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最後のデータ 捕獲

黒色のミニバンの上には血で赤く染まったスーツを着た恵が立っていた。


「おい・・・何の冗談だよ・・・降りて来いよ・・・」


悠斗の周りではスーツ姿の男たちや、自衛隊員、警察官が銃口を恵に向ける。


「ガルルルル」


恵は唸り声を上げる。


「撃て!」


スーツ姿の男の掛け声とともに恵に向けられた銃口から弾丸が発射される。

恵は、黒いミニバンの後ろに隠れると、ミニバンに銃弾が当たる。


「止め!」


掛け声とともに発砲音は止まる。

ミニバンはボロボロになり、ガラスはすべて粉々に割れていた。


「見に行くぞ。ついて来い」


スーツ姿の男は自衛隊員を数人連れてミニバンの後ろへと小銃を構えながら進む。

ミニバンの後ろでは恵が倒れていた。


「ヨシッ!やったぞ!」


一人の自衛隊員が恵に近寄ると、銃身で恵の体を突く。


ザシュッ


自衛隊員の右腕がその場に落ちる。


「わああああああ!」


右腕を切られた自衛隊員は切断面を抑えて転げまわる。


「う、撃て!」


タタタタタタ


他の自衛隊員が小銃を撃つと、恵は右腕を切られた自衛隊員の首を掴むと、盾にする。


「撃ち方や・・・」


恵は盾にしていた自衛隊員を投げ捨てると、近くのスーツ姿の男性に飛びつくと、首を噛む。


「うぎゃあああ!」


恵は喉の肉を食いちぎるとスーツ姿の男性が持っていたMP5奪い取ると他の自衛隊員に向けて乱射する。


タタタタ


銃弾は自衛隊員の腕や足に命中する。

撃たれた自衛隊員たちはその場で傷口を押さえる。

恵は次に近くにいた悠斗に飛び付こうとするが、一瞬動作が止まる。


バシュッ


恵に網がいくつも発射される。

網に掛かった恵は網を食い千切ろうとするが、まったく傷すらつかない。


「手間取らせやがって・・・」


恵の横にトラックが止まると、後ろの扉を自衛隊員が開ける。


「積み込むぞ」


自衛隊員たちが網に絡まって暴れている恵をトラックの荷台に放り込む。


「どこに連れて行く気ですか?」


悠斗は近くの自衛隊員に聞く。


「君には関係ないことだ」


自衛隊員が言い放つと、トラックは扉を閉めた後に、鍵をかけるとそのまま走り去る。

悠斗はそれをただ見つめていた。











石川県封鎖から半年後、悠斗は富山県高岡市で国からの保証金で西高岡駅横のマンションを借りてコンビニでアルバイトをしながら職を探していた。

テレビでは徐々に石川県の封鎖のことを取り上げる回数は日を追うごとに減っていた。


『石川県封鎖・隔離から半年が経ちました。福井県との県境に立てられた慰霊碑では・・・』


悠斗は求人雑誌を読んでいた。

悠斗の左目の視力は回復したが、右目は光すら見ることの出来ない状態だった。


「あー、腹減った」


外ではサイレン音が聞こえてくる。


「あいつどうなったんだろ・・・」


悠斗は天井の照明を眺める。


「俺、あいつのこと結構好きだったのにな・・・」


悠斗は立ち上がり、キッチンに向かうと、冷蔵庫を開け残りの少なくなった牛乳をラッパ飲みする。


ガシャン


リビングでガラスの割れる音がする。

悠斗は空になった牛乳パックをキッチンのシンクに投げ捨てるとリビングに入ると、そこには半そでのシャツと短パンをはいた恵がいた。


「グルルルルル」


恵が悠斗を見ると、唸るのを止めた。


「おまえ・・・恵か!?」


割れたガラスの外から男たちの声がする。


「おい!あそこの部屋に入ったぞ!」

「捕まえて研究所に戻せ!」


悠斗は貴重品と、車の鍵を取る。


「来い!恵!」


悠斗は玄関に向かうと、そっと扉を開けるが人の姿は見えなかった。

悠斗が玄関を出て、エレベーターホールに向かうと、スーツ姿の男性が立っていた。


「ウガァ!」


恵はスーツ姿の男性に襲い掛かると、首に噛み付くと、肉を食い千切る。

スーツ姿の男性は食い千切られたところを押さえながら拳銃を取り出すが、撃つ前に倒れる。

悠斗は拳銃を拾うと、エレベーターのボタンを押す。


チン


エレベーターの扉が開くと、すぐに乗り込み、B1のボタンを押す。


チン


地下駐車場につくと、悠斗はバンタイプの軽自動車に向かうと鍵を開け、後部のスライドドアを開ける。

恵が後部座席に乗り込むのを確認すると、扉を閉め、運転席に座る。


ブォン


車は地下駐車場から出ると、後ろから黒塗りのセダンが追いかけてくる。


「おい!いきなりで逃げたけどもあいつ等なんだよ!?」


ルームミラーで後部座席の恵を見ると首を傾げていた。

すると、目の前に赤信号の交差点が迫ってくる。

悠斗は迷わずに突っ切る。

後ろの黒塗りのセダンも同じように突っ込んでくるが、横から走ってきたトラックに衝突され、角の民家の塀に激突する。


「・・・もう後戻りは出来そうに無いな・・・」


悠斗の運転する車は夜の田舎道へと消えていく。


最終回ではありませんよ

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