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どうしてこうなった!?  作者: ねこまたのしっぽ
5/17

◇5◇◇自己目標はどうなった?

◇◇◇◇





えらく時間食ったな~。

散歩だけであっという間にお昼だよ。

まぁ散歩って形だけって感じになっちゃったけどさ。

これが俗にいうトホホな気分かっ!?




昼食用のドレスに再びお着替え。

汗スゴかったから、身体も拭いて貰ったけど。

結局又フリフリ過多だよ。

ダルマさんだよ……。

当分諦めるしか無いのかな……。

新しいドレスを作れるまで。


案内されたこの部屋はサンルームなのかな?

陽射しが燦々気持ちイイ……。

応接セットがいくつも置いてある。

出窓側の低めのテーブルにはもう、食器が並び始めてる。

フォークとかナイフとかスプーンとかね!


ここはアットホームな感じでの、昼食用か午後のお茶用のお部屋だね。

正式なマナーを使う食堂より、相当ラフなんだよね。

きっちりした椅子じゃなくてソファーとか。

安楽椅子って言ったっけ?

こういうヤツ。


あんまりマナーは気にしないで大丈夫。

うん、何時も喋りながら賑やかに気儘に食べてたから大丈夫だよね!




う~ん、それにしても……。

昼食っていうか?

コレはおやつってジャンルの代物ではないのですか?

何か甘いモノ大集合って感じですが!


用意されていたのは焼き菓子かな?

クッキーとか、タルトみたいな…?

タルトには好みでフルーツとか蜂蜜とかジャムとか…そういうものを乗せたり付けたりする。

我が家の昼食定番メニューだ。

記憶に有る限りは。


甘味は贅沢品だけど、ウチは裕福だからかね。

焼き菓子&タルト生地もどきかクレープみたいなのとか。

その日その日の日替わりでさ。

小麦粉さん&バターさんに糖類さん多用されてるね。


まさにお菓子万歳的な!



………はっ!

いかんいかん!

現実逃避しては!!


これ……太るよね?

バランス絶対に良くないよね?

でも、急にメニュー替えて貰うの迷惑かなぁ?


いや、現実直視だよね!

追加メニュー的にお願いしようかな?


う~ん、やっぱりワガママ発動……するしかないのか?


一事が万事で、どんどん僕の精神力を削ってくれるなぁ。




覚悟を決める!

ワガママ娘でもいいもん!

これ以上子豚具合を進行させたく無いんだよ!

ローカロリー希望だよ!

ビタミン&ミネラルもしっかり摂りたいよ!

消化器官の為に食物繊維腸内善玉菌に筋肉作りの為の蛋白質だって!!


体質改善したいよ!!

この歳で成人病は絶対イヤだ!

拒否だ、拒否!


「ねぇ、私甘く無いモノも食べたいですけど。何か他にありませんか?」


驚いてる!

皆固まった?

そんなに変なコト言ったか?

あ~、今までが今までだもんね。

失礼しました。


でも、これから変えてくんだから、慣れて貰わないと!


気取り直したお父様が、咳払いをして僕を覗き込んだ。


「どうしたんだ?何時もお昼だけはちゃんと食べていただろう?」


はい。

今までの僕の食生活。

朝=お茶とタマに果物少し

昼=お茶と甘いお菓子達

夜=お茶だけ。気が向けばデザートも




………肥るよ。

運動しないし。

そして栄養バランス的最悪だね!

カロリーばっか高くて!

裕福なのに栄養失調症になりそうなこの状態!

ダメでしょお!?

だから湿疹が出てるんだよ!

痒くて薬塗っても治りが悪いのは、根本的解決になって無いからだよ!

すぐ体調崩して熱が出るのも!

大体僕の肌トラブル全般、食生活が一番の原因だろう!


毎日お風呂は入っているし。

汗かけばすぐにお着替えで身体も拭くし。

衛生面ではほぼ問題無いよねぇ。


「お父様、朝に私は食堂で食事を変えると言いましたよ?ちゃんと丈夫になれるように」


「「アルフェミナ!そんなに無理して我慢しなくても……」」


はい、お兄様方!

相変わらずの余計な擁護だね!

そういうの要らないからね、お2人さん!


「お兄様方?先程お庭で私が言った事がまだご理解頂けないのですか……」


ちょっと萎れて項垂れてみせる。

大して演技派な訳じゃないけど。

これ位やらないと本当に聞いて貰えないみたいだ。

ある意味質が悪いよね。



「アルフェミナ!そんな事ありませんよ!」


「ねぇたま、エラいコなの!!」


よし、ルーフェウス!

良く言った!

ナイス援護だよ!

鼻息荒く握りこぶしを胸に掲げて。

自信満々?

ナゼに??


お母様も、もっと突っ込んで!

しっかり説教モード入って、お兄様方を黙らせて下さいね。


「アルフェミナも信念を持って、そう言っているのですよ。貴方達がそれを邪魔してどうするのですか?」


「「……でも、アルフェミナが辛い思いするのは……」」


声が段々小さくなる。

2人がバツが悪そうに顔を見合わせている。

オドオドして、言うこともしどろもどろ。

終いには何も言えず黙り込む。

有無を言わせぬお母様って、迫力だね!


「アルフェミナも成長を望んでいるのです。それを貴方達に反対されるなんて、そちらの方が傷付けているのではなくて?」



祈りが通じたか?

こちらににっこり笑顔で眼差しを送って、2人を諭してくれた。

うん、お母様が味方に付いてくれたら百人力だよね!

頼りになるね!!




あれ?

ちょっと……?

お父様まで小さくなって……る?

ってお前もかぁ!




お母様、マジ感謝です!ご期待に添えるよう頑張りますとも!

ちゃんと痩せて、真実に可愛い娘に変身してみせますよ!!


素材は悪く無いんだから!

はい、大事な事なのでもう一度。

素材は悪く無いんだからね!






◇◇◇◇





結局昼食は少しメニュー変更して貰えた。

チーズとか温野菜とか出てきた。


でもあれだね。

この出てきたチーズって臭い!

匂いがキツい!

うん、我慢して食べた。

味は濃厚で美味しかったからね。

食感が蒲鉾みたいで笑えたけど。


余談。

両親は平気で食べてたけど、兄弟達は苦手みたいで手を出さなかった。







◇◇◇◇







と、いう訳で……。

食事の席に着いてからメニュー変更じゃ手間が余分にかかるので。


厨房にやって来ました!




いや、エレナは大分渋っていたけどね?

夕食もそうだけど、これからの毎食の変更には面倒なんだよ。

今までのやり方じゃ時間がかかり過ぎ。

食事時間延びまくると、その後のスケジュールに支障をきたすでしょ?

主にお父様ですが。


第一その場その席まで呼びつけたら、料理番の皆さんにとっても迷惑ですから!




……恐縮されまくってるけど。

気にしないよ!

気にしたら敗けだ!

だってワガママ娘だもん!

僕は一体いつも何と戦ってんだろ?

内心乾いた笑いが……。

いや、今やるべきは初志貫徹です!

それでイイ事にしよう!!

気力が残り少なくなってきてるな。

ヤバそう。

ダイエットに無気力は敵だ!

自分を奮い立たせろ!!


「それで、今の時期はどんな食材があるのですか?」


「は、はい!只今お目にかけます!」


料理長、声裏返ってんぞ。

そんなに緊張する必要あんの?

そこまでのことか?


普段通りで良いんだけどな。

あ、無理かな……?


まぁ、普通に考えればさ。

貴族の皆さんは、絶対厨房に足を向ける事は無いでしょうけど。


あれ?

狩りのシーズンではどうだった?

獲物を捕って……持って来るのは従僕とか雑用こなす使用人だよね。


……上級貴族の公爵家のご令嬢じゃ……有り得ないか。

失礼しました!


でも、食生活改善の為には……仕方ないでしょ!

背に腹は変えられないもん!!




そういえば。

元々前世に於いて、ウチの家族は全員家事全般一通り出来たから……。

勿論母親の方針ですが!


父親は結婚が決まってからあれこれの最低限は仕込まれたらしい。

それまでは家事能力皆無だったそうだ。


そして、美容に厳しいウチの家族の女性陣は、ダイエットメニューをきっちり作ってた。

うん、僕も強要されてたよ。

作る方もね。

『当然協力してくれるよね?』

って強制連行されてさ。(泣)


『栄養バランスに味付けに分量とカロリー、見た目も綺麗にね!』


要求は天井知らず。

いやはや、鍛えられました。

主に料理の腕前を。

家族だけじゃなく、悪友達に迄『料理人に成れそう』って評価される程ね……。


くそぅ、悪魔共に屈したのが悪いのか?


いいもん!

現世でこの知識、調理スキルもきっちり利用するもん!

無駄にしないもん!


はぁ、僕ってば。

誰に言い訳してんだろ?

前世を思い出すとつい……。

滅入ってる場合じゃ無いけどさ。




僕が物思いに耽っている間に、調理台に様々な食材が積まれた。




……う~ん……。

どうなんだろ、これ。

困った……。

予想外だよ!




知ってる野菜が無い!

果物も見覚えが無い!

魚介類に肉類……?


ヤバい!!


異世界ってこういう事なんだ!

調理済みのものしか見てないから判らなかった!



……あれ?


眼を凝らしてじっと視てたら……?

何か判ってきた?

何だ、これ?


頭の中に…?


食材の名前と特徴やら栄養素が!

えぇっと!?




うん、これ多分僕だけかも。

これが転生チートですか!?


だってね、栄養価の円グラフにビタミンとか微量ミネラルの名前とか……その他諸々が前世知識のままなんだもん!




これは『鑑定』とかってスキルなのか!?

よし、これなら何とかなりそうだ!


特徴の備考欄には風味とか……。

説明は……?

ハハッ、魚なのに豚肉味って……?

食感が……コンニャク!?


何だよソレ!?

流石異世界!

乾いた笑いが表に出そうになる。


イイよ、もう!!

じゃあ、生姜焼きモドキとか作れるし!

創っちゃうよ!!




え~と、調味料…調味料はどうかな?

あれ?


塩は岩塩が数種類。

海塩は無いのか。

粗塩の風味結構好きなんだけどな。


甘味料は……まずお砂糖(お高そうだね!)。

三温糖位にちょっと茶色い。

後は、蜂蜜っぽいものかな。


あれ?

蜂蜜と違うの?

てっきり蜂蜜だと思ってた……。

若干サラサラの若い蜂蜜だと……。

くそぅっ、騙された。

いや、そうじゃないんだけど。

僕が勘違いしただけ。


大体5歳児がそんなに食材やら調味料を知ってる訳ないよね。


気を取り直して。


あれ?

それだけぇッ?

他の調味料って無いの?

お酢とかは?

ビネガーでも良いけど!

ソースやケチャップは?

まさかの全滅!?


醤油や味噌は期待薄かったからいいけどさ。


オイル系列は?

え~と、バターモドキの固形油脂と。

液体油脂は…味はサラダ油かな?

果汁ってあるから、製法がオリーブオイルみたいのかな。


ラードは無いか?


揚げ物のコクが出るけど、肥えるからタマにしか使ってなかったけど。




料理の幅が狭くなるな……。

調味料が圧倒的に少ない。

特に風味がなぁ~……。

単調になりそうでヤだなぁ。


そうだ!

じゃあ、香辛料は?


あれ?

無い!

嘘でしょ?


胡椒すら無い!


そういえば、香辛料ってヨーロッパじゃ高級過ぎる輸入品だったっけ。

何だか無理っぽい。

ガッカリだなぁ。


じゃあ、ハーブは…?

ローズマリーもどきと、バジルもどき…?


ん?

他には……??


えぇ!

こんだけなの!?


生姜みたいのは無い!

あぁ、生姜焼きよサラバ(泣)


うわぁ、ローリエ系のモノも無理かな……。

ブーケガルニが……作れない……。


こりゃ、想定外に臭み取ったり風味入れたりが大変そう……。


思わず肩が落ちる。

気力が萎えそう。

もう、ピンチだよね。

美味しい食事ってのは、死活問題なんだよ!




あれ??

この世界の調理方法は?

どんなのがあるの?

今までの食事で予測すると。

煮たもの。

焼いたもの。

焼き菓子が在ったからオーブンに近いモノはあるハズ。


調理器具をグルリと見る。




煮る、は鍋……よし。

焼く……あれ?

『焼く』は……うん?


フライパン無いよね。

グリルも。

網焼き?

無い無い。

じゃあ、鉄板……も無い。

あれ?

見慣れないモノが…?


「あの板は、なぁに?」

指差しはちょっと行儀悪いが!


「は!あの石板は肉や魚を焼くのに使います!」

料理長がシャチホコばって答える。

一々直立不動って疲れないのかな?


でも……そうか。

アレって鉄板代わりだったのか。

遠赤外線とかで美味しく焼けるのか?


あれ?

だったら『炒め物』とかも作れるんじゃね?

今まで出てきた事は無いけどさ……。


まさか『炒め物』ってこの世界に無いの?

鉄板代わりだったら、屋台の焼きそばモドキが作れそうだね!

って焼きそばもソースも無いけどさ。


……そう言えば揚げ物も出た事無いな!

鍋が有れば出来るじゃない!




ザルは……ある、うん。

『蒸し物』……は作れそうだね。

良かった。


蒸し器が何とかなれば、ローカロリー食に役立つし。

余りにも調理法が初期化され過ぎてて、泣きそうなんだよ。

こんなに原始的な状態の調理法しか無いんで。

上級貴族のほぼ筆頭に近い公爵家なのに、この食事事情って……。


それにしても、その国その国での『食文化』って無いのかな?

食材の地域分布だけが特色とか言ったら泣く!

確実に僕は泣くぞ!!

僕は口が肥えすぎな、日本人の味覚なんだよ!

悪いか!?

だって思い出しちゃったんだから、しょうがないでしょ?

こういう時だけは前世が懐かしいよ……。




僕は頭の中で夕食のメニューを考え始めた。


難しい……難産だよね。

調味料がまず、限られているから。

でも、頭の中から捻り出す。


だって、美味しいゴハン食べたいもん!

切実にさ!!


そして、やっとの事でコースを決定する。

はぁ、こんなんで頭フル回転。

さて、それじゃ料理番の皆さんに調理方法と食材を指定して……。



おわぁ、みんな吃驚してるね!

たった5歳の幼女が、こんなに事細かく専門的に調理法を指示するなんてね!

うん、僕も知らなきゃビックリだね!

前世知識でチート万歳だね!


……ヤケクソじゃ無いよ?

ホントだよ?


それにしても、どうやら僕の指示してるやり方は、聞いた事も見た事も無いらしい。

様子を見る限りだと、そんな感じだね!

不信感バリバリだねぇ。お互い不安そうに、顔を見合わせてザワザワ。


でも、やって貰います!

ヘルシーな食事作り。

高蛋白低カロリーのね!



家族の反応が楽しみだ!

僕は1人ほくそ笑んだ。









主人公お疲れ様ですね。

とりあえず、食事文化の改善ですか!?


贅沢者ですね。

我慢がきかないヤツです。

忍耐力って何ですか?

きっと人間関係だけで、すり減ってるんだろうな!


ふふふ……生活方面も、徐々に魔改造していきます!

自重って何ですか?




ぼちぼち暢気に書いていきますが、よろしくお願いします。


展開は行き当たりばったりですが!





12/29 5話目迄改稿しました。






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