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どうしてこうなった!?  作者: ねこまたのしっぽ
7/17

◇7◇◇朝の空気は気持ちイイね!

◇◇◇◇




結局翌日以降は、散歩を早朝に切り替えた。


毎日しっかりルートも変えた。

余計な邪魔が入らない様にね。

幸い今のところまずまず成功してる。




お父様とお兄様方は、早朝のこの時間は剣の修練だし。

お母様とルーフェウスは、まだベッドで夢の中だろうし。


お供はエレナたった1人だけ。

ホント気楽だね。


大体さ、お供ぞろぞろなんて要らないよね。

公爵家所属の騎士団とか領兵の皆さんが警備しているんだから。

領城の敷地内なら普通に考えて安全でしょ?



なるべく足早に歩く。

息が上がり過ぎないペース。

無理がないウォーキングです!


慣れたらジョギングに切り替えたい。

まぁ、運動用の衣装が必要になるけど。


一応、注文はしたけど。出来上がるまで暫くはかかるだろうし。


領城のあるこの辺りは、高原仕様で朝晩は結構涼しくて気持ちいい。


領地は割り合い標高の高低差がかなりあって、気候は伊豆風かな。

温暖な海側と涼しい高原側。


海側には大きな港が3つある。

領軍の中でも精鋭を誇る海軍が駐留する軍港。

外国へも開かれている貿易港。

そして漁港には毎日新鮮な魚介類が水揚げされて、大きな市場が開かれている。

中々活気があるよね。


領都は少し標高が高くなる。

その更に山側に領城が聳え立っている。

城の物見台になっている高い塔からは結構遠くまで見渡せる。

段々畑のように、建物や敷地が連なる造りの領都を越えて。

3つの港とその先の灯台までがしっかり。




そして季節は夏真っ盛りなんだよ。

だから、外での運動は朝の内にってね!


夕方は……日暮れって呼んだ方がいいかな?

存外日が長いので…割りと遅い時間になっちゃう。

時計が無いからね。

体感で大体前世感覚、夜8時位かな。

完全に暗くなるのは9時位だと思う。

この国の緯度が高いんだろうな。

ヨーロッパ並みかな?

だって夕焼け頃には、身体が子供な分めちゃくちゃ眠くなるし。

陽射しが邪魔にならない様に工夫もされてる。

寝室には分厚い遮光カーテン含めて3重にカーテンが掛かってた。


朝の日の出も本当に早いし。

多分4時位には明るくなると思う。


そこまで僕が早起きしたら、使用人さん達にも迷惑だろうから。

まぁ、大体僕は6時起き位かな。


早朝散歩の為の早起き。

大体1時間程は散歩してる。

運動、運動。

ダイエット敢行中!


ちなみに朝食は7時半~8時位かな。

食堂に行く準備もあるから、逆算したら妥当な時間だよね。




そんな事をぼんやり考えながら歩いてた。

ふと、反射光を感じて視線を上げる。


……あれ?

塀の向こうに見えるのって……!

ガラスが太陽を反射して光ってる!

温室じゃないか!

間違いない、よね?


うわぁ、マジですか?

領城の敷地内に?

そんなモノが在るなんて、今まで知らなかった!

何が植えてあるんだろ?

好奇心がムックムクだよね~!


そういえば前世の僕の母校にも在ったな。

珍しい研究用の植物もそうだけど、色々あったな。

バイオプラントとか。

交配用の、農作物系や観賞用に園芸用のとか。

色々珍しくて楽しめたよね!!


うわぁ、俄然塀の中を見たくなった!

見れないのかな!?





「エレナ、あの塀の向こうは何?見てみたい」


「あぁ、薬草園ですか?除いても余り綺麗な花も無いからつまらないですよ?」


……即答だね。

う~ん、エレナの反応が悪い。

僕を近付けたく無いみたいで、然り気無く移動を促される。


「……そろそろお部屋に戻られないと、朝の準備が間に合わなくなりますよ?」


仕方ないな。

これは絶対にこのまま見せては貰えない。

がっくり肩が落ちる。


なら、お父様におねだりするか?

さすがに当主様直々の許可が出るなら見せて貰えるだろうし。

朝食の時に訊いてみようかな?

よし、そうしよう!

僕は足早に部屋に戻る事にした。




それにしても薬草園!!

何だよそれ!

もしかして僕の専門分野か!?

ヒャッホーだよ!




うん、僕はサラリーマン研究員でした。


母方の実家のコネで入った化粧品会社の系列の研究所。

基礎化粧品は勿論、エステ製品やらダイエット系サプリやら…そんな感じの研究所でした。

僕は抽出した天然由来成分(素材は薬草とかハーブ)の製品化へ向けての配合比と効果の比較研究してた。


ウチの家族(女性陣)の強引なお仕着せにより……。

就活しないまま、なし崩しの就職。

って言っても研究所の皆さんとは、10年近い付き合いがあったんだ。


僕が中学に入った頃だったか。

ウチの女性陣は、自家製にハマッてた。

化粧水やらハンドクリームに自家製石鹸や自家製トリートメント等々。

でも、自分達で造るの大変でしょ?

素材の薬品でヤケドしたりさ。

そんな面倒が嫌で、僕が押し付けられてた。


レシピ載ってる雑誌押し付けて。

『コレ作っといて!材料こっちね!』

本を片手に、頑張って造ったのに!

これだと使用感が気に入らないとか、匂い鼻につくとか!

散々な文句の嵐!

レシピを渡してきたの誰だよ!?


そんで作り直しを強要されて。

試行錯誤で悩んでる時に、母親が園芸でプランターに作ってたカモミールとかラベンダーとか持ち込んできて。

そのまま磨り潰すとかじゃ使えなかったので。

簡単な実験キットの説明通りにエキスの抽出やら蒸留やら。

それを配合したりして作ってみたり。


それでも満足してくれなくて!

一体中坊男子にどういう期待値持っていたのか!?

非常識にも程があるよね!


結局最後には母親が実家の権力使って。

件の研究所で遠心分離機なんて、専門的過ぎる機械まで借り出すハメになって……。

あぁ、ホントに何やってんだよ!

てか、ヤらされてたんだけど!!


そんな風にしょっちゅう出入りする必要が有った為に、研究所の準研究員扱いの研修生なんて肩書きを手に入れて。


……うん、オーダーメイド気分が良かったんだろうね。

ウチの女性陣はさぁ……。




考えたら、母方の祖父はグループ会長だったっけ。

1番上の叔父は、父親の会社の社長。

僕の就職先の化粧品会社の社長は1番下の叔父。母親の上には5人の叔父がいた。

一人娘の末っ子で、相当溺愛されて育ったらしい。

それぞれの叔父達が、グループの会社の社長を各々つとめている。


僕の父親は、1番上の叔父の懐刀といわれてる。

『社長直属特別企画室室長兼社長補佐』って大層ご立派な肩書きを持っている。


でも家族はみんな知っている。

単なるコミュ障です!


発想力と企画力、計画性は人一倍優れている。

なのに、コミュ障。

若い頃は学歴が高くて教授推薦で就職して。

花形の営業部に配属された。

けれども、そのコミュ障のせいで色々あったらしい。

企画持ってかれたり。

プロジェクト発案者なのに外されたり。

他にも色々と。

要領のイイ奴らに、都合よく使い潰されていたらしい。


青天の霹靂は創立パーティー。

雑用係の会場準備を押し付けられていた時。

打ち合わせで訪れていた、祖父に連れられてた母親に見初められた事。

何でも、『キレイだ……』と呟いたまま、母親の背景は関係無く自分に見惚れて惚けてたのが良かったらしい。

『容姿が美しい人は沢山居るけど、佇まいも仕草も綺麗だった』とは、珍しい寡黙な父親の後日談。

猫背で一見ダサダサな父親の素材は、母親の見立てでは相当高評価だったらしい。



そんな事があり、父親は会長一族に注目された。

内調がガッツリ入った挙げ句、その能力から叔父に抱え込まれた。

交渉はすべて他人というか、叔父任せ。

与えられた情報と条件でふらりと1人で勝手に視察して。

企画の立案と大まかな予算の予測計上だけ。

後は、プロジェクトの進行上のトラブルに対処するアイデアの提出。

そうして上手く父親を使ってくれている叔父に、父親は感謝感激!

社畜街道まっしぐら!!



そういう家族や親族のごり押しに逆らえる程、僕は強くも優秀でもなかった。

流されるまま僕の一生勝手に決められてたよ。

ちゃんと納得してた訳じゃないけどさ。


押しに弱いんだよ。

将来の事考えたら!

僕は小心者の草食男子だったんだから!!





◇◇◇◇






「お父様!昨夜お戻りだったんですね?お帰りなさいませ」


10日ぶりかな?

お父様と顔を会わせるのは。

食堂に久しぶりに全員集合。

昨日の夕食には王都からの帰参が間に合う筈だったお父様は、結局食堂に姿を見せず不在だったので。


それにしても。

お父様に思い切り抱きしめられて苦しい。

ギブ、ギブです!

せめて、もう少し力を弛めて下さい!!


お父様は宰相だから、王都と領地を行ったり来たり。

今回は特に、流行り病が収束したところでの報告がてらかな。


貿易港に寄航していた南方側の国籍の船から、流行り病は持ち込まれて拡がったみたい。


ほぼ領地を完全封鎖して、拡散を防いでから対処したそうだ。

おかげで他の地方は無事だった。

公爵領ではかなりの死者が出たけど。

後味悪いよね。


今年はそれで王国への上納金の赦免を受けている。

それを受けて、領内でかなりの免税や減税が実施されるんだって。


使用人達が噂してた。

子供だから解らないと思って、気にせず話してたんだろうけど。





「アルフェミナ~、父様は寂しかったよ~!」


抱き締められて、しゃがみ込んだままのお父様の頬擦り目一杯。

こっちの頬が赤剥けそうだよ!

痛いんだよ!!


久しぶりだから優先したけどさ。

もうイイかな?


そうそう、忘れない内にちゃんと訊かなきゃ。

お父様に薬草園の見学許可貰わないとね!


「お父様、今朝の散歩で温室を見かけました。エレナに薬草園だと聞いたのですが、中を覗いてみたいの……ダメですか?」


お父様に抱きついたまま訊いてみる。

おねだり、おねだり。

期待にワクワクしちゃうのをガマンガマン!


「うん?薬草園??どうしてそんなモノに興味があるんだ?」


あ、不審だ……。

これは怪しまれてる。

5歳児幼女だもんね!

お父様だけじゃなく、聞いていたお母様も…。

お兄様方まで!


がーん!

これは無理かな?

う~~~っ!

見たい見たい見たい!

つい、地団駄を踏んでしまった。


完全に理解不能な顔してる。

僕の執着心が解らないのかな、やっぱり。


ルーフェウスはそんな空気をモノともしない。


僕の背中からガッツリ抱きついてる。

ゴキゲンの通常運転。



「……興味がありますわ。私が病にかかった時にどんな薬草が使われたのか。実際に見てみたいのです」


どうかな?

言い訳たつかな?

だめ押ししないと無理かな?


「領内では薬が足りず死者も少なくないと聞きました。だからもっと私は知りたいのです。領内の事も、今の状況も、薬草に関する知識も!」


真面目に口上を述べてみる。

建前の理論武装、まだ足りないか?

ダメかな?

じゃあ、路線変更!!

甘える!

甘えん坊モード発動!


お父様を上目遣いに見上げる。

ウルウル。

思い切り眼を潤ませる。

くぅ、視線を逸らされた!

お父様の袖を掴んで軽くひっぱ!

おねだり、おねだり~っ!

あ、上向いた。

もうちょい!

お父様の襟元にオデコでスリスリなついてみる。


はい、オチた~!


お父様は如何にも苦渋の決断といった風体で、上を仰ぎ見ながら許可してくれた。


「…しょうがないな、中には危険な毒を持つ植物もあるんだが…薬師を案内につけよう。指示は絶対に従う事、良いね?」


「はい、お父様!ありがとうございます」


満面の笑みで答える。

はいはい、専門ですから解ってますよ~。

やったね!

待ってろ、薬草園!!

テンション上がるわ~!







行き当たりばったり展開なりました。


だって主人公が暴走するんですよ!

前世回想だって唐突に始めるし……。




何だか不安ですよ。

振り回されてます。


本当にこれからどうなるんでしょうね?(トホホ)


こんな駄文を読んで下さる優しい皆々様!

本当にありがとうございますm(_ _)m


趣味でチマチマ書いてるだけなのにブクマが増えてて、驚いてます。

ガクブルですね!





12/30改稿しました。






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