表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺はダンジョンの案内人であって冒険者ではないのだが?  作者: 藤浪保
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/68

第66話 ギブアップ?(レナ視点)

 急いで階段を降りると、ルークたちがその部屋から出ていくところだった。

「もう!」

 出る瞬間にミトリがちらりとこっちを見ていたから気にはしてくれているようだけど、本当に最低限。せめてあたしたちがフロアに降り立つまでは待ってなさいよ!

 誰のフロアかは知らないけど、先に降りた三人の誰かのフロアだ。あたしたちは地図を持ってないから、おいていかれたら迷子になっちゃう。

 見失わないように追いかけたけど、部屋を出た先にはもう三人はいなかった。

 通路の先が曲がり角になっていて、そこまで分かれ道は一切ない。

 慌てて正面の壁まで走り、曲がる。もちろんモンスターへの警戒は怠らない。あいつらとあたしたちの間に通路があって、モンスターが挟まってこないとも限らないから。

 よかった、いた。

 遠くに、部屋に入って行く背中がちらりと見えた。ミトリがまたも一瞬こっちに視線を寄越すも、さっと部屋の中へと入ってしまう。

 前言撤回。

 あたしたちを気にしてくれているんじゃなくて、単に気になっているだけだ。追いつけなかったとしても、たぶん待っててはくれない。

 部屋の入口まで走ると、戦闘をしていたようで、モンスターが黒い煙になったところだった。

 そしてすぐさままた移動を始める。

 あたしは後ろを振り返った。

 まだ二人が追い付いてきていない。

 でも、三人から離れるわけにもいかない。

 第二階層だし、二人でも大丈夫だろう。

 あたしはチョークを取り出して出口の側に印をつけると、三人を追いかけた。

 通路に出たらもう人影はなくてヒヤリとしたけど、幸いにも三人はその次の部屋で戦闘をしていた。

 ルークとアランがモンスターを倒して、ミトリは壁際で待機していた。魔法使いの出番はまだ先なのだろう。あたしたちも、上の階層ではシェスはあまり戦闘に参加しない。

 ティアとシェスが追いついてくる前に、三人はまた移動を始めてしまった。

 あたしはまたチョークで印をつけて追いかける。

 結局、六人が同じ部屋に(そろ)ったのは、随分後の事だった。

「待って!」

 またすぐに部屋を出ていこうとするルークを呼び止める。

「なんだい?」

「毎回こうやって全員が揃うまで、移動するのは待ってくれない?」

「さっきも言ったけど、モンスターを倒しているのは僕たちだ。君たちは何もしてないないじゃないか。なのに、ついてくることもできないのかい?」

「移動速度は問題ないわ。見失うのが怖いだけ。こっちは地図を持ってないのよ」

 本当は移動速度も落として欲しい。

 ずっと移動しっぱなしだ。いつもならそろそろ休憩している。戦闘がないとはいえ――というか、戦闘がないからこそ、立ち止まることもできずに動き続けている。

 あたしとティアはまだしも、シェスの体力が心配だった。ポーションを飲む暇さえないのだ。

「んなもん走ればいいだろうが」

「直線ならそうするけど、曲がり角で視界が遮られたらそうもいかないでしょ」

「君たちのペースになんて合わせてられないよ」

 呆れたように言われてムカッとくる。

 もとはと言えばあんたたちが一緒に攻略したいと言ってきたんだから、少しくらい協力してくれたっていいんじゃない!?

「急いでる割には何度も同じ部屋を通ってるじゃない」

 チョークで印をつけているから知っている。第一階層と同様、第二階層もぐるぐると無駄な移動をしていた。しらみつぶしに部屋を攻略していくというわけでもなく、とにかく距離を移動しているという感じだった。

「これが一番速いんだ」

 憮然(ぶぜん)とした顔でルークが言う。

「そんなわけ――」

「文句があるなら!」

 言い募ろうとしたあたしの言葉を、ルークが遮った。

「ここでギブアップするかい? 第二階層で()を上げるなんて、第十階層踏破者(シルバー)とはとても言えないけど」

「しません!」

 否定したのはシェスだった。

「音なんて上げていませんわ! わたくしたちは第十階層踏破者(シルバー)です! ちゃんと自分たちでボスまで倒しました!」

「はっ、どうだかな! 戦闘もせずにフロアを移動するだけで疲労困憊(ひろうこんぱい)とあっちゃ、その話も怪しいもんだぜ。よくそれで俺たちの実力を疑えたもんだ」

「疲労などありませんわ!」

 シェスがドン、と自分の胸を叩いた。

 疲れているはずなのに。

「二人とも、ちょっと」

 あたしは二人を壁際に呼んだ。

「正直、あたしはもうここまででいいかなと思ってるわ。あんなに非協力的なのに、これ以上一緒に先に進む意味ある? そもそもこの攻略自体、あたしたちに得があるわけじゃないんだし」

 あいつらには聞こえないように、小声で話す。

「嫌です! ここで引き下がったら、わたくしたちもお師匠様も馬鹿にされたままですのよ。わたくしたちだけならともかく、お師匠様を馬鹿にされているのは許せません。だって黒の閃光ブラック・ライトニング様を! 馬鹿にしたんですのよ!? レナさんは、(くれない)の魔法使いを馬鹿にされて黙っていられますの!?」

 シェスはクロトの二つ名のところだけ更に声を落として話した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ