データ１４ 再会
雪が積もる中、悠斗が運転するトラックは県道２２１号線を走る。
「車変える？」
恵が道に放置された車両を見る。
「このままでいい」
目の前に道路を塞ぐようにして軽自動車同士が事故を起こしていた。
「何かに掴まれよ！」
悠斗はアクセルを踏み込むと、軽自動車を弾き飛ばす。
ドガン
大きな衝撃が響き渡ると、ゾンビが走り去るトラックをよたよたと追いかけていくが、トラックの姿は見えなくなる。
「回り道する気は無いの？」
「これだけの多きい車体だと通れるところが限られるからな。しかも、ノーマルタイヤと来たもんだ」
すると、道幅が狭くなる。
「この道失敗だったかな？」
しかし、すぐに道幅は広くなる。
「あれ自衛隊の車両じゃない？」
目の前に自衛隊の高機動車がヘッドライトをつけて停まっていた。
「武器があるかも」
悠斗は車を止めると、ジャッキバーを持ち、トラックから降りる。
恵もベレッタＭ９を取り出すと構えながら高機動車に近づく。
高機動車の中には誰も乗っておらず、鍵も刺さっていなかった。
「自衛隊はどこに行ったのかしら？」
恵が高機動車の前に回りこむと、首から血を流した自衛隊員が一人倒れていた。
「大丈夫ですか？」
恵が自衛隊員に駆け寄ると、自衛隊員は林のほうを指差す。
「ば・・・化け物が居た」
「どうしたんだよ！」
悠斗も自衛隊員に駆け寄る。
「あいつは・・・首を狙ってくる・・・」
ゲフッ
自衛隊員の口から大量に血が流れ出ると、そのまま自衛隊員は動かなくなってしまう。
「化け物？首を狙う？」
悠斗が考えている間に恵は自衛隊員の所持品をあさる。
「あった！鍵！」
恵は鍵を見つけると高機動車の鍵を開けて中を漁る。
高機動車の中には９ミリ拳銃、９ミリ機関拳銃、６４式小銃が１丁ずつあった。
「あんたには拳銃と、マシンピストルね。あと、マガジン」
「ん？あぁ、ありがと」
悠斗は９ミリ拳銃を懐にしまい、９ミリ機関拳銃を付属していたショルダーで肩にかける。
「使い方知らないけど？」
悠斗は９ミリ拳銃のマガジンを恵に見せる。
「こう、マガジンを出して、スライドを引く」
恵は実際に９ミリ拳銃を使って見せる。
「さ、やってみて」
恵は悠斗に９ミリ拳銃とマガジンを渡す。
「こうか？」
悠斗はマガジン交換に恵の３倍の時間が掛かった。
「初めてにしては上出来じゃない？あ、マシンピストルのほうは予備は無かったから」
恵は悠斗が肩にかけている９ミリ機関拳銃を指差す。
タタタタタ
民家の裏から銃声が聞こえてくる。
「来るんじゃねぇ！！」
民家の影から自衛隊員が８９式小銃を撃ちながら出てくる。
ガシャッ
民家の屋根の上に人影が見える。
人影は屋根から飛び降りると、自衛隊員のほうに向かって走り出す。
「ば・・・化け物が！くたばれ！」
ガチッ
自衛隊員の撃つ８９式小銃が弾切れを起こす。
スパッ
自衛隊員の首から血が流れ出てくると、その場に自衛隊員は倒れて、地面に積もった雪を赤く染める。
「あいつって・・・」
「料金所で私たちを襲ったあいつね！」
よく見ると人影は、サバイバルナイフを持っており、左腕は肘からなくなっていた。
「トラックに乗り込むぞ！」
悠斗がトラックを見ると、左右の前輪の空気が完全に抜けていた。
「・・・此処で決着をつけないと駄目みたいね」
悠斗と恵はそれぞれ銃を左腕の無いゾンビに向ける。
