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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

男の子になりたかった

作者: 夜空タテハ

 男の子になりたい、そう思っていた時期がある。

 小学生の頃から仲が良かった女の子がいた。中学生になって同じクラスにはなれなくて少し距離ができた。

 その子には別の仲良しな友達ができたようだった。でも、顔を合わせることがあれば話すことはある。そんな関係性になった。

 少しだけ、胸が痛む気がした。

 その子ともっと仲良くなりたい、その子に近づきたいと思った。

 ある時、思った。私の、その子への感情は、恋なのではないか?

 私は昔から男の子が好むモノを好んで、女の子らしい趣味はあまりなかった。

 少年漫画が大好きだったし、アニメも特撮も、ゲームも、男の子向けのモノばかり好きでハマっていた。

 そんな私に、あまり趣味は合わないのに優しくしてくれた女の子が、その子だった。

 その子はとてもかわいらしくて、おしとやかで、優しくて……とにかくとってもステキな女の子だった。

 中学生の頃の自分には、友情と恋愛の区別がハッキリついていなかった。

 その子への自分の感情が何なのか、はかりかねて、同性愛やLGBTなどの本を読み漁った。どこにもハッキリとした答えはなかった。

 コレは私の抱える私の感情なのだから、私が決着をつけなければならない。

 そう思っても、同性に好きだと言われて、その子はどんな反応をするだろうかと、考えるだけで怖かった。結論は出せないまま、時間だけが過ぎていった……。

 中学を卒業して、しばらく経ってからも、その子へのモヤモヤはずっと引きずっていた。

 高校は離れてしまったが、連絡先は交換したものの、特に何を言えばいいのかわからず、連絡なんてできなかった。

 ある日、大きめの地震が起きた。それを、幸いと言っていいものではないとは思うが、私は、その子に連絡するチャンスだと思った。

 しかし、安否確認をしたら、それで終わりだった。そこから発展することなど、なにもなく。

 その子と会話をしたのは、それが恐らく最後だ。会話、と言っても、メールで安否確認をしただけだから、直接に会ったわけではない。直接に会って話したのはいつだったろうか、もう思い出せない。

 そんなことを、何年も経っても時折、思い出す。

 あの時のあの感情は恋だったのか、私は同性愛者なのか、いや、それ以前に異性を好きになったこともあるので、可能性としては両性愛者だろうか。性に囚われずヒトを好きになる、とも考えられる。相手がなんだろうと。

 今は、女の子として人生を謳歌しようと思っている。自分は恐らく異性愛者あるいは両性愛者なのだろうかと考える時はある。

 今は恋愛対象として好きなヒトがいないので、今はからない。

 いつかは納得できる答えが見つかればいいなと思っている。

 男の子になりたかった、あの日の自分へ。なんだかんだ女の子としての生活も悪くないよ。

 今が幸せかどうかはわからない。けど、幸せになりたくて必死に生きてる。

 私が幸せになることで、救われる過去があるから。

 幸せだよ、って、過去の自分に向けて胸をはって伝えられたら、どんなにか幸せだろうか、と思う。そんな日が、いつか来たらいいな。


〈了〉

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― 新着の感想 ―
[一言] 同じ感情かはわかりませんが、同性の友人が別の人と仲良くしてるとやきもきすることはありました。わたしは同性愛者ではないのですが、なんか、あるんでしょうかねぇ。
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