◇3◇◇決意表明してみよう!
ひねもすのたりで、ぼちぼち書いてます。
ちょっと覗いてみたら少しですが、ブクマ付いててビックリしました。
こんな駄文屋でも読んでくれる人いるんですね?(ホロリ泣)
コツコツ頑張って書きますね!
暇潰し出来る様に頑張りますm(_ _)m
◇◇◇◇
「ねぇたま!」
席に着いていたルーフェウスが、椅子を蹴倒す勢いで突進してくる。
猪か!?
ガッツリ首に抱きついてきた。
ぎゅうぎゅう首が締まってる。
ちょっと苦しい。
そんなに姉が好きですか!?
おちつけ~?
落ちついてくれ!
シマってる!
オチるから!
「はい、ソコまでだよ。ルー?」
ライアン兄様がしがみついていた手を手早く引き剥がし、レオン兄様がルーフェウスを羽交い締めしていた。
何この2人のコンビネーション?
正に阿吽の呼吸ってヤツだね!
というより、いつの間に忍び寄った!?
貴方達は忍者ですか?
あ、いや、勿論感謝してます。
してますけど!
だってあのままだったら、ベッドへリターンしてたよ!
少し咳き込んで苦しかった。
息を整えて、やっと2人の兄を涙目で見上げる。
「ヤ~ッ!ねぇたまぁ~!!」
あ、泣くか?
じたばた暴れっぱなしのルーフェウスを宥めないと!
取り敢えず!
レオン兄様はビクともしてないけど。
朝から兄弟喧嘩は気分が良くないし。
「ルー?イイコは?」
僕が腰を屈めて正面から顔を覗いて言う。
視線を合わせると、ピタリと大人しくなる。
ホント、さっきの暴れん坊が嘘みたいに。
レオン兄様がそっと拘束を解いた。
「イイコはちゃんとお席に着かないとね?」
「はい、ねぇたま!」
僕が手を差し出せば、ルーフェウスはゴキゲンでにっこり繋いできた。
変わり身早いよ!
何なんだろう、このお手軽感……。
「レオン兄様とライアン兄様もありがとうございます」
笑顔でお礼を口にすると、2人共はにかんでる。
スゴく嬉しそうなのはイイんだけどね。
う~ん……何故か、僕の内心では納得出来ない。
抵抗感満載。
だって本当にそれでいいんですか?
僕まだまだ子豚ちゃんですが?
まさかのデブ専じゃないよね。
シスコンフィルターが標準装備なのかな?
「うちの子はみんな仲が良いな!」
「そうですわねぇ」
お父様が一見爽やかに……ってあれ?
笑顔がちょっと怖いよ?何で!?
どゆこと……?
お母様!
お願いだから止めて!?
暢気に相槌打ってないで!
……はっ、母様の笑顔もよく見ると黒い?
何で!?
何が起こってるの?
2人がコワい!
どうなってんの?
どうしたらイイわけ?
って、あ…まだ僕が2人個別に声かけてないから?
まさかね?
まさかそんなコトで?
よし!
その想定で対応してみよう!
違ったら考え直せば良いし。
臨機応変って便利な言葉も在ることだし?
僕は何時もよりも不満を表して、唇を思い切り尖らせて言ってみた。
お父様にお母様、機嫌直してね!
対応が間違ってませんように!
「…お父様とお母様も一緒に仲良しですよ?」
「ウチは兄弟だけじゃなく、家族みんな仲が良いじゃないですか」
レオン兄様ナイスフォロー。
きらきら笑顔が眩しいね!
まったくムダに煌めいているよね……。
何か力が抜けるよ。
レオン兄様が時間を稼いでいるその間にルーフェウスの手を引いて、サッサと席に着ける。
頼むからこれ以上手間掛けさせんな!
そのまま僕は、両親の元に甘えに行く。
2人の間でお父様の服の袖をそっと掴んで引くと、即座に抱き抱えられた。
捕獲完了?
手早いね!
お父様の膝にあっという間に乗せられる。
すかさずお母様がサワサワと頬っぺたを撫でてきた。
「ふふっ、可愛い。もう食べちゃいたいわぁ」
「うむ、ウチの娘は世界一だな!」
何を2人で納得してんの?
自画自賛してるみたいなこの雰囲気!!
全力でヤメて下さい!
親の欲目は恥ずかし過ぎる!
誉め殺しデスカ?
子豚ちゃんに対して大袈裟過ぎるだろ!?
内心本気でヒクわ!!
思わず恥ずかしさハンパ無くて、俯いちゃうよなぁ?
何でウチの家族ってこうなの?
僕至上主義!?
何これ?
怖いんですが!!
「「アルフェミナ?どうかした?」」
見事なユニゾンですね、お兄様達。
さすが普段から息ピッタリの仲良しさんですね!
けど、方向転換には良い切っ掛けになった。
そっと僕はみんなに言い出す。
言っとくけど!
僕が腹ペコってワケじゃないからね!
我慢出来なくなりそうな約1名…可愛いルーフェウスの為だよ!
「…朝食にしましょう?」
「む、そうだな…」
「お腹すいた~ッ」
お父様はまだ構い足りない顔をしていた。
だが僕の言葉に、ルーフェウスが即座に反応した。
やっぱりお腹空いてるんだよね。
ルーフェウスは何時も、あっちチョロチョロこっちチョロチョロ。
運動量結構多いと思うから。
お父様は少し憮然としたけど、仕方無しに僕を抱き上げたまま立ち上がった。
そのままお姫様抱っこで運んで、席に座らせてくれる。
うん、これが通常運転なんだな。
ウチの場合はさ!
そして、こうやって身体を動かす機会が削られていくんだな。
気を付けよう!
うん、気を付けないと恐ろしい結果が待っているだけだよね!!
◇◇◇◇
……朝食の間、家族どころか使用人の皆さんにまで死ぬほど驚かれた。
これまでの習慣で、僕には野菜とか配膳されてなかった。
ずっと食べなかったから当然だけど。
それを敢えてオーダーしたから。
全員オロオロしてる。
それくらいで取り乱すな!
「嫌いなのに無理に食べなくて良いよ!」
「ねぇたまの嫌いなの、僕が食べる~」
「どうしちゃったの?」
「まさか、病気のせいで頭が……!」おい!!
ちょっと待て!
最後のはちょっと腹立つぞ!!
誰の頭がナンだって!?
フンだ!
メゲないもん!
覚悟は決まっているんだから。
右往左往の家族や使用人をよそに、涼しい顔で食事を終える。
ふん、今まで朝はお茶だけ。
気が向いたら果物少々なんて、ショボい食事してたけど。
改心したんだからこれからは慣れてよね。
マトモな朝食後のティータイムになってから、僕はようやく口を開いた。
「私、ずっと考えてました。」
家族をくるりと見渡す。
みんな神妙な顔で固唾を飲んで、僕の様子を伺っていた。
「同じ病にかかったのに、どうして私だけ死にそうになったのか?」
そうなんだよ!
今回の流行り病は兄弟全員とお母様もかかった。
でもさすがは公爵家。
ウチに専属で仕えてる治癒師やら薬師やら医術師やら、総勢をさっさと呼び寄せて。
僕以外あっさり完治。
そりゃ、庶民の間じゃ薬が足りなくて結構な死者数だったらしいが。
基本治癒師は貴族や上級官僚を診るので手一杯になる。
王候貴族で死人は滅多に出ないよ!
身分制度はシビアだね。
「私だけですよね、薬を苦いからって嫌がったの」
「「「「アルフェミナの飲み易い薬を作らない薬師が悪い!」」」」
「ねぇたま悪くないもん!」
……違うでしょ!?
みんな、そこで頷くトコなの?
あり得ないでしょ!?
命が懸かっているのに!!
そこは僕のワガママ許しちゃダメなトコでしょうが!!
「それに私だけ余り身体を動かさないから、体力も無くて。」
「「「「アルフェミナは大人しいから仕方ない!」」」」
「ねえたま悪くないもん!」
………はぁ~、全肯定できますか。
そう来ますか。
疲れるな、もう。
精神力ガリガリ削れてそう。
投げ遣りになりそうな気持ちをグッと堪える。
そうしたいなら、そのまま全肯定し続けて貰いましょう!
最後まで責任持ってね!!
「だから、キチンと食事を摂って少しずつ運動も…とりあえず散歩から始めます!」
「無理しなくて良いのに!」
「怪我したらどうするの!?」
みんなして阿鼻叫喚かい!?
心配してくれてるのは判るが!
それは違~う!!
違うでしょ?
ねぇ!!
此処は譲れないよね。
将来の自分の為に!
散々止めようとする声に、僕は結局聞く耳持たない。
不承不承でも受け入れるしかないでしょ?
僕は溺愛され過ぎる公爵家の一人娘。
我が儘にやらせて頂きます!