2日目、会話その2
二人で冷たいお茶を飲みながら、女の子のことを聞いてみる。
住所は「白い家に住んでいます」
学校は「そういうものがあるのですね」
年齢は「数え方を知りません」
とまぁ、こんな感じ。やっぱりだけど、詳しいことは分からなかった。
こんなに何も知らないなんて、よっぽど酷い環境に居たのかもしれない。父さんに誘拐されたからって、簡単には家に帰さない方が良い気がしてきた。
「ねぇ、君はこれからどうしたいの?」とぶっちゃけ聞いてみた。
女の子は「名前が欲しいです。後は、自分が何者なのか知りたいです。」と女の子は答えた。
「名前、二人で考えろって書いてたね。でも、子どもだけで決めて良いのかな?」
名付けの親が子どもに、いや、本人になってしまう。
「てんご様と二人で考えようと仰られた、先ほどの言葉は偽りだったのですか?」
あれ、言ったっけ?
あ、言ってるね。手紙を読んだだけだったけど、聞いていた女の子にとって、それはぼく自身の言葉だって受け止めてもおかしくはない。
「あれは手紙を読んだだけで、」
あっ、だめだ。すごく哀しそうな顔になってる。
ぼくは慌てて、「でも、名前を考えるくらいなら一緒にするけどさ」と言った。
会ったばかりの人の名前の決定権なんて、ぼくは持ちたくなかった。だから「最後は自分で決めてよね」と伝えておく。
「もちろん、それで十分です。ありがとうございます」そう言って、笑顔になった女の子を見てほっとする。
よっぽど名前が欲しいのかな。名前が無いなんて不便だろうけど。名前のない人が学校に行ったら、テストは全部0点になってしまう。いや、そもそも出席番号は何番になるんだろ。
出席番号0番でテストは0点だったら悲しいよね。
なんてことを考えてるうちに、気が付けばお腹が減ってきた。
あぁ、もうお昼だ!




