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データ17 失敗作

恵の家に入った男二人組みは、家の中を物色するが、めぼしいものは見つからない。


「くそっ!なんで見つからないんだ!」


一人の痩せ型の男は壁を殴る。


「2階はきれいさっぱり何も無かった」


もう一人の大柄な男は手にH&K P2000を手に持っていた。

二人はリビングに戻ると、再び捜索を始める。


「やっぱり何もねぇ!」


痩せ型の男が人の大きさほどの本棚の中の本を落とすと、本棚が少し動く。


「おい、今本棚が動いたような・・・」


大柄な男が本棚の下を見ると本棚にはキャスターが付いていた。


「まさか・・・」


大柄な男が本棚を動かすと後ろには金属製の扉が現れる。


「ついに見つけたぞ」


二人はガスマスクをつけると金属製の扉を開ける。

金属製の扉は地下一階へと続いていた。


「これは表彰ものだな」

「これで何もなかったらこの家燃やしてやろうか?」


地下一階には再び金属製の扉があり、扉にはバイオハザードのマークが書いてあった。


「いくぞ」


痩せ型の男が扉を開けると、そこには研究器具が並んでおり、一角にはマウスが一匹ずつ箱に分けられて飼育されていた。


「ここだな」


大柄な男は、近くにあるファイルを取ると中を見る。


「これだろうな、実験薬のことが丁寧に書いてある」


痩せ型の男が机の上のノートパソコンの電源をつける。


「こっちには失敗作のデータまでご親切に残してある」


痩せ型の男はUSBメモリーを取り出すとノートパソコンにつなぐとデータを移し始める。


「20分くらいか・・・」


ブロロロロ


車が止まる音が聞こえる。

二人は顔を合わせると、P2000を取り出すとリビングへ戻り押入れの中へと隠れる。







悠斗は石川県立大学の駐車場に車を入れる。

駐車場には車が何台も止まっていた。


「お前の家はどこだ?」

「すぐ隣だけど?」


恵の家は県立大学のすぐ横に建っていた。


「一軒家か」

「中古だけどね」

「銃とかはどうする?」

「拳銃だけで良いんじゃない?一応、1階のガラスは強化ガラスに変えてあるから破られることは無いわよ」

「そうだな。こんなにでかい物を家の中じゃ振り回せないしな」


悠斗と恵は後部に89式小銃と9ミリ機関拳銃を置くと車から降りる。

周辺にゾンビは多くは居なく、すんなりと恵の家の玄関にたどり着く。


ガチャッ


恵は家の鍵を開けると扉を開け中に入る。


「お邪魔します」


二人は玄関で靴を脱ぐとリビングに向かう。

リビングに入ると恵が異変に気がつく。


「おかしい・・・家を出たときはちゃんと扉を隠したのに」

「この鉄扉のことか?」


悠斗は鉄扉に手をかける。


バタン


突然、押入れの引き戸が開き、P2000を持った男二人が出てくる。

恵は懐のベレッタM9を引き抜こうとするが先に頭に銃口を突きつけられる。

悠斗の方は9ミリ拳銃に手をかけることさえできないでいた。


「おとなしく手を上げろ」


恵と悠斗は大人しく手を上げると手錠を掛けられる。


「地下に連れて行くぞ」


大柄な男は鉄扉を悠斗達に銃口を向けながら開ける。


悠斗と恵は階段を下りるとバイオハザードのマークが入った鉄扉を開ける。


「その場に座れ」


男二人はP2000を悠斗たちに向ける。

悠斗と恵はその場に並ぶようにして座る。


「おい、隣の男は誰なんだ?」


大柄な男が痩せ型の男に質問すると、痩せ型の男はタブレットを取り出すと、操作し始める。


「こいつは・・・西村 悠斗、25歳、石川県立桜ヶ丘高校卒業後、金沢工業大学中退、その後、輪島市の運送会社に就職・・・」

「おい!なんでお前らがそんな事まで知ってるんだよ!」


大柄な男が悠斗の頭に銃口を向ける。


「おい、佐藤恵、答えてやれ」


痩せ型の男がP2000を恵に向ける。


「・・・こいつらは公安よ」

「はい、よく出来ました!」


痩せ型の男は恵の顔を叩く。恵は痩せ型の男を睨み付ける。


「おい、痛めつけても良いが殺すなよ。俺たちの任務は確保なんだからな」

「でもなぁ・・・この男に関しては何にも言われて無いよな・・・」

「止めておけ、ばれたら大変なことになるぞ」


痩せ型の男は恵に歩み寄ると、目の前にしゃがみ込むと恵の髪の毛を掴む。


「おい、実験薬のデータはあのファイルだけか?」

「誰が喋るものですか!」


ペッ


恵は痩せ型の男に唾を吐く。


「おい、失敗って書いてあるやつ寄越せ」

「どうする気だ?」

「この男で実験してやるよ」


大柄な男が失敗作と書いた箱から「サンプル1」とかかれた容器を取り出す。

痩せ型の男はその中の液体を注射器で吸いだすと悠斗に歩み寄る。

悠斗は暴れて注射器を打たせないようにする。


「押さえろ」


大柄な男が悠斗の腕を押さえ、袖をまくる。


「止めて!それにはどんな効果があるか分かってないのよ!」

「だったらデータの場所はどこだ?」

「・・・あんたたちの後ろの棚のお菓子の箱の中よ」


痩せ型の男が顎で大柄な男に合図を送ると、大柄な男は後ろの棚の中にあったビスケットの缶の中を見ると、中にはSDカードが入っていた。


「これで全部か?」

「それと、あんた達が見つけたファイルで全部よ」

「そうか・・・それはご苦労様!」


痩せ型の男は注射器を悠斗の腕に刺すと中の液体をすべて悠斗の体内に流す。


「うわぁぁああ!!」


悠斗は暴れるが注射器の中の液体がすべて入った後だった。


「なんて事を!」


恵は立ち上がると痩せ型の男にタックルすると痩せ型の男は薬品の乗った机をなぎ倒し、薬品を頭から被る。


「クソが!おい!押さえろ!」


大柄な男が恵を押さえる。

痩せ型の男は失敗作の箱から「サンプル3」を取り出すと中の液体を別の注射器に移し変える。


「さすがに、それはマズイだろ」

「安心しろ、こいつらは化け物どもに襲われて死んだ、と上に報告しとくからよ」


痩せ型の男は注射器を恵の腕に刺すと、中の液体をすべて流し込んだ。

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