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俺はダンジョンの案内人であって冒険者ではないのだが?  作者: 藤浪保
第二部

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第67話 続行(レナ視点)

「そりゃムカつくわよ。でも、考えてみれば、当のクロトがそういうの気にしてないみたいなのに、あたしたちが代わりに怒るのは違うんじゃないかしら」

「いいえ! 許せませんわ!」

「……うん」

「ティアまで……」

 あたしは腕を組んで目をつぶった。

「うーん……わかったわ。続けましょう。でも、今みたいに、あたしたち三人が引き離されるようなら駄目よ。二人以下での攻略は許されてないんだから、あたしたちは三人一緒にいなきゃいけないの。それができないようなら、あたしの判断でギブアップするわ。あいつらを見返すのが目的なら、ペースを落としてとはもう頼めないから、死ぬ気でついていくしかないわよ」

「ええ!」

「……うん」

 移動でどんなに疲れたとしても、第十階層までであれば、モンスターに遭遇しても問題はない。

 というか、さすがにそこまでの体力は残した状態で移動するし、不意打ちを食らわないよう、警戒も怠らない。

 そのせいであいつらと離れてしまったとしても。

 あたしたち三人でいれば、知らないフロアに放置されたとしても大丈夫だ。だって元々自分たちの地図を作ろうとしていたんだから。あたしたち自身も、そしてクロトも、第十階層までであれば、たとえ初見のフロアであったとしても、あたしたちは攻略できると判断している。

 そして、地図を作るならともかく、ただフロアを進んでいくだけなら、そんなに時間はかからない。どんなに広くたって、チョークで印をつけて進んでいけば、いつかは階段にたどりつく。

 食料やアイテムの残数に気を付けて、最悪あたしたちだけで自力で地上に戻らなきゃいけなくなったとしても足りるように計算しながら進めば、問題はない。

 どうしてあいつらが非効率な移動をしているのかはわからないけど、その不確定要素を含めたとしても、まだ許容範囲内だ。

 だからあたしは、続行を決めた。

 もちろん、何か不測の事態が起これば、すぐに中止を宣言するつもりだ。

 あいつらに思いっきり馬鹿にされるだろうけど、それよりも無茶を押し通してクロトに馬鹿にされる方が何十倍も嫌だから。

「シェス、これ飲んで」

 話を切り上げる前に、シェスにポーションを渡す。

 立ち止まっている間にシェスの息も整っていたけど、進み始めたら次にいつ飲めるかわからない。

 シェスは飲むのを躊躇(ためら)った。あいつらの視線を気にしている。

「あいつらの言葉なんて気にしなくていいの。この荷物を持ち込むって決めたのはシェスもでしょ。いいから飲んで。我慢してついていけなくなる方が間抜けよ。いつもならもっと早く飲んでるくらいなのに」

「その通りですわね」

 納得したシェスが、ぐっとポーションをあおった。

「話し合いは終わったのかい?」

 イライラしたように、ルークが声をかけてきた。

「ええ、時間を取らせて悪かったわ」

 振り返り、告げる。

「他人を待たせといてポーションまで飲みやがるとは、貧弱にも程があるな」

「そん――」

 ダンのせせら笑いにシェスが嚙みつこうとしたけど、あたしはその前に体を割り込ませた。

「いいでしょ別に。あたしたちが持ち込んだポーションなんだから。もう一度言うけど、待たせたのは悪かったわ」

 冷静に言うと、ダンはそれ以上は言ってこずに、肩をすくめるだけだった。

「で? どうするんだい? ここでギブアップするのかい?」

「まだ続けるわ」

「君たちのペースに合わせるつもりはないよ」

「それでいいわ。ついていけなくなったらおいて行っていい。足手まといにはなりたくないもの。追いつけなかったらギブアップしたと思って。無理だと判断したら地上に戻るから」

 そっちから誘っといて何なの、とまた思ったけど、あたしたちが足を引っ張っているのは確かだ。例えばクロトなら、全然余裕でついて行くんだろうし。

「……わかった。じゃあ先を急ごう。今もだいぶ時間をロスしちゃったしね」

 そう言うなり、ルークは身を(ひるがえ)した。

 ダンとミトリの後ろにあたしたちも続く。

 これまでにフロアのモンスターは倒し尽くしてしまったのか、そこから先は全くモンスターに遭遇しなかった。

 だからずっと走りっぱなしで、あたしは一人で追いすがらずにシェスにペースを合わせたから、またすぐに引き離されてしまうかと思ったけど、予想外にそうはならなかった。

 部屋に入ったときとか、角を曲がるときのような、三人があたしたちの視界から消えるときに、若干ペースが落ちているように思う。

 気を使ってくれてるのかしら。

 向こうの目的は、自分たちには第二十階層踏破者(ゴールド)相応の実力があるのだと示すためだから、目撃者としてあたしたちが必要なはずだ。ついていけなければ地上に戻るって言ったことで、まずいと思ったのかも?

 第三階層に降りるための階段が現れるまで、あたしたちは三人を見失うことなくついて行けた。

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