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破損データ 噂

静岡県富士市青島交差点にあるファミリーレストランでは3人の若者が晩御飯を食べ終えて駄弁っていた。


「なぁ、これからどうする?」


3人は富士常葉大学に通う大学生で、大山おおやま かおる三木みき 信也しんやは大学の法学部、千葉ちば ふみは教育学部に通っている。


「どうするって言ったって・・・ここら辺工場ばっかだしな」


薫はコーラをぶくぶくさせて遊んでいる。


「肝試しなんてどうだ?」


ドリンクを持ってきた信也が座席に座る。


「今は冬だぞ?季節間違えてんじゃねぇか?」


文はファミリーレストランのアンケート用紙を丸めて提案した信也に投げつける。


「そんな事言うなよ・・・今回のはそこそこ話がしっかりしてるぞ」

「そんな事言って、廃病院にいったときは業者と鉢合わせして大変な目にあったんだからな」

「まぁ、聞いてやるよ」


薫はアイスコーヒーに砂糖を入れ、かき混ぜる。


「1年前、石川県が封鎖されただろ、そこから逃げ出した化け物が富士市の山奥の工場に居るって話なんだ」

「嘘くせぇ、だいたいそんな情報どこから仕入れてくるんだ?」

「か・・・風のうわさ?」


信也はドリンクを飲み干す。


「それが本当だとしても、とっくに警察が駆除してるだろ?」

「それでも行って見ようぜ!」


信也は机を叩く。


「分かったよ・・・どうせ車を出すのは俺なんだろ?」


薫はポケットから車の鍵を取り出す。


「わかってんじゃん」


3人はそれぞれ会計を別々で支払うと、薫が所有しているステーションワゴンに乗り込む。


「目的地は案内しろよ」

「ラジャ!」


後部座席の信也が右手で敬礼する。










車は信也の案内でドンドン山奥に入っていき、道はがたがたになっていく。


「道合ってるのか?」

「あってるハズなんだけどな」

「間違ってたら焼肉おごれよ」

「そんなー」


真っ暗な道を車のヘッドライトが照らす。

しばらく走ると、大きな建物が見えてくる。


「ここだ!」


薫は車を工場の門の前で止める。

門の横には、「富士市資源リサイクル場」と書かれた看板が所々さびていた。


「ここって確か、すぐに破棄されたんだよな・・・」

「あー、俺もニュースで見たぞ。隣市にもっと大きなのが出来てそこに委託することになったって」

「何だよ、みんな知ってるのかよ」


3人は車から降りると閉ざされた門を上る。


信也はポケットからLEDライトを取り出すと、周りを照らし出す。

搬入口の入り口にはトラックが放置されており、タイヤの空気は抜けていた。


「こんな大きな建物を放置するなんて税金の無駄遣いだよな・・・」

「それ、廃病院でも言ってたぞ」


3人は工場内を進むと、寂れ始めた工場には似つかない綺麗な軽自動車が止まっていた。

近寄り、中を見ると、ハンドルにはカバーがかかっておりダッシュボードには芳香剤が置いてあった。


「何でこんなところにあるんだろ?」

「知るかよ。これもリサイクルするんじゃねぇか?」


3人は工場内部へ入る入り口を探していると、割れた窓を見つける。


「此処からなら入れそうだな」


割れたところから文は手を入れると、鍵を開けて中へと入る。


「ここは・・・廃棄物置き場か?」


中に入ると、倉庫になっており、パソコンや、冷蔵庫が積み重なって置かれていた。

その中を進むと、途中から強烈な腐乱臭が臭ってくる。


「くっせぇ!」

「何だよこの肉の腐った匂いは!?」

「この冷蔵庫の中からじゃねぇか?」


薫が指差す先には業務用冷蔵庫が置かれていた。

3人が業務用冷蔵庫に近寄ると、腐乱臭はさらに強くなる。


「あ・・・開けてみるぞ」


文が冷蔵庫に手をかける。

後ろでは信也が2人を照らしている。

文が冷蔵庫を開けると、中には腹が開かれた女性が上下段で横になっていた。


「うわあああああ!」

「ぎゃあああああ!」

「・・・うげぇぇ」


文はその場で胃の中のものをすべて床にぶちまける。


「これ・・・ヤバイって!」

「あぁ・・・警察に連絡を・・・」


薫が携帯電話を取り出すが圏外になっていた。


「圏外だ!」

「・・・とにかく車に戻って」


バチッ


明かりを持っていた信也が倒れる。

LEDライトが地面に落ちる。


「信也!?」


薫が信也に駆け寄ると、真っ暗な中から何かが飛び掛ってくる。


「うわああああ!?」


薫は飛び掛ってきたものを引き剥がそうとすると、首に噛み付いてくる。


「いてえええええ!」

「待ってろ!今手伝う!」


文が近づこうとすると、文に何か暖かい液体がかかる。


「ん?なんだこれ・・・」


文は地面に落ちたLEDライトに照らされた自分の服を見ると、白い服が赤色に染まっていた。


バチッ


文も気を失ってしまう。







「ん?ここは・・・?」


文が目を覚ますと、パイプ椅子に手と足を縛り付けられていた。


「起きたか・・・」

「その声は信也か?」


文が横を見ると、信也も同じようにパイプ椅子に縛り付けられていた。


「どうなってるんだ・・・?」

「さぁ?真っ暗で何も分からない」


クチャクチャ


暗闇の中に何かを食べる音が聞こえる。


パッ


照明がつくと、2人の目の前では、薫の腸を食べている女性がいた。


「ひっ・・・!」


薫の腸を引きちぎり、女性は口に腸を運ぶ。


「な・・・何だよこれ」


その横には男性がその光景を見ていた。

男性が振り向くと、右目には眼帯がしてあった。


「驚かせて悪いね・・・本当はあれを見せる気は無かったんだけどな・・・」


「ひぃぃああああ!」


文の隣では信也が叫び声を上げていた。

眼帯をした男性は拳銃を取り出すと2人に向ける。


パン


信也が後ろに倒れる。

文は悲鳴にならない声を上げる。


「うわさを流して正解だったよ・・・こんなにも若くて新鮮な肉が自分たちからやってくるなんて・・・」


薫を食べていた女性は文のほうを見る。


「や・・・止めてください・・・死にたくないです・・・」


文の目からは大量の涙が零れ落ちる。


「グルルルル」


女性は唸り声を上げる。


「なんだ?まだ食べたり無いのか?」


女性は頷く。


「食べていいぞ。今日は大盤振る舞いだ」


女性は文に飛び掛ると、喉を噛み切り、そこから吹き出る血を啜る。


「あ・・・がっ・・・」


文はショックのあまり気絶してしまう。

そんな事はお構いなしにと、女性は腹の肉を噛み切ると、腸を食べ始める。

眼帯の男性は近くにおいてあるパイプ椅子に座るとその光景を眺めると微笑む。


「美味しいか・・・恵」

最後まで読んでくださってありがとうございました!

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