エピローグ
はぁ...またか
高校に入ってから何度目だろう。私は両手で数えきれないほどの告白を思い出しながら、目の前の男の子を見た。頭を下げ、小刻みに震えた手をこちらに突き出している。
ここは校門であり、今は通学時間である。といえばその人の多さはあらかた予想できるだろう。
彼の後方には彼の友人であろう男子生徒たちがこぶしを握りこちらを見ている。周りにも告白の結果が気になるのか、はたまた、ただこの状況を楽しんでいるだけなのか多くの生徒がこちらに注目している。
そもそもの話だ。
恋愛において「当たって砕けろ」は自己満足でしかない。この告白は恋愛脳たちの話のネタにされるのが目に見えている。
私はイライラを積もらせながら口を開いた。
「ごめんなさい。今は恋愛に興味はないの。」
彼は崩れ落ちるように膝をついた。彼の顔には、悔しさと少しの安堵が表れてた。
人も迷惑を考えてほしい。私は彼の表情を見てさらにイライラを積もらせた。
だが、ここでそのイライラを表に出してしまえばこれまでの苦労が水の泡になってしまう。
必死になって得た、才色兼備の美少女高校生という評価を、ここで台無しにはしたくない。
ましてや、私は生徒会選挙にも立候補してる。
私はこの苛立ちをこらえ、申し訳なさそうな表情で彼の横を通り過ぎた。