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ねこと風鈴

掲載日:2025/12/30

 今年も年賀状が届いた。

 4枚だった。メガネ屋さん、車屋さん、質屋さん、知らない県会議員──

 すぐにゴミ袋に入れると、ねこのキーコがほじくり出す。


 キッチンタイマーにはオルゴールの音色を設定していた。それが鳴りだすとキーコの動きも止まる。

 私がカップうどんを食べはじめると、足の間に入ってきて、『何食べてるニャ?』と聞いてくる。


 私は彼女に答えた。

「キーコの好きなものじゃないよー」


 彼女もそれに答えた。

「また牛焼肉のカルビが食べたいニャー」


「おいで」


 それがねこと戯れる合い言葉。

 うどんをまだ食べ終えてない私の胸で、白いねこがゴロゴロと喉を鳴らしだす。




 自転車で近所のリサイクルショップへ行った帰り、雨が降り出した。

 思わずスーパーマーケットで雨宿り。

 買うものはないから、お歳暮のギフトセットを眺めて歩く。

 ホットケーキミックスが切れてたのを思い出し、それだけ買った。




 リサイクルショップで買ってきたのはマッサージクッションと、それから風鈴だった。

 12月に不要なそれは、捨てられるもののようにジャンク品コーナーにあったけど、新品のように綺麗だった。

 赤い金魚の描かれたプラスチックの風鈴は、ねこの遊び相手になってくれると思えたのだった。



「これなに?」


 私が床に置いた丸い風鈴を、キーコが珍しそうに眺めまわす。


「風鈴ってものだよ。10円で買ってきた」


「何するものニャ?」


「好きに使えばいいものだよ。綺麗だし」


「くるにゃっ!」


 キーコがお手々で転がすと、風鈴がガラガラと鈍い音を立てた。

 そうか──。吊るさないと綺麗な音で鳴ってくれないんだ。


 長い糸につけて、蛍光灯の紐に結びつけて、上から垂らすとキーコが走ってきた。


 無言で飛ぶ。風鈴に向かってフライング・アタック!


 ちりりりりーん♪


 いい音。

 暖房のきいた部屋に心地良い。


 それからキーコのサバイバル・ショーがはじまった。

 高い机の上に飛び乗ったかと思うと、そこでお尻をふりふり、標的をロック・オン──


「ニャニャーーッ!」


 どたどた床に激しい音を立ててねこが走る。


 熱い遊びに外の木枯らしも吹っ飛んでいくよう。


 激しいアタックに部屋の電気が消えた。




 紐をほどいて床に転がすと、ねこと風鈴はどちらも大人しくなって、優雅な舞踏会がはじまった。


 風鈴を抱いて、ねこが右に左に、身体を揺する。

 風鈴にエスコートされてるみたい。


 やがてねこは風鈴を抱いたまま眠り──


 私は思う。


 ねこが飽きたら来年、ベランダに吊るそう──









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― 新着の感想 ―
ニャンコが飽きない可能性はないのだろうか? まあそもそも夏になったら、そんな些細な事なんて忘れてしまうかも知れないが。
全キーワードを使いながらの、飼い主さんとネコちゃんの尊い日常を感じました♪(*´∀`*)<それも、ネコちゃんはカルビで、飼い主さんがカップうどんとは、優しい飼い主さんですね〜♡
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