データ2 出会い
石川県輪島市内では宅配会社に勤める西村 悠斗が2トントラックで配達先を回っていた。
「今日の分はこれで終わったから会社に戻るか・・・」
輪島高校東交差点で信号待ちをしていると目の前をサイレンを鳴らしたパトカーや救急車が通り過ぎていく。
「何か事件でもあったのか?」
悠斗はトラックのカーラジオをつけるがそれらしい情報は何もなかった。
「時間もあるし・・・追いかけるか」
信号が青に変わるとパトカーが去っていた方向にトラックを走らせる。
しばらくトラックを走らせると渋滞に巻き込まれる。
「なんかイベントなんてあったけなぁ・・・?」
しばらく渋滞に巻き込まれていると前方にゆらゆらと歩く人影がいくつも見えた。
ゆらゆら歩く人影は渋滞に巻き込まれている車に近づくと車を引っかきはじめた。
「喧嘩か?」
しばらく悠斗がその光景を眺めていると引っかかれている車から金髪の男性が降りてくる。
金髪の男性は車を引っかいている人に近づくと胸倉をつかむと腹を殴る。
しかし、引っかいていた男性は微動だにせず金髪の男性に飛びつくと喉もとに噛み付くと肉を引きちぎる。
「これは洒落にならねぇな・・・」
悠斗はトラックを横の裏道へ進めてその場から逃げる。
「いったん会社に戻って・・・」
突然住宅の影から人が飛び出してくる。
キキーッ
トラックはタイヤ痕を残しながら飛び出してきた人の手前で停車する。
飛び出してきた人の服装は体を防護服に身を包んでいた。
「あっぶねぇ」
悠斗はトラックから降りると防護服に身を包んだ人に近寄る。
「怪我はないか?」
防護服に身を包んだ人は防護服をおもむろに脱ぎだす。
「おい・・・大丈夫なのか・・・?」
悠斗はその光景をただ見ていただけだった。
防護服を脱ぐと女性が中にはいた。
女性は懐から拳銃を取り出すと悠斗に向けた。
「伏せて!」
悠斗は状況がつかめないままその場に伏せた。
パン
乾いた音が住宅街に響き渡る。
ドサッ
悠斗の後ろで人が倒れる。
「お、お前人を・・・」
「説明は後でするから車を出して」
「ま、待て!今人を撃ったよな!?」
「あいつはもう人じゃなかった」
「何を言ってだよ!?」
「後ろを見なさい!」
悠斗は女性の言うとおりに後ろを振り向くとゆらゆらと歩く人が何人もこちらに向かってきていた。
その奥では人が人を襲って押し倒すと腹を食いちぎり腸を食らっていた。
「くそっ!いったい何なんだよ!」
悠斗はトラックに乗り込むと助手席に女性も乗り込むとトラックを急発進させた。
「いったいあんたは何者なんだ?」
「いいからこの町から離れて」
「そんな事言われてもこれは会社のトラックだし、返さないと・・・」
「その会社はどこ?」
「輪島病院の近くだけど・・・ってお前には関係ないだろ!」
女性は拳銃を再び取り出すと悠斗の左わき腹に当てる。
「わかった!会社に戻るから撃たないでくれ!」
女性は拳銃をしまう。
「・・・生き残りたかったら私に協力しなさい」
「は?生き残る?」
「さっきの光景を見たでしょ!ウィルスが漏れ出したの!」
「ウィルス?」
女性はごまかすように外を眺める。
「お前何か知ってるんだろ」
「それはこれから協力してくれたら教えてあげる」
女性は笑顔で悠斗に拳銃を向けた。
「はいはい、協力しますよ」
悠斗はトラックを会社に走らせた。