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好きなタイプ談 ~鏡の神子編~

これは、本編の第四話”廃墟”旅の途中で出てきて省略されていた、神子様方が好みの異性を語らったシーンです。

神子様方の独特な女子トークをご清聴ください(笑)

「愛しの君ね~?シャーナって意外と惚れっぽかったのね…」

リシアがその話の口火を切ったようなものである。

「違うのだよ!!僕が惚れっぽいのではないのだよ!愛しの君がかっこよすぎるのだよ~」

「まぁ、確かに綺麗な顔していたし強かったし、優しそうな人だったから好きになる要素はいっぱいあったよね」

うっとりとして話すシャーナを擁護してみる

「…………銘鈴??まさか…銘鈴も…愛しの君を」

「えぇ!!?ないよ!違う!」

…が、逆にシャーナに全くの誤解を与えてしまったようだ。

「なら、銘鈴の好きなタイプはどんな人なのだよ!」

言わないと納得しないとばかりの勢いで聞いてくるシャーナに苦笑いしつつ、私は答える。


「タイプね…うーん。優しくて…品があって、冷静で思慮深い人。周りには冷たいって勘違いされがちなタイプかもしれないけど…」

「具体的ね」

ルリアが口からこぼしたことをきっかけに周りから突っ込まれる。

「ふ~ん?そんだけ具体的ってことは、相手がいるんじゃないの~?」

「ほんま?誰々~?」

「えぇ!ボクも知らないのだよ!銘鈴!?」

「俺もしらねぇぞ?」


「ひ、秘密!!」

そういって話をさえぎると、え~という抗議のつぶやきが漏れた。


「ふふ、じゃあ、胡蝶はどんな人がタイプなの?」

可笑しそうに笑いながらルリアが問う。


「うち?うちはもう結婚してるからなぁ…先生…あ、先生は旦那さんのことね?先生が好みやからなぁ」


へぇ…と皆が相槌を打ちかけるがとどまる。


「「「「「結婚!!?」」」」」


「せやよ?」


まさか胡蝶が結婚していたとは…まだまだ私たちの間にも知らないことはあったようだ。


「結婚…乙女の夢なのだよ…」

と、うっとりしながら言うシャーナの頭の中には、きっとあの男の子が隣にいるに違いない。

……男の子、と言うにもおかしいだろうか。どう見ても私と同じ年くらいだろう…

でも、私にはあの人は男の子というのが何故かしっくりくるのだ。何故だろう…


そんな自問自答をしているうちに話はリシアのタイプに移っていた。


「そもそも、惚れっぽいっていうけどリシアはどうなのだよ!?タイプとかいるのだよ!?」

「あたし?あたしは…うーん…えー…?」

と、しばらくうなった後言った言葉は


「わかんない!!」


だった。

笑顔と明るさでごまかしたような言い方だった…いや、実際ごまかしているのだろうか。


「あ~…それ、なんとなくわかるわぁ」

と意外にも同意したのは胡蝶だった。

「うちもなんで先生が好きなんか自分でもわからへんからな~…でも、好きなんよ。不思議やねぇ」

とはにかむように笑った胡蝶は、珍しく年相応の乙女の顔をしていた。


「私も、わかるかもしれないわ…」

と、ポツリと呟いたのはルリア

「意外だな…好きなやつ、いたのか」

「とは言っても、私はもう二度と逢えないだろう一目惚れ…だけれどね」

と、クスリと笑ったルリアの顔は少しさみしそうに見える。

「あんたが一目惚れってのが意外だわ」

といったリシアに、そうかしらと返したルリア。

二度と逢えないだろうと思っていたのは私も同じだった。

だから、この旅でルリアの想い人を見つけたいなという気持ちになる…せめて、想いを伝える機会を…と。



「ていうか…あたし、あんたたちみたいに好きなやつがいるとかじゃないのよ?別に。」

ただ…想像つかないのよ。好きなやつができてそいつと結婚する私が。

と続けたリシアは天を仰いだ。

リシアは、王族である。

きっと、結婚も自由にならない。

と、どこかで諦めているのかもしれないとリシアの心中に思いを馳せると同時に、ついでに自分の家のことを思い出してしまう。



総本山でもなく、サーティライト家でもない…もっと前、自分の本当の実家を思い出す。

6歳くらいの記憶が何故か抜けているが、あの家にいい思い出はあまりない。否、ほとんどない。

…何が嫌で家を出るところにまで至ったのだっただろうか…いい家族、ではなかった。

しかし、それは昔からだ。父が勝手に決めた婚約者も、好きにはなれなかったが嫌いになることもなかった。

何が決定打だったのだろうか…えっと…たしか…

なんて考えると頭がどんどん痛くなってくる。

やめよう。忘れるくらいだ、きっと決定打自体は大したことではないのだ。

積りに積もったものが導火線に火をつけただけの事だと、私は考えることをやめた。



頭の中にぼんやりと悲しそうな顔が浮かんだような気がしたことを、私は気づかないふりをしてルディアに話をふる。


「ルディアのタイプは?」

「は?俺か?俺は…一途なやつ…かな?」

と無難に流そうとする魂胆が見え見えの返答に、私は少し意地悪をして突っ込んで聞いてみる。

今朝の意地悪の仕返しのつもりを込めて。


「…グローカスみたいな?」

グローカスはルディアの兄であり、サーティライト家当主である。

ルディアをこの上なく溺愛しており、いいお兄ちゃんである…いいお兄ちゃん?うん、俗にいうシスターコンプレックスな人だがいいお兄ちゃんのはずだ。

………まぁ、私をサーティライト家で面倒見てくれたあたりは間違いなくいい人である。過剰なほどの愛情表現さえなければ。


「…兄ちゃんまでいくと…気持ちわりぃな」

私がグローカスについて考えているとルディアはボソリとこぼす。

「あはは…」

何もフォローができない私を許してほしいなんて思いつつ、ルディアも本当はグローカスのことを大切に思っていることは分かっているので、笑ってごまかしてみる。

「ま、一途っつーか…何かを護れる奴かな」

「そっか…」




護る…それはどういうことだろう。


護るとは、何からどの様に何を護るのだろう。


その答えは、この旅で近づくことができるだろうか。


私は、とりあえず今はまだ目の前の人たちを…今朝、素直に幸せだと思えた瞬間を護りたい。


そして、雪…強い彼だからきっと私が護ることなんてないのかもしれない。


けど、あの人を傷つける何かが現れたら…護りたい。

あの人が私を守ってくれた様に……私にできることならどんなことだってしよう。


なんて、ここに居さえしない相手にそっと誓ってみる。


そしてふと、旅を続けたら護りたいと思う相手も増えるのだろうか…なんて考える。

そしてふと、気づく…


「あれ、なんだかんだで好みのタイプしっかり言わされたのって…」


私…だけ…?


「ほーら!ついたわよ!!」

ごまかすようにリシアが言う。

「ほんまや~、長かったわ~。」

胡蝶もしれっとわざとらしく言う。

「疲れたぜ…」

ルディアも目をそらしながら言う。

「ふふ、でも私は女子トークのおかげで早く感じたわ。」

ルリアがからかうように言う。

「なのだよ!ね、銘鈴!」

シャーナは悪びれもせず笑って言う。



「やっと着いたね…。」

私は、やっぱり今日は皆意地悪だと思いながら苦笑いして答えたのだった。

さて、短編第二弾!

やっとこさ終わりました。

大分長らくお待たせしました(^^;)

さて、この先どうなるのでしょうかね、本編。

短編では何気に本編の伏線も出ているので疑問に思う部分も拾ってってくれるはず!!本編(妹)が!!

これからの七つの大罪にこうご期待くださいませ。

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