◇1◇◇異世界転生しちゃったけど?(泣)
初投稿です。
趣味と気紛れにより、更新はのんびりいきます。
………感想は、軟弱者なので……お手柔らかにお願いします。
タマに天の岩戸状態になりますが、気長に待てる方よろしくです。
◇◇◇
目が醒めて頭を抱えた。
だってしょうがないでしょ?
気が付いたら女の子になってたなんて…。
……そりゃね。
別にオトコの中のオトコしてた訳じゃないけど。
つうかむしろ細身女顔で中性的で……あ、なんか泣けてきた。
だからってこれは無い!
まぁ、死んだって思ったよ。
僕がいた交差点に、トラックが突っ込んできた時は。
通勤時間帯だったから信号待ちで隙間なく混んでたし。
他にも死んだ人いたんじゃない?て位に思ってた。
でも幼女…情けない……。
うん、考えよう。
………これは転生ってやつだよね。
ラノベとかネット小説とか…まぁ、通勤時間や息抜きにさらりと読んでたけど。
でも性別変わる?
ひどくない?
誰がこんなコトした?
いや、建設的に考えよう。
現実逃避しても何も変わらない。
これからの事を考えなくては!
……でも、女の子かぁ。
だ、大丈夫…かなぁ?
でも幸いというか、何というか。
私学進学男子中・高ときて理工大卒……ええ、ご想像通りですよ。
イベントごとに女装強要されましたよ。
女装に抵抗ありませんよ。
抵抗すれば強姦紛いにむしられて着せ替えられるだけだったし。
その際のセクハラ紛いの接触考えたら素直にもなります!
同性に迫られた事も両手両足の指の数より多いかったし。
かわし方も慣れっこの、擦れてどうにいったもの。
後腐れ無く振るなんてお茶の子サイサイ。
その一方で女子校との合コンでは、高校大学時代共に見せ餌状態に使われて。
タマに役得の意気投合で女の子にお持ち帰られて。
据え膳は美味しく頂きました。
え?
頂かれてたんだろうって?
それなりに合意ですよ!
程々に軽くお付き合いもしましたよ!
社交性発揮しまくりで、愛想だけは如才なくこなせる様になりましたとも!
あ、自分でグルグル考えてて落ち込みそう。
何だか思考が脱線してきたぞ。
修正しなきゃ!
現実を直視しないと……。
……でもさぁ!!
自分の身に起こるなんて思いもしないよ、普通に!
輪廻転生なんて、冗談でも!
こういうのはフィクションだから面白いんでしょ?
チートばりばりのハーレム無双人生!
ヒャッハー勝ち組で!
トラブルなんてチョチョイのチョイ!
そうだよ!!
どうせなら凛々しい男に生まれ変わりたかったよ!
モテモテフェロモンたっぷりの!
はぁ……止めよう。
現実を受け止めないと。
………もちろん、確かに前世と現世の記憶はダブルである。
クールダウンだ。
整理してみよう。
前世=中流の上ぐらいの家庭に育った日本人。
理系草食男子。
享年23歳(泣)
父親=家庭内は母親の言いなり事無かれ主義。
仕事はバリバリの社畜仕事人。
母親=ご近所と親戚の付き合いを当たり障りなくこなす社交家。
実家は資産家だけど、父親の買った郊外建て売り一戸建ての狭い庭て趣味のガーデニングに爆走邁進中!
アマチュアのコンテストか何かで、賞取りに血眼してる。
上の姉=外面はめちゃくちゃイイ。
明るく社交的で華やか。
憧れのお嬢様大卒の重役秘書。
だがしかし!
家庭内においては逆らう者には容赦ナシの女王様!!
下の姉=外面はおしとやかのおっとり。
正に大和撫子を地で行く癒し系。
同女子大卒で母校の大学図書館司書。
ただし!
脳内で弟&弟周辺男子をBL的妄想に巻き込む腐女子だ。
夏冬の某祭典に荷物持ちと販売員で付き合わされるし。
それどころか、原稿のアシスタントまで……。
妹=外面は保護欲をかきたてる小動物系。
あざと可愛い小悪魔同女子大生。
しかし、その本性!
愛想一つで貢ぎ物ゲットしまくる物欲の巨大暴風雨を背負った強欲娘。
(犠牲者は主に僕の周辺の夢見る男子。僕の人間関係ぐちゃぐちゃにしやがった!!)
そんな干渉薄い両親&はた迷惑な3姉妹から、やっとの思いで自立した筈だった。
肩身狭い下僕扱いの実家から就職を機に会社の独身寮へ出られた時は、
思わず涙が滲んだ。
だがしかし!!
その考えは甘かった。
あの悪魔共は容赦なかった。
携帯で呼びつけられる。
就業中に仕事場に電話入れてくる。
応えないとわざわざ会社の受付にまで乗り込んでくる。
被害者は僕なのに…まるで僕が酷い冷血漢の様に涙ながらに訴える。
抵抗虚しく、自分達のワガママを何が何でも押し通す。
そして、諦めた。
殆ど僕の人生は姉妹達の奴隷か玩具か財布。
まぁ、連れ歩いてもそこそこアクセサリー代わりになる荷物持ち男、って評価を頂きました。
…嬉しくない。
下僕扱いなんだもん。
不細工とか空気とか言われるよりマシだけど、アイツラの扱いは最悪だった。
ホントにそれが血の繋がった兄弟にする事かよ?
そりゃさ。
女の子が全員そんなに悪どい訳じゃないってのは、さすがに判るけど。
僕の姉妹達は余りにも裏表差が酷かった。
………ん?
考えようによっては?
あの鬼畜外道から逃げられたって事かも?
よし、うん!
今の家族の事考えよう。まだ5年しか生きてないけど、ちゃんと記憶もわかるし!
基本的な知識はあるからね!
現世=国はローデシア王国。
家は公爵家。
おぉ、お貴族様だよ!
かなり裕福だね。
国の西南部に豊かな領地がある。
社会制度はつい最近習ったよね。
身分制度は結構厳しかったっけ。
上からまず王族。
それから大公家が3家。
公爵家が4家。
で、7公家が王族筋。
上級貴族が侯爵家8家と伯爵家39家。
因みにその内、建国からの地方伯(国境際の領地)が9家と辺境伯(魔境際の領地)3家の12家は別格。
身分は伯爵家だけど権力や発言力等は侯爵家扱い。
その後は下級貴族で子爵家と男爵家。
この辺は法衣貴族(領地の無い官僚貴族)も多くて正確には判らない。
新しく叙爵されたり取り潰されたり。
そして、一代限りの準貴族。
准爵は国に貢献した人。学者とか大商人とか有能な文官。
騎士爵は武勲を上げた人。
軍人とか上級冒険者(おぉ、夢があるね!)とか武闘大会で名を上げた人達。
両方共に3代続いて叙爵されると、法衣男爵家に格上げされる。
但し3代それなりの役職に付かないと、取り潰し。
その下が平民。
大多数だけど。
農民に職人に商人その他諸々。
ついでに普通の冒険者もね。
それから、家族。
父親=リュシオン・フィル・ルクセリア。
大体30歳ソコソコ位かな。
宰相とかいってたな。
ってお偉いさんじゃないか!
これはヤリ手のようだ。
上背のある体格の良い美丈夫。
艶のある長めの銀髪をきっちりオールバックで撫で付けてる。
精悍な彫りの深い顔立ち。
眼光鋭い瞳の色は、金が走る綺麗なエメラルドグリーン。
頼りになりそう!
期待大だね!!
そして息子達にはそれなりに厳しいけど、娘には甘々。
ちょっとラッキーとか思ったりして。
母親=エスタンシア・フィア・ルクセリア。
30歳手前位。
父親より2~3歳年下。綺麗に高く結い上げた淡い金髪に垂れ目気味の濃いラベンダーの瞳。
フェミニン系な容姿に似合わず、説教する時は厳格な言葉遣いをするオチャメさん。
どちらかと言えばミニマムなダイナマイトボディ。
活動的で社交界の華。
娘が僕一人だからめちゃくちゃ猫可愛がり。
しょっちゅう僕を着せ替え人形扱いするのがタマに傷。
だって僕の体力が無いのにやり過ぎて、すぐ熱が出て寝込まされんだよ。
上の兄=レオン・フィル・ルクセリア。僕より5歳年上の10歳。
緩いウェーブを描く肩で揃えた、母親譲りのプラチナブロンド。
父親より若干青味の強い瞳はとても利発そう。
快活な優等生。
キラキラ眩しい理想的王子様キャラ。
下の兄=ライアン・フィル・ルクセリア。
僕より2歳年上の7歳。
陽に透かすと蜂蜜色に見える金茶の真っ直ぐなサラサラヘアは、レオンとお揃いで肩辺りで整えられている。
深い蒼に父親譲りの金が走るラピスラズリの瞳は、理知的で涼し気な眼差し。
一見物静か系だけど、ちゃんと武道も嗜んでいる。
上2人はユニゾンして僕を可愛がってくれてる。
共闘する仲良しさんだ。
弟=ルーフェウス・フィル・ルクセリア。
年子の1歳年下で4歳。
柔らかなカールの榛色の髪はちょっと癖が強くて、ヤンチャな感じが可愛い。
大きなアメジストの瞳は好奇心一杯の仔犬仕様だ。
物心ついたばかりの甘えん坊。
兄2人に対抗して、僕を取り合いする。
「ねぇたま」ってなついてきて愛くるしい。
僕があやすとすぐ泣き止んで笑ってくれる。
おお!
考えたら、今回の僕の人生ラッキーじゃね?
裕福な家で家族に愛されて大事にされて…。
散々足蹴にされてた不遇の前世よサラバ!
……って。
いや、落ち着こう!
女の子だよ?
僕女の子になっちゃったよ?
…………諦めて割り切るしかない!
…………よね?
今更男に生まれ直す事なんて出来やしない。
(出来るならしたかったけど!)
また死んでもっかい生まれ直しってのも何か怖いし。
なら精一杯生きるしか無いよね!
新しい人生を!(泣)
こうして僕は公爵令嬢として生きていく決心をした。
半分諦めめ入っていたけどね。
(未練タラタラだよ!悪いか!?)
◇◇◇◇
「お嬢様、気が付かれたんですね!」
物音を立てずにそっと寝室に入ってきた乳母のエレナが、泣きそうな顔で驚いていた。
その瞳は大きく見開かれ、喜びに涙が溢れてきた。
そうだった!
流行り病で熱が下がらなくて、何日もずっと苦しかったのを覚えてる。
ずっと付ききりで看病してくれていたんだった。
彼女の声に、扉のすぐ外で控えていた医師や治癒師や薬師が雪崩れ込んできた。
慌てた顔もそのままに。
「奇跡だ…!」
「もう、ダメかと思っていたのに…!」
口々にそんな台詞を吐く。
どうやら相当危なかったらしい。
危篤ってやつか。
それで、前世まで思い出すとかアリガチのテンプレだけど。
とにかく助かったみたい。
良かった~!
一時よりは大分熱も下がって、身体が楽になってるからね。
呼吸も大分マトモに出来る。
いや~、ホントに苦しかった。
死ぬかと思ったよ。
てか、多分死にかけたんだろうけど……。
享年5歳とかホント勘弁してほしい。
前世だって享年23歳の若死にだったんだから!
早速総掛かりで診察を受けた。
どうやら随分回復してたらしい。
後は体力が戻るまで、安静にしていれば良いそうだ。
あ~、安心した。
薬はむちゃくちゃ苦かった。
これ、子供が飲めんの?まるで漢方の薬湯。
すぐにエレナが果汁を水で割った物を飲ませてくれたけど。
口直し出来なかったら、マジで吐いたかも。
そんくらいキツい味だった。
薬じゃなきゃ絶対口に入れたくない!
たっぷり水分補給の後、エレナに身体中の汗を拭かれて寝具を替えたベッドに寝かされた。
……ちょっと羞恥心が刺激されたが、思ったより身体が重かったので妥当だとしよう。
仕方なかったんだもん!怠くて身動き出来なかったんだもん!
ちょっと又眠くなってきた。
瞼が下りそう。
足音高く扉が勢い良く開いた。
「アルフェミナ!」
「……お父様?」
ズカズカとベッドに寄るお父様は、すっかり憔悴して見えた。
何時もきっちり撫で付けられて、
整えられてる銀髪は乱れて落ちて、艶を失っていた。
疲労に頬が少し削ぎ落とされて、凄味といらない色気が増していた。
安堵に揺れる瞳の下には、くっきり隈が出来ていた。
「旦那様、お静かに!お嬢様は安静になさらないと」
エレナの叱責にバツが悪そうに項垂れ、こちらを心配そうに窺ってる。
立派な体格の父が小さくなる。
「…すまん、アルフェミナ。驚かせたか?」
「大丈夫です、お父様。ご心配おかけしました」
ほんわか嬉しくなって微笑んだ。
多忙極める人が慌てて駆けつけて、こんなに心配してくれるなんて!
ホントに愛されてるな!
……実感噛みしめました。
そこに更に騒々しく開け放たれたままの扉から、まろび出る兄弟達。
「「アルフェミナ!」」
「ねえたま!」
レオン兄様は髪を揺らし息を弾ませていた。
長い睫毛が縁取る瞳が不安げに見開かれる。
ライアン兄様は顔に掛かる前髪を煩そうに掻き上げ、こちらを見て安堵を覗かせていた。
ルーフェウスは髪をくしゃくしゃにしたまま走り寄ってきた。
大きな瞳を涙溢れそうに泣きながら、ベッドによじ登る。
「もう平気?ねえたま死なない?ねえたま元気になる?」
舌足らずな言葉でしがみつくルーフェウスの髪を手櫛で漉きながら笑みを浮かべる。
「うん、大丈夫。後はゆっくり寝てれば治るって」
こちらの意識もしっかりしてるのを見てとって皆が泣き笑いしてた。
そこに、侍女に支えられながらヨロヨロとお母様が入り口まで辿り着いた。
虚ろな表情でそのまま佇む。
「お母様、アルフェミナはもう大丈夫ですよ!」
レオン兄様が歓喜を湛えた声で母に呼び掛けた。
「エスタンシア、もう心配いらないよ」
お父様がお母様に然り気無く寄って身体を支えベッドまで連れ添う。
お母様はポロポロと涙をこぼして、父にすがって泣いた。
「あぁ、本当にもう……。神様、感謝します…!」
安堵のため息混じりに呟いた。
いつもと違い、軽く癖のある腰に届く長い金髪を 下ろしたまま、瞳が優しく和む。
今回の家族っていいな!
こんなに心配してもらって。
回復する事をこうも喜んでもらえて!
大事に愛されている幸せを、噛みしめながら再び眠りに墜ちていった。
……さて、どうしよう?
気が向いて書いてみたけどねぇ。
主人公ラッキー人生と思って油断しておりますが。
周囲の溺愛過ぎる愛情を支えに頑張って下さい!としか言えない。
ネタバレにならない様に今回はこの辺で。
12/29に1~3話改稿しました。