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俺はダンジョンの案内人であって冒険者ではないのだが?  作者: 藤浪保
第二部

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第56話 骸骨王の弱点

 シェスが魔法を発動させた。

 ファイア・ボールがシェスの頭上に現れる。五つ……いや六つか。

 それらは一斉に骸骨王(スケルトンキング)に向かって飛来した。

 シグルドであればそれぞれ別々の軌道を描くようにコントロールするし、必要とあれば数十個のファイア・ボールを操るが、シェスにそこまでの実力は無い。ただ狙った場所へ真っ直ぐと飛ぶだけだ。

 それでも、第十階層のボス相手であれば不足はない。

 ティアがファイア・ボールとほぼ同時に飛び出し、レナが一つ遅れて追いかけた。

 骸骨王(スケルトンキング)が顔面に飛んできたファイア・ボールをシールドで防いだ。他の場所を狙ったファイア・ボールは全て命中する。

 その直後に繰り出されたティアの同じく顔面への蹴りは剣で防がれた。

 続いてレナが(すね)へと剣を振るうが、これは盾で防がれた。

「ぐっ」

 上から振り下ろされた剣を避けながらレナが下がり、先に下がっていたティアの隣に並んだ。

 シェスの詠唱が完成するのを待って、同じ攻撃をもう一度繰り返す。

 だがやはりレナの攻撃は防がれた。

「引っかかってくれないわね。ファイア・ボールを防ごうとして防御が手薄になるかと思ったのに」

 そりゃそうだろう。

 相手だってレナの攻撃が一番厄介だとわかっている。多少の攻撃を喰らおうが、レナの攻撃を最優先に防ぐに決まっている。

 レナがこっちを見た。

「クロトならどうやって倒すの」

「防御が間に合わないスピードで攻撃するか、盾の防御力を貫通する攻撃をたたき込むか、シールドの防御力を貫通する魔法をたたき込む」

「……聞いたあたしが馬鹿だったわ」

 骸骨王(スケルトンキング)ごとき、力業(ちからわざ)で押し切るに決まっている。

 どれもこの三人にはできない芸当だ。じゃなきゃ答えない。

 もちろん、オーラを可視化せず魔法も使わず、という条件なら他の攻め方をするが、それは黙っておく。この程度のボス、自分たちで攻略してもらわないとな。

「わたくしの魔法がもっと強力だったら……」

「……蹴り」

 何度攻めても防がれ、シェスとティアが泣き言を漏らし始めた。続けて何打放とうとも、相手はそのことごとくを防いでくる。

「それはあたしも同じだけど、そこを嘆いたって仕方がないわ。本当だったら、あの時にもう三人で倒してるはずだったのよ。つまり、今だってあたしたちだけで倒せなきゃおかしいの。女王蜘蛛(アラクネ)に比べたら全然ザコでしょ。さっさと倒して本物の第十階層攻略者(シルバー)になるわよ」

 レナがあごに伝わる汗を手の甲で(ぬぐ)いながら言うが、シェスとティアの顔は晴れない。

 ファイア・ボールをいくつ放ってもスルーされると気づいてからは、シェスは量から質へと切り替えて、威力の高い魔法を二つだけ放つことにした。

 それにより防がれなかった分の魔法による攻撃は確実に入るようになったものの、残念ながら骸骨王(スケルトンキング)の魔法防御力は高い。この調子だといつまでたっても倒せず、先にこいつらのスタミナが切れるだろう。

「あいつは、あたしを警戒してるのよね」

「はい。わたくしの魔法は当たっても構わないと考えているようです」

「……私のも」

「防御型だとは聞いていたけど、ここまで硬いなんて。攻撃は大した事ないからこっちも平気だけど、(らち)があかないわ。膝をつかせて頭を――」

 レナが急に言葉を切った。

 他の二人がちらりと視線をレナへと送る。

「ねえ、あれって、でかいスケルトンなのよね?」

「……うん」

骸骨王(スケルトンキング)と言うくらいですし、見た目も大きなスケルトンですね」

「じゃあ、核があるはずじゃない?」

「!?」

「……確かに」

 シェスとティアがばっとレナを見て、すぐに視線を骸骨王(スケルトンキング)に戻した。

「大きいから小鬼王(ゴブリンロード)と同じ倒し方でいこうとしてたけど、頭を攻撃しても意味ないんじゃないからしら。スケルトンなら核を壊さないと」

「……ない」

「ええ、核なんて見当りませんわ」

 胸郭の中、本来なら心臓のある辺りに浮かんでいるはずの核は、肋骨の間からは見えない。

「ここからじゃ見えないだけなのかも。探すわよ」

 レナとティアがスケルトンに向かう。

 攻撃し、避け、周りをぐるりと移動して――。

「……あった」

「どこ!?」

「……真ん中の裏」

「本当だ! あるわ!」

 やっと気づいたか。

 骸骨王(スケルトンキング)の核は体の正面、胸骨体の裏にへばりついている。

 それを壊せばいいだけなのに、頭を攻撃すると言い出した時にはどうしようかと思ったぞ。

「ええとじゃあ、作戦変更よ。核を攻撃……ってあたしの剣じゃ防がれちゃうからどのみち――」

「……ファイア・ボール」

 レナが別の作戦を立てようとしたとき、背中側に回り込んでいたティアが拳を放つと見せかけて、背骨のすぐ後ろでファイア・ボールを唱えた。

 これまで同様、骸骨王(スケルトンキング)はティアの攻撃をスルー。

 超至近距離で放たれたファイア・ボールは肋骨の間を抜け、核に直撃。

 パリンと核は砕け散った。

 すたっと着地したティアが、ブイッとピースサインを二人に送る。

 その横で、骸骨王(スケルトンキング)は黒い煙となって消えた。

「え、終わり?」

「……うん」

「今ので?」

「……うん」

「わたくしたち、骸骨王(スケルトンキング)を倒したようです」

「……」

 レナはその場にべたりと座り込んだ。

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