◇14◇◇お仕置きしないと気が済まない!
はい、亀記録更新中の駄文屋です(ToT)
中々気持ち良くザマァになりません。
文才って何だろう?
↑現実逃避(笑)
何とか2月中にもう1回更新出来る様に頑張ったのですが。
インフル&ノロのダブルテロに泣きました(>_<)
ホントに思う様にはいかないものですね?
ザマァにご期待下さった皆様、申し訳ありませんm(_ _)m
私はスタイリッシュに仕上げるには、出来損ない過ぎました。
程々にお手柔らかにお願いします(((^_^;)
◇◇◇◇
開け放ったままの入り口から、焦りを滲ませたお父様が姿を現した。
息を切らせて、額に汗も浮かんでる。
エレナの報告からスグに走って来たんだね。
エレナの姿が見えないってのは、置いてきぼりかな?
動きやすい軽装の男と曲がりなりにもドレスの女じゃ、走るスピードが全然違うもんね。
お父様は先ず僕の姿を確認してから、部屋の中を見て絶句した。
まぁ、そりゃそうだ。
僕は開けっ放しの扉前で退避してるから、お父様はとりあえず安心したんだろうね?
そんでもって、僕の前で取っ組み合いの喧嘩をしている大の男が2人。
「一体この騒ぎは何事だ!?」
「「公爵閣下!?」」
やっと2人の動きが止まった。
小さな子供の前ではなるべく避けてほしい中々刺激的な光景が繰り広げられていたし。
まぁ、確かに2人を止めるのが先だろうけど。
でもお父様、ちゃんと僕を見てよね?
僕さぁ、怪我してんだけど?
気付いて欲しいなぁ。
額というか、髪の生え際を少し切っちゃって血がちょっとタラタラ出てんだよねぇ。
エレナが居たときはまだ傷口からじわじわって感じで、エレナが動揺して気付かれない間に追い立てたんだよね。
お父様を呼ぶって決めたから、血が目立つ様に押さえないで流血放置。
いの一番の真っ先に気付いて貰える様にさぁ。
お陰で襟が汚れちゃったんだよね。
頭の怪我の出血は傷の見た目より多いって聞いた事有ったけど、僕は今自分を絶対に鏡で見たく無いな。
スプラッタってホントは苦手だし~。
僕の視界に入ってなければ我慢出来る、てか意地でもするし。
血の匂いとかも吐きそうだけどね。
気にしたら負ける!
現状正しく確認したら先ず間違いなく絶対気絶するよ!
それだけは揺るぎなく自信あるし!!
だから、無視無視無視~っ!!
「お嬢様っっ、血がこんなに……!お怪我なさっていたのですか!?どうして黙っていらしたのです!?」
喧嘩の興奮で上気していたグラムの顔が、一気に急降下。
真っ青になって僕に大慌てで走り寄って、手巾で血を拭って押さえる。
うん、ごめんねグラム心配ばっか掛けてるよね。
でも、このザレクってヤツにムカついたからね?
しっかりお仕置きしないと、僕の気が済まないんだよ?
変なトコで頑固者なんだよ。
理不尽が許せない。
グラムが良い奴って判ったからあんな言い方や扱い方をされるのは僕がイヤだ。
ワガママです。
「部外者の子供を館に引き入れて、薬師ってのは何考えてんのか……全く非常識にも程があるだろうに!」
ザレクはさも、グラムに非がある様な口振りで吐き捨てる。
あはは、空気読めてないな~。
お父様の連れている補佐官3人に護衛官2人も顔面蒼白で引き吊ってるんだけどな~。
うん、この人達みたいなお父様の側近連中は、僕の顔というか公爵家一家の顔ぐらい知ってて当然だしね。
お父様が唯一の娘であるこの僕を溺愛してるのも当たり前に有名な話だから知ってる。
そして、僕は女の子。
髪の生え際とはいえ大事な顔に傷作って血がダラダラ。
そんなの見りゃ結果は明らかだよ!
お父様の機嫌も真っ逆さまの急降下になってるんだけど。
そこはかとなく、冷気が漂ってきたみたい。
正に魔王様の御降臨!
―――そしてザレクだけが、その理由までは思い至ってないんだな。
空気読めないって大変な事態を引き起こすモンだね~。
(他人事!?)
「……何があった?」
「公爵閣下、その様な年端もいかない子供にまともな事情など判ろう筈がございませんよ。私がご説明申し上げます!」
お父様は一呼吸於いて慎重に心を落ち着けてから、僕に向かって静かに話し掛けた。
ソコで慌てて口を突っ込んでくるのはザレクのヤツだ。
どうして子供の僕に事情を訊いているのか、考えてないよね~。
僕がお父様にとって既知の存在だからに決まっているじゃない。
そうでなきゃ普通は現場にいる大人に訊くもん。
「私が依頼されていた魔法薬の素材である薬草が薬室に無く未だ処理されていない事をこのグラムに問い質そうとした所、部外者を処理室に連れ込みあまつさえ幼い少女に不埒な行為に耽っていたのでございます!それを止めようと揉み合いになり……」
大仰に態度を取り繕ってお父様に礼をしながら、如何にグラムに非が在るかを自分を正当化させて滔々と話し出す。
「黙れ」
「は?公爵閣下?」
「黙れと言った。貴様には訊いておらん、不敬ではないか?」
「え?いや、閣下。私は只事情を詳しくご説明差し上げようと……」
お父様の魔王化が進んで恐ろしい……。
言葉が出ないよ。
僕がイタズラされたなんて、冗談でも口にしたらお父様的には完全にアウトだよ!
お父様、怖い。
今にも泣きそうだよ、僕がね?
なのに……僕に無言で促してくる。
空気重い。
圧迫死しそう。
うぅ、キツいなぁ。
仕方ないか、お父様巻き込んでるの僕だし。
ちゃんと責任取るよ?
責任取って最初から話しますとも!
でも、一言文句……物申すだよ。
「……本当によくもその様な捏造事を繰り出すものですね。つくづく呆れ果てます」
「なっ…!恥を暴露されたからとその様な」
「貴様は私の命を何と心得ているのか?黙れと言っておる。アルフェミナ、話せ」
「はい、お父様」
ザレクは僕の言葉に驚愕して、パクパクと口を金魚みたいに開いたり閉じたり。
ふふん、やっと僕が何者か理解出来たみたいだね?
遅っ!
マジで遅過ぎだ!
「本日お父様に許可を頂き、エレナと薬草園に参りました。グラムを案内役にと、お父様が命じて下さったのですよね?充分に堪能致しました。その際グラムに薬草を分けて頂きました。そして薬草の処理をグラムにお願いしていたら、作業中に誰何の声も掛けず扉が鍵ごと蹴破られてそのザレクという者が現れました。おかげで処理中の薬草の幾つかが使い物にならなくなりました。それだけならまだしも、あろうことかいきなり私を突き飛ばし謝罪もなく悪し様に罵り私の薬壺を奪おうとしました。グラムは私への謝罪と薬壺の返還を求めてその者と揉み合いになりました。だから私はエレナにお父様を呼びに行かせたのです。私では成人男性が2人なんて、止めようがありませんでしたし。ですからお父様、私を庇って下さったグラムをどうか咎めたりなさらないで下さいませんか?私グラムには細々と心遣いして頂いたのですから」
一息に話し切りました。
だってお父様が恐いんだもん。
止まったら言葉が続かなくなりそうだったし。
喉がひりついてくる。
はぁ、取り敢えずザックリだったけど説明義務は果たしたよね?
僕はお父様をじっと見上げる。
グラムが貸してくれたちょっと血で汚れた手巾で傷を押さえながら。
「お嬢様!?その血は……!」
あ、エレナ到着。
息も絶え絶えながら大慌てで僕の前に膝付いて、手巾を押さえていた僕の手を取って生え際の傷を確かめている。
あんまりその手巾見える位置に持たないで?
気が遠くなりそう。
っていうかエレナの方が倒れた。
あちゃ~やっぱり、お約束だ。
「エレナを休める所に運んで?」
「そなたも傷の手当てをしなさい」
補佐官の1人にエレナを頼もうとしたら、お父様に即座に追撃喰らっちゃった。
やっぱり?
うん、言うべき事は言ったし。
後は大人のお話だよね?
はい、大人しく従いますよ。
今のお父様に逆らいません!
チラリとグラムを見れば微かに頷いてくれた。
無表情の中に僕を案じてくれてるのが判る。
顔は怖いけどな!
ザレクは青ざめて強張ったまま。
やっと状況を飲み込めたのか、投げ遣りな感じだね。
でも、コレって自業自得だもん。
僕を確かめもせず、横柄に軽んじた結果でしょ?
同情の余地なし!
うん、間違いないよね。
◇◇◇◇
僕はエレナを抱えた補佐官と護衛官に伴われて治癒室へ向かった。
僕も護衛官に抱えられそうになったけど、丁重にお断りしといた。
コレくらいへっちゃらだもん。
伊達にウォーキング頑張っていたワケじゃないからね。
僕にとっての小走りスピードでも大丈夫!
そう簡単には息切れしないよ?
薬師の館の裏にある領城内の神殿に向かう。
領城に勤務してる人員の怪我や病気に対応する為に、治癒師は其処にある治癒室に待機している。
医術師は基本的に軍属だから、領軍の軍務関連施設内に待機場所の医務室が在るんだって。
ソコで応急処置をして必要が有れば、神殿の治癒室行きっていう順序になるそうだ。
まぁ領兵の皆さんにとって任務や訓練の最中に負う怪我は、応急処置の有無で怪我の後遺症なんかが深刻になったりするからね?
そりゃ領城から出動する場合、それぞれの隊に医務官が付いて随行が義務化されてるワケで。
任務地での医療行為は、その医務官が主導する事になっている。
大型の魔獣騒ぎや天災なんかの一般人的に対応出来ない災害が起こると、避難民の怪我や病気の面倒も診たりする。
本当に医務官って職業は多忙を極めてるのに責任重大なんだよね。
頭が下がるよ。
それは兎も角。
神殿に入って右手奥側に進むと治癒室到着。
入り口は扉が無くてゆったりとした布で幾重かに閉めてある。
カーテンっていうような軽さじゃあ無くて、幕って云えばイイの?
ちょっと重々しい感じなんだよね。
「治癒師殿、入ってよろしいか?怪我人が居るのだが」
入り口で補佐官が中に声を掛ける。
うん、当然だね!
緊急事態でもない限り、勝手に足を踏み入れるのは礼儀上無いよね。
「どうぞ、此方に……」
幕をたくし上げて、顔を出した治癒師が僕を見て声を無くす。
あ、そうか。
このヒト知ってる。
僕が寝込んでいた時にお世話になった人。
確か治癒師長のユーシスさんだ!
「お嬢様、取り敢えず此方に!あぁ、乳母殿はそちらの寝台へ」
慌てさせて御免なさい、ユーシスさん。
多分頭の傷は大した事は無いと思うよ。
それより背中だよ。
ズキンズキン痛いんだもん。
さっきは感情が高ぶってて感じてなかったけど、治癒室に向かっている間に痛くなってきたんだ。
もしかしたら肋骨ヤっちゃったかなぁ?
想像したくない。
気にしたら……うん、倒れそうだね!
僕がね!!
ユーシスさんが先ず僕の頭の傷の治療をしてくれてる。
傷口を浄化して、治癒魔法を当ててくれた。
ほんのり、じんわり温かい。
やっぱり新陳代謝を傷部分だけ一時的に上げるからかなぁ?
あっという間でした。
サスガです!
「あぁ、跡は残っていませんね。良うございました。他に何処か痛みは有りますか?気になる所は在りませんか?」
「はい、実は背中の方がとても痛くて……」
診察台に腰掛けていた僕は、頭に傷跡が残っていない事に安堵して微笑んだユーシスさんに淡々と告げた。
途端にユーシスさんが固まる。
あ、ユーシスさんの後ろで様子を伺っていた補佐官と護衛官も固まって引き吊ってる。
いや、だからね~お2人さん?
僕お父様の前で言ったよね?
突き飛ばされたって。
それで頭の怪我以外無いワケないでしょ?
ユーシスさんは後ろの2人に外で待機するように言って、そのまま2人の背中を押して治癒室から手早く追い出す。
真面目な顔で一言一言噛み砕くみたいに、ユーシスさんは僕に言い含めてきた。
「申し訳ありませんがお嬢様。ご無礼お許し下さいますか?様子を診ないと治療が出来ません。宜しいでしょうか?」
まぁ、そうだよね?
子供とはいえ貴族の子女の肌を曝すってのは、相当な不敬に当たる。
常識に於いて考えると命に関わる緊急事態でもない限り、有無を云わせず脱がせるってのは有り得ないしね?
僕にとっては別に気にしてないから、早く治して欲しいだけなんだよ?
ホントはさ。
「構いません、宜しくお願いします」
僕の返事を聞いて、そっと背中に触れない様に僕の服を脱がせていく。
あれ?
背中に気を取られていたけど、手足にもあちこちアザが……。
イヤだなぁ、益々気が遠くなりそう。
何てコトだよ!?
あぁ、背中がコワい。
圧倒的に背中が痛いんだもん。
見えてるトコより絶対ヒドいコトになってるもんね~。
ヤダヤダ。
ドレスを脱いで、スリップも脱いで、カボチャパンツ一丁だ。
ユーシスさんが渋い顔してる。
結構イケオジな細面のナイスミドルなんですが、普段の優しげで穏やかな雰囲気が一転して厳しい表情している。
そんなにヒドいかなぁ?
想像したくない。
ねぇ?
知ったら冷静じゃあいられないもんね~。
暴れちゃうよ。
全身打撲って感じだけど、背中が相当ヒドいんだろうな。
うわ~、見たくない。
知りたくない。
僕は気弱な草食系だもん!
僕が内心の葛藤に悩んでいる間にユーシスさんが治療を始めていた。
先ず手足の軽いアザから順番に。
そんで今背中に取り掛かってる。
ユーシスさんの顔が不機嫌に歪んでる。
そんなにヒドいかな?
うん、僕の精神衛生上ユーシスさんの様子を観察するのはヤ~メた。
軟弱万歳!
逃避歓迎!
僕は黙ってユーシスさんの指示に従いうつ伏せて、大人しく現実逃避。
あ~、でも全身少しずつじわじわ温かい。
岩盤浴みたいに気持ちイイ。
寝ちゃいそう。
いっかな、寝ちゃっても。
うたうたと僕はうたた寝モード。
今日は疲れたな~。
色々有ったし。
真面目に治癒魔法使ってるユーシスさん、ごめんなさい。
痛みが引いてきてポカポカしてきて、とても起きてらんないや。
ネムネムだから。
まだ5歳児だから見逃してね?
そして、僕は意識を手放した。
次回はどうなる?
主人公が図太く暢気に寝ちゃってるよ?
どうしたらいいんだろ?
まぁ、治癒終わったらスッキリ気分爽快かなぁ?
頑張れ主人公!
(他人事!?)