番外:人物考察その1、或いはあったかもしれない2人の会話
皇帝との会談がひと段落した後のある日の夜、「俺」と「ボク」は奇妙な夢をみた。
※この話は本編には影響はありません。(この会話は存在しなかった扱いです。)
俺「現時点での人間関係をまとめておくか。」
テオ「どうしたんですか?急に。でも、そうですね。色々ありすぎて混乱してきました。」
俺「まぁしかし、実際話すのは初めての筈なのに、何故か慣れた感じがするよな。」
テオ「直接はなくても、もうひと月以上も一緒だからじゃないでしょうか。それに夢ですから特に気にしてたらだめですよ。」
俺「それもそうだな。せっかく話せているのだし、その間にまとめておくか。」
テオ「はい。ではまずリィン姉さまです。フルネームはリィンフィ・ルドっていうそうですよ。」
・リィンフィ・ルドについて
俺「いつのまに写真なんかとってるんだ。っていうか写真があるのか。」
テオ「えへへー。貴重なマジックアイテムなんですよ!お母様からいただいた宝物なんだ。撮れる枚数がすくないからあまり使ったことないけど。」
俺「ほう、その少ない枚数を躊躇なく使ったわけだな。」
テオ「え、えと、、、いいじゃないか!キミだって可愛いと思ってるんだろ!」
俺「まあな。可愛いとは思う。おまえと違って好きという訳ではないが。」
テオ「まだ、好きだなんて言ってないよ!」
俺「あれ、名字があるのか?皇族ってないんじゃなかったっけ?」
テオ「流さないでよ!まぁいいか。」
テオ「リィン姉さまは生まれたことが伏せられていますので、皇族扱いじゃないんです。なので、没落貴族の名字をおじい様が付けたそうですよ。」
俺「それもまたひどいな。ちゃんと名前でよんでやらなきゃな。」
テオ「はい!名前を呼ぶたびに喜んでくれるので、ボクもうれしいです。」
俺「まぁあの無邪気なところの可愛さは俺も認めるところだ。」
テオ「ですよね!たまらないかわいさですよね!」
俺「そこまではない。」
テオ「裏切り者!」
俺「彼女は「闇」魔法の使い手で、テオが母親の屋敷に行った際に出会い、それがきっかけで「俺」が目覚めた。」
テオ「また流した!もういいよ。」
俺「おまえにリンフィののことを話させたら日が暮れるって、今の場合は夜が明ける、か。」
テオ「むー。でも不思議な感じがするよね。いまでもたまに、なんていうか違う人のような雰囲気を感じる時があるよね。」
俺「まぁそれは、おまえでいう「俺」みたいなもんだろう。「俺」とちがってリンフィが主導権を持ち、「彼女」の記憶を持っている程度、のようだが。彼女はそれを「夢」といっていたな。」
テオ「そうそう、「彼女」ってどんな人なの?」
・「彼女」について
俺「知らん。」
テオ「えーーー。だってそれが原因で目覚めたんでしょ?」
俺「知らんもんは知らん。俺だってあったのは一瞬だ。気が付いたら刺されてて、意識がなくなる瞬間に顔を見た程度だ。なんで殺されたかもわからん。」
テオ「むー。ていうかよく殺された相手と一緒にいれるね?」
俺「なんだ、リンフィと一緒に居てほしくないのか?」
テオ「そんなことないよ!」
俺「冗談だ。まぁ実際現実感がないからなのかなあ。痛くもなかったし。」
テオ「そうなんだ。でもキミはなんだかいつもの話し方より荒っぽいね。」
・「俺」について
俺「これが素なんだがなぁ。たぶんおまえの話し方と混じっているんだと思うぜ。やっぱり体はおまえなわけだし、あんまり違うことをしたら体が拒否するんだと思う。で、楽な方に楽な方にしているとあんな感じの話し方になる。まぁ仕事をしているときの話し方に、似てはいるなぁ。」
テオ「へー。仕事してたんだ。」
俺「おまえ、俺を何だと思ってるんだ。。。」
テオ「え、え、貴族なら仕事なんてしてない人の方が多いと思うよ?」
俺「貴族じゃねえよ。ていうか身分制度がない。まぁ所謂「貴族のような」生活をしている奴もいるが。」
テオ「ふうん。貴族がいない世界なんて想像がつかないなぁ。それでどんな仕事をしていたの?」
俺「まあこっちの世界でいうなら、民間向けの諜報員ってとこかな。まぁそんな大層なものでもないが。」
テオ「え、スパイとかなの?」
俺「だからそんな大層なものじゃないって。世界中の色々なとこをにいって話を聞いてきたり、調査したりってだけだ。」
テオ「それにしてはなんだか危ない目にあってるみたいだよね?あんな大きな音聞いたことあるなんて普通じゃないよ。」
俺「あれはたまたま巻き込まれただけだ。それも何もできずにうずくまっていただけ。そのあとは面倒はあっても危なげなく脱出できたし。」
テオ「たまたまであんな事態にまきこまれるんだ。。。キミの世界ってこわいね。」
俺「否定はできないが、なんか間違った認識をされているきがする。」
俺「まぁいい、俺のことはともかく、おまえのことだ。俺が当分はおまえの振りをある程度はしないといけないんだからな。」
テオ「うーん、全然似てないからもうあきらめた方がいいんじゃないかなぁ。」
・「ボク」テオドールについて
俺「そんなに似てないか。さすがにおまえほど純真じゃないからなぁ。あんまり演技をしてもしょうがないし、ある程度は変わったと思われてもしょうがない、と思うしかないな。」
テオ「まぁでも気がつく人は少ないと思うけどね・・・。」
俺「皇子っていうのも大変なんだな。有事の時は兎も角、それ以外は目も合わせてもらえないからな。」
テオ「なんだかその言い方だと嫌われてるみたいじゃないか。まあかわらないかなぁ。まだまともに話せてるのはブルーノぐらいだし。」
俺「いかついおっさんでも、常に頭を下げながら話してくるからな。護衛兵のみなは結局あのとき以外はなしてないしな。まぁおかげでばれなくてよかったが。」
・ブルーノについて
テオ「ブルーノ、元気にしてるかなぁ。結局一度も会わずに帝都にきちゃったし。」
俺「そうだな。爺さんのためにも仲良くしなきゃとは思ってたんだけど。そういえば気弱な子なんだっけ。あの爺さんの子供とは思えんな。」
テオ「爺がすごすぎるから、いつも比較されて、結果的にあんな感じなんだよ。ボクも気持ちは分かるな。」
俺「そうか。おまえはあの皇帝の息子なんだったな。」
・皇帝ザクセンベルクについて
俺「ところで皇帝についてだが、こんなイメージの・・・ってなにしてるんだ。」
テオ「・・・なにしてるの!早く頭を下げて!」
俺「いや、これは記憶の中のイメージで。」
テオ「・・・・」
俺「しょうがない、消したぞ。」
テオ「ふう、駄目じゃないですか!陛下の御前で許可が出る前から頭をあげているなんて!!」
俺「いやイメージだし。」
テオ「そんなんだからばれるんですよ。あの陛下の前で普通に話せている時点で異常者なんです。」
俺「・・・まじか。」
テオ「そうです。話を途中で遮ろうとするとか、信じられません。ボクよりはよっぽど気に入られている兄上たちでもそんなことできませんよ。」
俺「いや、ちゃんと理をもって話せばそんなに怖くないと思うぞ?」
テオ「怖いとか怖くないとかじゃなく、不敬なんです!神様なんですよ!父上は!」
俺「そうか。そういえばこの国の宗教は皇帝を崇めているんだったっけ。」
テオ「はい。以前はこの国の始祖を崇めるのが一般的だったのですが、今では父上を崇める方が多数派になっています。」
俺「まぁ知らないすごい存在よりもしってるすごい存在か。おそらく前皇帝はこの状況を意図的に作り出しているんだろうな。」
テオ「え?どういうことですか?」
俺「前皇帝が死ぬまで隠居した後でもずっと影から口を出していたのは聞いていただろ?」
テオ「え?」
俺「え?俺が聞いた話っておまえも聞いてるんじゃないの?」
テオ「多分怖かったので違うことを考えていたんじゃないかなと。」
俺「がくっ。まぁいい。そういうことなんだよ。で、間接的に「強くて怖い皇帝像」を作り上げた。表向きには好々爺な振りをして意見を聞きき、裏では皇帝を操る。なかなかしたたかな爺さんだな。」
テオ「そんなことをして何になるんですか?」
俺「反乱や造反をする気をなくさせる為、だろうな。仲裁役がまさか敵の大将だとは思いもよらないだろうから、ある程度本音を語ってくる可能性がたかくなるしな。まぁおかげで「今は」平和が保たれているわけだが。」
テオ「なにか思うところがありそうだね?」
俺「・・・いや、俺が考えることじゃないさ。」
テオ「ふーん。まぁキミは考えすぎなところがあるよね。」
俺「おまえは考えなさすぎだ。まぁ子供ならそんなもの・・・か?」
・父親について
テオ「じゃあ父上自体は怖くは無いんだね!こんどボクが話す機会があれば話しかけてみようかな。」
俺「おう、喜ぶんじゃないかな。意外とあれで甘いようだしな。なんだかんだでリンフィにも甘いようだし。」
テオ「そうなんだ。何か失敗したら殺されるとか思ってたよ。」
俺「いや、ひどい失敗をしたら殺されるとは思うけどな。というかまだ執行猶予中だし。」
テオ「え、全然優しくないじゃない!」
俺「いやいや、優しいから、「執行猶予」してもらえてるんだよ。明らかな不穏分子、実行能力がまだないとはいえ前皇帝が生きていたら生きていられなかったろうな。それに裏では牛耳られていたとはいえ150年間も上に立ってきた人だ。必要とあれば殺すことに躊躇はないさ。」
テオ「・・・キミはよくそんなひとと普通に話せるね。」
俺「普通ってこともないが、でもそんなものじゃないのか?指導者なんて存在は。自分の肩に何億という命がのっているんだ。それぐらいじゃないと自分が潰れるぜ。」
テオ「はぁ、やっぱりボクにはキミのように話すことは無理だよ。。。。」
俺「そんなものか。ん?眠くなってきたのか?」
テオ「。。。どうなのかな。意識がぼんやりと。」
俺「そろそろ、目覚めか。さて、今日はなにをするかな。俺ができることは何なのか。まずそれを見極めないと。俺のために、テオドールのために、そしてあの少女のために。」
語彙が貧困であることを痛感したため、ヒロインについては絵で表現してみました。如何でしたでしょうか?
その他の登場人物に関しても、どこで出すかはともかくいずれは書きたいと思っています。
また、挿絵などもいれれたらなと考えています。
また、本編は堅苦しい感じがしましたので、気分を変えて少し軽めに、また対話形式で書いています。
次は世界設定を入れる予定にしています。
※追記:画像は一時削除。書き直せれば再度あげなおします。