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データ16 侵入者

「ところで野々市のどこに有るんだ?」

「家?」

「それ以外ないだろ」

「県立大学の近くよ」

「結構距離あるな・・・」


悠斗は放置車両をかわしながら津幡バイパスを進む。


「山側環状から行ったほうがゾンビは少なそうだな」

「そこらへんは運転手である悠斗に任せるわ」


すると、目の前に黒い煙が上がっているのが見える。


「あそこは・・・小学校が有ったよな・・・」


車は黒い煙が上がっている建物に近づいていく。


「あれは・・・条南小学校ね・・・」


小学校全体は炎に包まれており、校庭には燃えるゾンビから逃げる人々の姿が見えた。


「気の毒だけど、助けてる余裕は無いわ」


車は燃え盛る条南小学校を過ぎる。



津幡バイパスからは、住宅街のいたるところから火災が発生している様子が見えた。

住宅街から猛スピードで逃げる車もいた。


「まだ生き残っている人は居るんだな・・・」


悠斗はハンドルを切り、山側環状線へと車を進める。


「さっきから気になっていたんだけど」

「んー?」


恵がスマートフォンを操作しながら返事をする。


「いつから名前で呼ぶようになったんだ?」


カシャン


恵は足元にスマートフォンを落とす。


「いつまでも「あいつ」「そいつ」呼ばわりじゃ嫌でしょ」

「んー、まぁ、嫌だな」

「そうでしょ」


恵は足元に落としたスマートフォンを拾う。

車はトンネルに入ると、トンネル内には放置車両が道を塞ぐように止まっていた。


「どーしようかな・・・?」


悠斗は考えながら放置車両を見ると、放置車両のマフラーから白い煙が出ていた。


「エンジン掛かったままか?」


悠斗は車から降りるとエンジンが掛かったままの放置車両に近づく。


「ちょっと!一人は危ないわよ!」


恵は急いで車から降りるとベレッタM9を取り出す。


「心配しすぎだなぁ」


悠斗は放置車両の運転席を開けると、ゾンビが飛び掛ってくる。


「うわあぁぁあ!」


ゾンビは悠斗に馬乗り状態になると、首元に噛み付こうとする。

悠斗はゾンビの頭を押さえて噛まれないようにする。


パァン


トンネル内で銃声が響く。

悠斗に馬乗りになっていたゾンビは力なく悠斗に覆いかぶさるように倒れる。


「助かったよ。ありがとう」

「助かったよ。じゃ無いわよ!」

「ごめんごめん。もう一人では突っ走らないようにするよ」

「まったく・・・」


悠斗は放置車両の車内の安全を確認してから乗り込むと、車を路肩に止めるとエンジンを切る。


「それじゃあ、行くか」


悠斗と恵は高機動車に乗り込む。

車は金沢森本インターを通過する。


「さっきから何をスマホで見てるんだ?」


助手席では恵がスマートフォンを眺めていた。


「気になる?」


悠斗は無言で頷く。


「家で実験体のマウスの様子を見てるの」

「どんな様子なんだ?」

「見ている感じでは、凶暴化したマウスがおとなしくなってるわね・・・」

「それなら成功じゃねぇか」


対向車線をフロントがボロボロになったコンパクトカーが通り過ぎる。


「・・・逃げる人かしら」

「それで、成功なのか?」

「今のところは」

「今のところ?」

「そう。まだ開発したばかりでどんな副作用が出るかも不明だし、また凶暴化し始めるかも知れないしで、何も分かっていないのよ」


車は大型スーパーの前を通り過ぎる。


「・・・このウィルスって人間以外に感染するのか?」

「しないわ。だから少し手を加えてマウス用に作ったの。安心して、感染したマウスから他には感染しないようになってるから」

「よかった・・・犬とか鳥に感染してたらそれこそ勝ち目ねぇよ」







そのころ、石川県立大学近くの恵の自宅の一軒家の前にはスーツに身を包んだ男が二人いた。


「ここがあの女の部下の家か・・・」

「入るぞ」


一人の男がピッキングツールを取り出すと、玄関の鍵を開ける。


カチャッ


「開いたぞ」

「早く入れ、あの化け物たちが寄って来る」


男二人が家に入ると玄関の扉を閉め、鍵をかける。

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