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俺はダンジョンの案内人であって冒険者ではないのだが?  作者: 藤浪保
第二部

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第45話 風呂場のアクシデント

 シグルドたちと別れて帰宅した。

 鍵を開け、居間を通って仕事部屋へ。

 背負っていた重たいリュックを下ろし、中のアイテムを全て取り出して、品質をチェックしながら決められた場所に置き直す。

 入れっぱなしにしておくと、次の仕事の時に持っているか確かめないといけないし、最悪道具が壊れていたりする。

 常に予備も持って行くから大事にはならないだろうが、わざわざ背負って故障品を持って行くのは馬鹿らしい。

 こうやっておいて毎回準備の時に詰め直すのが結局一番効率がいいのだ。

 すぐにでも休みたいほど疲れていても、このルーチンは必ず守る。

 持ち帰る分が少なかったのもあって、消耗アイテムはだいぶ減っていた。

 補充しておかないといけないな。

 防御効果のかかった重たい靴を脱いで部屋履きに履き替え、部屋を出た俺は、台所でコップに水をみ、居間のソファにどかっと座った。

 座り込むと余計に疲れが襲ってくる錯覚がする。

 眠気が襲ってきた。

 あー……風呂入らなきゃだよな。

 シグルドが湯を生成してくれて浴びることはできたが、湯船にはつかれていない。

 このままベッドに潜り込むのは嫌だ。

 でもソファでなら……と倒れ込みかかる体を叱咤しったして、勢いよく立ち上がった。

 風呂だ風呂。入ってからゆっくり寝るぞ。

 勢いのまま洗面所へ向かい、手早く服を脱いだ。

 風呂の湯がたまるまで待っていたら眠りに落ちるのは確実なので、体を洗いながら入れる作戦だ。

 もあっ。

 木の扉を開けると温かい湯けむりが出てきた。

 湯けむり? なんで?

 まだ湯を沸かしてもいないのに、なぜ湯けむりが出て来るのか、という疑問の答えが出る前に、俺の目は肌色のかたまりを三つとらえた。

 一つは正面。

 風呂椅子に座って背を向けている。石鹸せっけんの泡がついていることから、体を洗っている最中だったことがわかる。

 俺の方を振り向いて体を向けており、泡に隠れながらも、ほどよい膨らみが見えた。

 赤い髪が後頭部でまとめられていて、わずかな後れ毛が色っぽい。

 二つ目は右にある湯船のへり

 座ってこちらに斜めに体を向けている。足だけを湯船につけていて、湯あたりを防ぐために涼んでいるのだと思われた。

 ほんのり赤く染まった体の小柄さに見合って、その膨らみはほとんどない。

 濡れそぼった耳が青い髪にぺたりと垂れていて、毛が濡れて普段よりも細く見える尻尾がへりから下がっていた。

 そして三つめは湯船の中。

 まとめた金色の髪の上にタオルを乗せて、肩までつかっている。

 丸みをおびている肩と鎖骨が女らしさを出していた。

「んなっ!?」

 最初に声を上げたのは体を洗っていたレナだった。目を丸くして固まっている。

「……師匠?」

 次に声を上げたのはティア。

 首を傾げたものの、ちゃぱちゃぱと足で水を蹴り続けていて、動じていない。

「ご主人様っ!?」

 最後に声を上げたのはシェスで、なんと、叫ぶのと同時にざばっと立ち上がった。豊満な膨らみがぶるんと揺れる。

「お帰りなさいませっ!」

 そして、あろうことか、俺に突撃してきた。

 ぼよん、と露出した胸が俺に当たる。

「シェス……」

 しがみつくシェスの肩を両手で押す。

「抱きついてくるなといつも言ってるだろうが」

 俺の方が力が強いはずなのに、なぜかはがすことができない。

「だってお久しぶりですもの」

「だってじゃねぇよ」

 シェスがしゃべるたびに、触れたところがぽよんぽよんと揺れた。

「シェスに何するのよ!」

 心外だな。俺は何もしていない。シェスが勝手にしがみついてきているだけだ。

 顔面に石鹸せっけんが飛んできた。

 反射的に首を動かしてそれを避ける。

「避けてんじゃないわよっ! この変態っ!」

 投げたのは、立ち上がったレナだった。上は片腕で押さえているが、下は丸見えだ。

 顔を真っ赤にしたレナが、今度は石鹸台を投げてきた。

 当然それも避ける。

「シェスもいつまでひっついてんの! 早く離れなさい!」

 俺の肩を押す力にレナの引っ張る力が加わって、シェスはようやく離れた。

 膨らみが、またもぶるんと大きく揺れた。

 レナの視線が俺の下半身に向いた。さらに顔が赤くなっていく。

「へっ、変態っ!」

 今度はレナの拳が飛んできた。

 もちろん、俺はそれも避ける。

「ぅわっ」

 濡れた床につるりと滑ってバランスを崩したレナを俺は抱き留めた。

「変態っ! 変態っ! 変態っ!」

 密着した俺の胸筋をレナが押す。

「あのなぁ、ダンジョンに長く潜ってりゃ、男女混ざって休憩部屋で着替えたり体を拭いたりするのは普通なんだぞ。俺は見慣れてるし、お前らのハダカなんざ興味ないから気にするな」

「最っ低っ!! いいから早く出て行きなさいよっ!!」

「はいはい」

 全く、と首を振りながら、俺は風呂場から出た。

 ふぅ、っと息を吐く。

 そして、その場にしゃがんで顔を両手で覆った。

 あっぶねぇぇぇぇぇぇっ!!

 ヤバかった。あれ以上はヤバかった。

 ばっくばっくと心臓の鼓動がうるさい。ダンジョンで走り回っていた時の比ではない。

 シェスのヤツ、全裸で抱きついてくるとか、何考えてんだ!?

 レナもあんな滑りやすい所でバランス崩すし。

 二人の柔らかい感触を思い出し、危うく反応しそうになる。

 ティアは……あー、うん、まあ、いつも通りだったな。

 ダンジョンで着替えたりするのは普通だ。

 が、視界に入ってしまうことはあっても、それをまじまじと見つめたりは当然するはずもなく、ましてや全裸などあり得ない。

 しばらくは脳裏に刻みついた肌色に悩まされることになるだろう。

 はぁ、と俺はため息をついた。

 疲れてて帰ってきた途端にこれとは。散々だ。

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