番外:世界設定その2、或いは魔法授業のまとめノート
魔法を使えるようになった後、おさらいとして魔法の概要の授業があった。
「俺」は一度習ったことではあったがノートにまとめることにした。
※世界設定その2、魔法編です。
※番外と書かれた話は、読まなくても本編には問題が無い範囲で、主人公がその時点までで知りえる情報を書いています。
・魔法の種類について
魔法には、大きく分けて3種類があるとされる。
1.元素魔法
2.竜魔法
3.精霊魔法
1.元素魔法について
普段使用している魔法で、7つの属性がある。
それぞれの属性により特性があるが、使用方法により以下の3種にさらに分けられることがある。
・無詠唱魔法
初級魔法ともいう。
呪文などを使用せず、自らの魔力をそのままぶつける方式。イメージして放つだけのため、高速に使用できるが、複雑なことはできない。
また、制御も効きにくいため大魔法には向かない。
生活魔法などはこれに含まれることが多い。
逆に、戦闘にはよほど魔力の多いものでなければ火力として成り立たないことが多いため、あまり使用されない。
・詠唱魔法
中級以上の魔法はこれに属する。
大魔術、戦闘魔術などと呼ばれることもある。
決まった呪文や単語を使用することで、その言葉に沿った効果へと魔力を変化させる。内容によっては自分の魔力だけでは到底発動できないような効果も発揮されることもある。
これは、世界からの支援があるからとか、自然にある魔力をも利用しているからなどとも言われているが、はっきりした理由は解明されていない。
全く同じ詠唱を行えば同じ系統の支援が受けられるため、一部の詠唱法は貴族のなかで秘伝であったりもする。
ただし、熟練度によるのか、血統によるのかは不明だが、支援の量が人に寄る場合が多い。
この支援の量と自身の魔法力とをその個人の才能と呼ばれる。
尚、この学園の初等教育としては、無詠唱魔法の一般的なもの全てと、詠唱魔法の一部の習得を必須科目としている。
・詩魔法
エルフにしか使用できない特殊な詠唱魔法。
単純に詠唱魔法の一種とされることもあるが、全く同じ詠唱を行っても使用できないため、現在は別種であるとされる。
基本的には親の使用するものに近いものになることが多いが、エルフ一人一人に違う詩魔法がある。
尚、詩魔法と呼ばれる所以は使用する際に、まるで詩を唄うように詠唱するからである。
その際、唄い終ってから発動するものと、唄い始めた時点で発動するものとあり、個人個人で違うようだ。
・魔力について
魔法を使うのに必要な力で、全くない人はいない。魔法を使用できない人は、効果があるほどには魔力がないだけと考えられている。
生まれながらにしてある程度決まっており、使用を繰り返すことで容量はある程度増える。
そのため、全く使えないとされた人も、訓練を続けることで生活魔法を使用できるようになった例もある。
逆に、魔力が完全になくなった場合は死ぬと予想されるが、現在実際にそうなった例は報告されていない。
人によって色が違い、どんな属性を使用するにも発動する際にはその色が一瞬見える。
・得意属性について
人にはそれぞれ得意な属性がある。
全くイメージせずに魔法を使用したときにでるものがそれである。
得意属性は、それ以外の属性に比べて圧倒的に効果・威力を発揮する。
得意属性が「光」属性の場合のみ例外で、すべての属性を得意とほぼ同等の効果を発揮する。
ただし、個人によっては光となにか、といった得意属性を持つ場合があり、その場合はその得意属性以外はある程度苦手となる。
尚、「闇」属性についてはあまりにも使用できる人間が少ないため上記に含まれるかは不明である。
2.竜魔法について
竜族のなかでも、魔法を使用する個体が使うもの。
あまりにも人間の使用する魔法とは効果の方向が違うため別魔法と考えられている。
その証拠として、竜の使用する魔法は見かけに比べて圧倒的に防ぎにくいことにある。
逆に、「光」属性以外の魔法はあまり通らない。
竜族はモンスターの中でも特別視される理由の一つである。
3.精霊魔法について
東方の亜人の一部が使用する魔法。
元素魔法にも竜魔法にも当てはまらないため別魔法とされる。
精霊と呼ばれる存在を使役して使用するという特徴が知られているため、精霊魔法と呼ばれているが詳細は分かっていない。
「魔法の強さとは、想像力である。」
バンッと黒板を強くたたきながら本日の担当教員が言う。
「魔力の強さももちろん重要である。だが、何ができるか、は結局想像できるかにかかっておる。」
授業の内容をノートにまとめていたのを少し置いて、この教官の話に耳を傾ける。
「俺」はこの教官の授業は好きだ。周りの生徒は小うるさい爺、ぐらいにしか思っていないようだが。
「そして想像とは、現実を理解することにある。いかに現実を理解するか。それにより更に想像が膨らむのだ。」
何が好きかって、魔法を科学的に考えて使っているところだ。他の教官は経験則で実用的ではあるが、あまりにも感覚的なのだ。
けれど、それは魔法に慣れた生徒にとっては分かりにくいらしく、あまりまじめに聞いていないようだ。
そして教官が更に科学的魔法思考法の重要さを説こうとしたところで終了の鈴がなる。
残念なことに、本日の授業はお開きのようだ。
本編の次の話は長くなりますので、その前に番外編を挟んでいます。




