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どうしてこうなった!?  作者: ねこまたのしっぽ
16/17

◇16◇◇世の中は納得出来ない事って結構有るよね?


お久し振りです。

やっとこさっとこ更新が上がりました。

ホント相変わらずの亀進行です。

お待たせしてますm(_ _)m

毎回こんな感じなのに読んで下さってる皆様に感謝です!




そして、ザレクがすっかり嫌われ者ですね。

すみません。


彼は何年か前に、私が仕事場で遭遇した母方の実家の親戚を名乗っていた、実在の人物がモデルなんですよ。

母の実家は某地方の旧家なんですが、もう余り付き合いが無いので(>_<)

私が把握していないだけかと思っていたら、母に聞いても全く知らない人でした。

実家の名前に傷が付くのを気にして、母が本家に問い合わせたトコロ、何処で繋がっているのか判らないくらい遠~い親戚でした。

( ̄○ ̄;)

本家の方から厳重注意が入ったそうですが。

おっきな家の名前を使う時は何処に繋がる人がいるか判らないので、コワいです。

私は責任持ちたく無いし面倒なので、名前使わないし、出来るだけ付き合わない様に、然り気無く遠ざかる。

その方がラクだし。


……そういう人って割合たくさんいるよね?

(((^_^;)





◇◇◇◇





幾分スッキリした気分で眼が覚めた。

朝だ。

僕は生欠伸しながら身を起こした。

うん、とりあえず何処も痛く無いし、気分も悪くない。

眩暈もしてない。

心配していた後遺症もどうやら大丈夫そう。

良かった~!


「お目覚めですか?お早いですね」


「ユーシスさん、お早うございます。気分は悪くありません」


思わず、質問を先取りして答えちゃった僕に、ユーシスさんは優しく微笑んだ。


「どうやら心配はいらない様ですね。グラムにも聞いていたが、実に賢い方だ。」


「グラムに会ったのですか?グラムはどうなりました?」


「お話は後程に。閣下の執務室でなさるそうですよ」


あれ?

何だか歯切れが悪いな。

何か不都合な事態にでも 発展しちゃったのか?

ユーシスさんは穏やかに微笑んでいるけど、何か不穏だよね?

イヤだな~、こういうのって。


「ユーシス様、お嬢様の具合は如何ですか?」


不安そうな顔のエレナが顔を出した。

僕が起き上がっているのを確認すると、うるうると眼を潤ませた。

又心配かけちゃったな。


「エレナ、私はもう大丈夫ですよ?」


笑顔、笑顔~!

泣き出すと長いからね!


「~~っ、お嬢様、お着替えお持ちしました」


「あぁ、そのお湯はどうぞお使い下さいね。私は外にいますので、整ったら呼んで下さい」


「ありがとうございますユーシスさん」


あ、エレナが涙を堪えてる。

眼の端に涙は溜まってるけど、ちょっとぎこちないけど、ちゃんと笑ってくれた。

良かった~っ。

ユーシスさんは扉替わりの重いカーテンを掻き分けて、部屋を出て行ってしまった。

それにしても、何か気になるよね?

色々含みがありそうな言い方するし、さぁ。

早くお父様に詳しいトコしっかり訊かなくちゃ!


ユーシスさんが用意してくれてたお湯で、顔を洗って身体を拭かせて貰った。

それから、エレナが持って来てくれたドレスに着替えて、しっかり身支度を整えた。

よし、準備完了!


着替えて外に出ると、ユーシスさんが待っていてくれた。


「ユーシスさん、お待たせしました。色々お世話になり、感謝します」


お礼を言わなくちゃだよね~。

職場をちょっと借りちゃったし。


「いえ、それでは参りましょうか」


ユーシスさんは、にっこり笑うと先導して歩き始める。

後ろにいたエレナに促されてそのまま3人で歩き出す。

あれ~?

ユーシスさんも一緒なのかな?

治癒室はどうするんだろう?

連れ歩かれながらも、如何にも首を捻っている風体の僕に気が付いたのか、ユーシスさんが苦笑しながら言った。


「お嬢様、治癒室でしたらすぐに交代の治癒師が参りますから、お気になさらずに」


「そうなんですね。駆け込んで来る方がいたら、治癒師の不在が申し訳なく思えて……」


「お優しいのですね」


あ~、その温かく見守る的な視線は止めて下さいよ~。

僕は元が小心者なだけなんだよ。

だって、治癒師不在で何か有ったら……恨まれそうじゃないか!

僕は俯いてしまった。


それにしても、あのザレクって奴は絶対高位貴族家の血縁だよね。

公爵家の中でアレだけ自分偉いやってるってコトはさ。

ん~、でも厳密には本人は貴族じゃあ無い可能性も有るんだよね。

大貴族家だと、分家筋ってのが幾つか在って血が途絶えない様にしてるんだけど。

それでも無制限に分家を増やすのは国法で禁じられてる。

遠縁だと、貴族じゃあなくて平民になる。

だから平民がイヤで、騎士爵とか准爵とかを叙爵して貰うのに必死になって功績を挙げようとしているらしい。

『貴い血』ってヤツに拘って、偉そうにしてるのは何もしないと貴族から外れちゃう奴に多いんだって。


ま、判らないでもない。


前世でも研究所に外来で来たお客様の中にいたんだよね。

自分は本社の会長(つまり僕の母方の祖父)とは遠縁だとか言って偉そうだったのが。

コミュ障な研究員よかマシってコトで、接客に出たのが当時大学生だった僕で。

研修生のネームプレート見て、『バカにしてるのか』って警備員まで出てくる乱闘紛いの大騒ぎしてさ。

大体親族の集まりに出られれば、僕の一家は中でもちょっと目立っちゃってるから、僕の顔はうろ覚えでも名前は覚える筈なんだよ?

本社社長の懐刀の息子で会長の外孫なんて。

こっちが覚えきれない外戚でも一方的に覚えられてて、割合頻繁に街中で声掛けられたりする。

僕が程々に相手出来る事と所内では1番下っ端ってのも理由で、外の客には最初の案内人で何時も付けられてたんだよ。

ま、僕が研究所に入り浸っているのは親族や外戚筋、果ては取引先でも随分知られてる話だったからね。

普通なら僕が経営者一族の末端だって直ぐ判ってくれて、ムチャ言ったり上から目線で偉ぶった態度なんてしなかったんだけどね?

ホントにアノ時は茫然自失になっちゃったよ。

直ぐ所長がかっ飛んで来て、僕はその場から外れたけどね。

後から聞いたら、ソイツは遠縁って言っても親族会の集まりには出られない位遠~い薄~い血縁だったらしいけど。

その時に母親が言ってたんだ。

『血が遠い程威張りたがる』ってさ。

虎の威を借る狐ってヤツだ。

寧ろ、本家筋や近い親族の方が周囲の評価を気にして品行方正に自主規制が厳しいんだってさ。

家の品格を落とす行為は他の親族の目を気にして先ず避ける。

じゃないとあっという間に他の親族に役職を乗っ取られるからだって。

弱味を見せたら喰い散らかされる。

恐ろしい世界だよ。

『許容範囲の見極めが大事だからね』って、上の姉までが黒い笑顔でニッコリ脅してきた。

アノ時のヒンヤリした恐怖感は忘れられない。


そんな事を思い出して、やっぱザレクってそっち系の人かな、とね?

主筋が大貴族だったりしたら、それだけで死刑や実刑は難しいかなぁ。

僕には後遺症も後に残る瑕疵も無い。

完治出来ちゃう程度の怪我って軽く見られかねないし。

う~ん、あの場で気絶でもしてれば良かったのかな?

でもまだ精神的には男だってプライドが邪魔して、そんなみっともない姿晒したく無かったし。

けどさぁ考えたら、今の僕は女の子。

まだ5歳の幼女だったんだよね~。

メチャクチャ痩せ我慢してたんだけど。

そんな小さい幼児が我慢出来る程度って、僕のあの時の状態を軽く見積もられたらヤバいよね?

万が一にも不敬罪なんて問題にグラムが被っていたらどうしよう?

あぁ、いっそあの時に倒れちゃってれば……!


「公爵閣下、お嬢様をお連れしました」


あ~、執務室着いちゃったよ。

ユーシスさんが扉をノックして、中に声を掛けてる。

執務室の扉を中からお父様の補佐官が開けてくれた。

ユーシスさんに背中に手を添えられて促され、僕から中に入る。


「お父様、お早うございます。お呼びにより参りました」


「アルフェミナ!」


折角キチンと挨拶したのに、お父様ってばイキナリだっこでぎゅうぎゅうにしてきたよ……。

いや、こういう人だって理解ってたけどね?

早朝からコレって疲れるな、通常運転なんだけどさ。

にしても、苦しい。

そろそろ限界なんですけど?

ギュムッと強く抱き締められて拘束してるお父様の腕をタップする。

ギブです。


「ご心配おかけして申し訳ありません、お父様。ところで、そろそろ苦しいのですけど」


あ、腕が弛んだ。

脱出成功!と、思ったのに甘かった。

くそぅ。

そのまま執務机の奥のお父様の席にだっこで連れてかれて、お膝の上。

う~ん、不覚。

ま、仕方ない。

それより先ずは裁定を聴きたいな。


「それではお父様、あの後グラムとザレクにどの様な処分を下したのか教えて貰えますか?」


「アルフェミナ、先ずグラムだが。可愛い娘のお願いだからね?特に処分はないよ」


あぁ、良かった!

無事だ~。

胸を撫で下ろす。

そんな僕の頭を撫で捲りながら、お父様は少し気不味そうに続けた。


「次にザレクだが……彼はミゼリアス大公の甥でね。父親は大公の庶子の弟で伯爵位を持っている。母親は王族筋の降嫁だ。嫡出子だが三男で後継子ではないのだが」


う~、やっぱりヤンゴトナキお血筋ってのか!

まさか、最低限不問なんて事には絶対にならないよね!?

じゃないと僕の怪我損じゃん!!

メチャクチャ痛かったんだからね?

僕は黙ったままお父様をじぃ~っと見上げた。

お父様は僕の様子を伺う様に言葉を綴る。


「ザレクの後見は大公だったから、大公と魔道具で緊急会談をしてね。此方の職は解雇して、身柄は大公にお返しする事になった」


「……処分はそれだけですか?」


「知らなかったとはいえ流石にアルフェミナへの暴行は、見過ごす訳にはいかないからね。まぁ、彼の王位継承権と大公継承権並びに彼の父親の持つ伯爵位を含め所有する他の全ての爵位継承権の放棄。それと自身の准爵も返上して、平民落ちさせた。処分はこの辺り迄しか……」


おっと~、大公と王族ってマジですか?

ヤバくない?

お父様?

あれ、落ち込んでる?


「お父様?」


「すまない、アルフェミナ!頑張ってゴネたんだけど!!精一杯でこれが限界だった……」


萎れてる。

やっぱり実刑までは無理だったか!

うぅ~、これで納得するしかないのかな。

あれ程バカにしてた平民堕ちだし。

でもな~、もう一押し欲しかった!

ホントに痛かったんだからね!!

くそぅ……。

でもお父様もちゃんと納得してはいないみたいだしな~。

それにしても、階級社会って面倒臭いよね。

時代劇みたいに、無礼討ちが罷り通っちゃう。

それを考えたら、ザレクは平民堕ちしたんだから後が無いのかな?

もうあんなデカイ態度は取れないってコト?

いくら大公様の御威光が在っても平民じゃ庇い切れないよね?

少なくとも今迄の態度を改めないとさ。

それ考えたら、飲み込むしかないかな。

我慢して……。


「アルフェミナ、怒っているのか?不甲斐ない父で本当にすまない」


あれ?

僕が色々考え込んでる間にお父様がスッカリ落ち込んじゃった。

頑張ってくれたのに……ゴメンナサイ。


「お父様、お気遣いありがとうございます」


ダッコしてる腕をパフンと軽く叩いてお父様を労う。

怒って無いよ?

ちょっとムカついてるだけだもん。


「やはり王族筋の血が入っていると処分は難しいでしょうし」


フォローはしとく。

お父様のせいじゃ無いからね?


「王族筋といっても随分遠い血筋ですよ、お嬢様。王位継承権20位以降なら上級貴族には幾らでも居るんですよ?そうですよね、閣下」


おぉっと!

ナゼかユーシスさんが怒りの大魔神化してる。

扉の前で腕組みの仁王立ち!

ダークマター垂れ流しだよ!?

そういえばユーシスさんって何で執務室に一緒に来たんだろ?

お父様はユーシスさんを見て黙ってるし。

何か汗ダラダラって感じだ。


「王族筋といったら閣下もですよね?継承権に於いて閣下は9位、対してザレクは元58位。だから、天才肌とはいえ問題児のザレクも抑え込めると、大公閣下からも随分期待されて預かられたのですよね?」


ん?

風向きがオカシイ?

何だろう?


「閣下が不干渉を通していたから今回の様にお嬢様まで被害を被ったのではありませんか?」


「それをいうなら、ユーシスだって元は王族だろう!自分の事は棚上げなのか!?」


うわッ!

ユーシスさんが氷河期レベルのジト目でお父様を凝視してるよ!

い~や~だ~!!

ここに居たくない~!

誰か~、ヘルプ~!!


「ザレクには日々苦言を呈していましたよ?私は神殿入りで王族籍と継承権を返上したからね。身分上平民扱いの私の言葉など耳に入らなかっただけですが?」


自分は憎まれ役でもキッチリやるべき事はやったって胸張ってお父様を責め立てる。

……にしても、ちょっとユーシスさん?

聞き捨てならない事聞いたよ?

どゆこと??


「ユーシスさんは王族出身だったのですか?」


「ああ、ユーシスは先代陛下の側室腹だからな。現陛下の末弟に当たる。その分、どこの神殿で身柄を預かるか難しい所だったのだが……」


僕の疑問に空かさずお父様が答えてくれた。

明らかに話が逸らせそうで、ホッとして饒舌になってるんだけど。

でも、だからってユーシスさんの追及からは逃れられないと思うんだけどな~。

ユーシスさんの眼が鋭く光る。

コワ過ぎるッ!

気付いて、お父様!!

言い逃れしてたら、ロクな目にあわないよ!


「そういう閣下は先代王弟殿下の第3王子でしたよねぇ?それも正妃腹の嫡出子ですよね?」


へ?

お父様って元王族?

それは知らなかった!

ビックリだよ!!

何だか次から次への新事実発覚なんて、熱出てきそうだよ~。


「ルクセリア公爵の一人娘の奥方様に婿入りなさって貴族籍に移られても継承権は放棄なさってないのでまだ上位の侭ですからね?」


「う……し、しかしな、あの時…私は放棄したかったのだが周囲の者達の反対が……」


そっか~。

お父様ってば入り婿さんだったのか~。

ヤンゴトナキ血筋って僕にも流れてたんだ~。

何か段々現実感無くなって、驚くってよりシラケてきたよ……。

もう疲れたから、早く終わってくれないかな?

でも、飛び火するのはイヤだからな。

ココは黙って大人しく付き合うしか無いよね。


「その貴方が諭さねばならないのに面倒がって放置するから、結果この様な大きな事態に進展してしまうのですよ?それに貴方でしたら大公閣下にも、もっと強い態度で出られた筈でしょう?こんな軽微な罰など罰とは呼べません!事なかれも大概になさい!!」


ユーシスさんのマジギレ、コワッ!

怒らせるとホント手がつけられないなぁ。

さっきまでの優し気な雰囲気は何処いった?

普段温厚な人がキレるって厄介なんだね~。

(他人事!?)


「内政に関しては貴方は領主としても宰相としても非常に優秀ですがね。どんな非常事態にも慌てずに対応出来てますし。ですが、強く出てくる対外交渉にはこんなに弱いなんて!そういったツケは官吏や領民等の立場の弱い者達が全部被る事になるんですよ!!」


う~ん、神殿は基本的に弱者救済が役割ってか信条だからな~。

上に立つ責任者が不甲斐なくて被る被害も見過ごせないんだろうな。


「ユーシス、もうその辺で勘弁してくれないか?アルフェミナもいる事だし……」


あ、バカがいる。

こういうトコで話誤魔化そうとするか?

空気読んでよ!

もっと殊勝に反省した態度を見せないと、火に油でしょ~!?


「その大事なお嬢様に迄、被害が広がってるんですよ!貴方は本当に根本的な問題を理解しているのですか?」


ユラリと執務机の前まで場所を移したユーシスさんはまるで幽鬼の如き冷気を醸している。

そのまま、バンと両手を執務机に叩き付けてお父様を睨んでる。

うん、ユーシスさんが正しいよね。

責任者はさぁ、内心弱気でも、慌てても、表向きはドッシリ構えて隙を見せちゃダメでしょう?


「いや、その、な…」


「貴方のその弱腰な姿勢が他の貴族家にも露呈したのですよ!これからは貴方の出自に遠慮していた他家が、どんどん強気な態度を見せてくるでしょうね?関税に通行税やらの領境に関しても一方的に不利な条件で負担を強いてくるかも知れませんよ?」


ユーシスさんの勢いが削がれてきちゃったな。

項垂れてる。

お父様が不甲斐なくて情けないよね?


「貴方は元王族のこの国の宰相だという自覚が無いのですか?貴方のせいで王家迄軽く扱われる様な由々しき事態になったら、どう責任を取るお積もりですか?貴方個人でいえば、実質的な権利の優先度は大公家より更に上位に措かれているの筈なのに……」


うんうん、ユーシスさんの言いたい事は良く判るよ。

お父様もソコは一息付くトコでも安心するトコでも無いよ?

僕だってユーシスさんの話で大体の権力相関図が見えてきたし。

これは僕も怒って良いんだよね?

まぁ僕はさ、もっと搦め手でいこうかな?

だって処分に合意した後で、とやかく異議申し立てしたら、余計にお父様の権威が危うい。

この場合はとことん攻めるべきかな!

僕がね!!


「お父様、私は個人的にザレクに補償と賠償を請求致します。本来私は昨日グラムと非常事態における薬草の確保の為に、事前に取れる可能性のある方策を話し合っていました。ソコにザレクが処理室に押し入って来たのです。彼が奪おうとした薬壺はその試策として考えていた物に使う品でした。更に言えば、ザレクの乱入によって、予定していた処理中の薬草が幾つかムダになり使えなくなりました。又、私の負傷とグラムへの嫌疑で計画も遅延しています。以上の事柄に依る保障を私個人から求めても宜しいですよね?」


あれ?

お父様ってば、そんなに唖然としなくてもイイでしょ?

ユーシスさんも眼を見開いて驚いてる。

ふふん、反撃はこれからだよね?

僕はニッコリと、とてもイイ笑顔で続ける。


「今回の疫病の対策に於いて、私も上に立つ者の1人として色々考えさせられました。だからこそです。この研究はいざという時に領民の健康や命を守る事にも直結しますから。ならばこそグラムも協力を約束してくれたのですよ、お父様。」


「……驚きましたね、そこまでの事をお考えになっているとは」


言葉の出ないお父様を放り出して、ユーシスさんが僕を見て言葉を何とか紡いでくれた。

こうなったらユーシスさんにも巻き込まれて貰おうかな!

やっぱり頼れる大人が沢山協力してくれた方が話が早いからね!!

……ホントはカレーが食べたかっただけの方便なんだけど。

まぁ、今回はその建前をとことん利用しなくちゃだけどね?

ザレクのヤツを追い詰める為にね!!


「試策が上手く機能出来るようなら、神殿にも協力を仰ごうと考えていたのです。ですが、事態が事態になってしまいましたので。ユーシスさんにもご協力お願い出来ませんか?」


「……ええ、勿論。多くの人々の為なら私は協力を惜しみませんよ?」

あ、ユーシスさんも僕の思惑に気が付いてくれたかな?

眼が細められて、これは色々思考が高速回転してるみたいだな。

流石はユーシスさん!

巻き込まれる気満々の御返答、誠にありがとうございます!!


「では、この件はグラムにも事情を良く伺って閣下と共に交渉に当たらせて頂きますね?」


「はい、是非ともよろしくお願いします。お父様だけでは、大公閣下にどうにも丸め込まれそうですからね」


「ア、アルフェミナ~?そんなにお父様は頼り無いと思っているのかな~?」


情けない声で僕にお父様が訊ねてくる。

チラリとお父様を見上げると、すっかり涙目になっていた。

だって~、しょうがないよね?

情け無い結果を出したっていう、負の実績が出来ちゃってるんだもん。

1人で代理交渉させたら 、絶対に又向こうの良い様に扱われるの目に見えてるもん!


「表向きの裁定は大公家の地位を考えて譲って差し上げたのですから、裏向きの私個人の補償賠償の請求はお2人掛かりで強気で行って下さいね?期待していますよ」


「勿論ですよ、ねぇ閣下?しっかりせしめておきましょうね」


「……ああ」


笑顔満開の僕にユーシスさんもアノ暗黒物質を大量に醸し出しながら、リベンジの好機に機嫌を直して応えてくれた。

お父様は……引き吊った口元を隠す事も出来ずに、ユーシスさんの黒い笑顔に渋々頷いていた。

あ、お父様ってば魂半分抜けてる感じもするけど、ユーシスさんがしっかりシメてるなら大丈夫だよね~?







因みに結果は聞いてないよ?

だってマジでコワいじゃない!

只、翌日にグラムと薬草園から出てきたトコで遠目に見かけたユーシスさん、凄振るゴキゲンだったよ。

お父様は真っ白に燃え尽きていたけどね!!




カレー製作の私的な野望が……ホントに、どうしてこうなった!?











さて、何時になったらカレー製作に辿り着けるのかな?

好物にありつけず、イライラしてる主人公ですが……漸くカレーが見えてきたのでしょうか。


そして実は大魔神ユーシスさん!!

私的には、好きなキャラです( ̄ー+ ̄)

清廉潔白なばかりじゃない、ある意味腹黒さんですよね。




いつもこんな駄猫の与太話を読んで下さる皆様、ありがとうございます!

駄文屋な私ですが、これからもコツコツ書いていきますのでよろしくです(*^_^*)





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