼくは山吹食堂の扉をくぐった。戦場に向かう映画の主役のような、勇ましい顔をして…




