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エピローグ3
ただ、その中に一つだけこちらには目もくれず、外を眺めている男子生徒がいる。
狐花ヒロだ。
彼は常にやる気のない目をしている。授業中だけでなく文化祭や体育祭でも、常にうつろな目をしているのだ。
私は知ってる。彼は、小学生の時はクラスのリーダー的存在で、常にみんなの先頭に立って行動する人間だった。さらに彼には人望があった。彼は、困った人を見捨てず、率先して助ける性格だったのだ。当時の彼はクラスのリーダーで、みんなのヒーローのような存在だった。
しかし、いつからだろうか。常に気力がなく、何に対しても上の空。
当時の彼はどこへ行ってしまったのだろうか。
おっと、今はそれどころではない。クラスメイトが我先にと質問をしてくる。
どのように、流そうかと考えていると、担任の先生が教室へと入ってきた。クラスメイトは、残念そうな顔でそれぞれの席へと散っていった。
そこからは、休み時間のたびに質問攻めにあい、いつの間にか放課後になっていた。
私は、塾があることを言い訳に教室を後にした。